KOMON 井上

札幌市立高校で化学を教えている再任用教員です。現在65歳での作家デビューを夢見て、小説を書いてみたりしています。長く放送局の顧問をしていましたが、2023年4月、転勤を機に別な部の顧問になりました。「指導者から表現者への脱皮」が今の目標です。

KOMON 井上

札幌市立高校で化学を教えている再任用教員です。現在65歳での作家デビューを夢見て、小説を書いてみたりしています。長く放送局の顧問をしていましたが、2023年4月、転勤を機に別な部の顧問になりました。「指導者から表現者への脱皮」が今の目標です。

最近の記事

思想信条の自由、言論の自由

 今日は5月3日、憲法記念日である。私は護憲派であるから、札幌大通公園で開かれた、「憲法施行77周年 STOP改憲!5・3憲法集会」に参加し、「憲法改悪反対」を叫びながら、札幌駅前通りをデモ行進した。今日は日本の各地で同じような集会が開かれていたはずである。当然憲法改正を掲げる団体も同じように集会を開き、改正実現を訴えている。今夜のニュースは、憲法改正反対、賛成の両方の立場の集会が報道されることだろう。  私は5月3日の改憲反対集会に毎年のように参加しているが、近年右翼による

    • 百人一首と私

       私が高校生だったころ、学校にはまだ「必修クラブ」があった。私は三年間「百人一首クラブ」に所属し、週一回歌がるたに取り組んできた。勝つためには、和歌を覚えなければならない。かるたがうまくなるためだけに、一生懸命覚えて、歌の意味や詠み人について深く学ぶことはなかった。  高校を卒業して北海道の大学に入り、理学部化学科に進んで、縁があって札幌市立高校の化学の教員となり、5校で教鞭をとってきた。一緒に百人一首を楽しんでくれるような人は周りにおらず、興味はずっと絶やさずに来たつもりで

      • 「光る君へ」が始まった

         私が高校2年生の夏休み、「源氏物語の現代語訳を読んでくること」という宿題が出た。45年ほど前の話である。一応、当時一番読みやすかったと思われる、与謝野晶子訳を購入した。しかし、読み終わる前に夏休みが終わった。当時実際に読んだかどうか、国語の先生に確認された覚えはない。うやむやのうちに終わっていた。  昨年古本店で、瀬戸内寂聴訳の文庫本1巻から4巻をみて、急に読みたくなり、一冊110円で購入した。与謝野晶子訳が文庫本3巻だったので、4巻で終わりだと思っていた。しかし、なんと1

        • 二酸化炭素の再利用その2

           今年2024年の大学入試共通テスト化学基礎の問題でサバティエ反応が出題された。前回の記事でも書いたが、この反応は1983年から1988年にかけて、私が大学、大学院で研究していた反応で、40年弱の時を経て実用化に向けて動いていることが実感できたのは、うれしくもあり、驚きでもあった。  問題文にもある通り、宇宙ステーションの内部の空気制御システムの中で、補充する水の量を削減するために、サバティエ反応を利用するという研究が進められている。それは、宇宙ステーションのクルーが生きて

          二酸化炭素の再利用

            一酸化炭素の利用 日中戦争の最中の1938年、石油の供給がひっ迫する中、石炭から石油を製造するために北海道人造石油という会社が設立された。石炭を原料に一酸化炭素と水素をつくり、それを触媒の存在下で高温高圧で反応させ、炭化水素(石油の成分)をつくる技術(フィッシャー・トロプシュ法)が1920年代にドイツで開発されていて、その技術を移入したのである。  1942年に石油製造に成功、敗戦後にかけて1万4000キロリットルの石油を戦地に送り出していたという。  また、化学工業

          二酸化炭素の再利用

          不思議な町、奈良県橿原市

           次男が橿原市にある大学に入学したこともあって、現在橿原市の歴史に興味を持っている。高齢の母が尼崎のサービス付き高齢者住宅で一人暮らしをしていることもあって、年に1回は尼崎を訪れている。ついでに橿原市に2度ほど行き、レンタサイクルで市内を回った(次男は札幌に帰省しているときばかりであるが)。一度目は1月2日だったので、博物館や資料館はほとんど開いていなかった。さすがに4日になったらすべて営業が始まるだろうと思って、今年は4日に橿原に行く予定を立てて、尼崎行きを決めた。ところが

          不思議な町、奈良県橿原市

          2024年は親戚を大切にする年にする!

           Noteに投稿を始めた人間が、今年の抱負はもっとたくさん投稿したいと言うのでは余りにも月並みである。  ほぼ毎年冬休みは、尼崎のサ高住で一人暮らしをしている、母の様子を見に行く。今年はコロナ禍が終わったので、久しぶりに母の部屋に入った。想像通り、ほこりだらけであった。ほこりのたまったテレビまわり、冷蔵庫と電子レンジ、そして父や叔母の遺影や、孫たちの写真のまわりなどを掃除した。テーブルの上にあった、電気ポットを見ると、いつ入れたのかわからないような水が入ったままで、中には黒カ

          2024年は親戚を大切にする年にする!

          考えてもわからない?

           昨年はロシアによるウクライナ侵攻、今年はイスラエルによるガザ攻撃。連日戦争のニュースが流れ、たくさんの人々の命が失われている。人はなぜ殺しあわなければならないのだろうか?これはいくら考えてもわからない。  ウクライナへロシアが侵攻した昨年2月、いわゆる西側諸国は、こぞってロシアを非難し、ウクライナに軍事支援を行った。日本もロシアを非難し、経済制裁などを行っている。ところがアメリカは、2001年にアフガニスタン、2003年にイラクに侵攻しているが、日本は非難するどころか、イラ

          考えてもわからない?

          教員は日々学ぶのだけど

           言うまでもなく、教員の最も大切な業務は授業である。36年間の高校で化学を教えてきた私にとって、授業とその準備を何よりも優先している。教科書の内容は、その時代に合わせて学習指導要領が変更されて、変わっている。しかし、化学は化学の内容はほとんど変わらず、今まで教えてきたことを授業していればよかった。  昨年度実施の新学習指導要領が発表されたときも、理科の科目名と単位数に変更がなかったため、今と同じように授業していればいいと思っていた。   しかし、新しい教科書を見て驚いた。特に

          教員は日々学ぶのだけど

          激動?の2023年

           Noteの「連続投稿チャレンジ」を知り、挑戦してみようと思い立った。そのうちの一つ、「今年を振り返って」として、3つのことを書いてみたい。   1.転勤した  今年3月にいきなり転勤を命じられた。校長には「この学校に続けて勤務してもらえるよう、市教委に強く言っておく」と言われていたので、まさかの転勤であった。「再任用は一年契約」であることと、人事対して校長はほとんど力がないことを実感させられた。  12年ぶりの担任、10年ぶりの職員室常駐、30年ぶりの生徒会担当、そして

          激動?の2023年

          物書きになりたい!

           「その後、わたしはすべての人にわたしの霊を注ぐ。あなたがたの息子や娘は預言し、老人は夢を見、青年は幻を見る」(旧約聖書ヨエル書2章28節)  還暦を超えて2年、残りの人生も少なくなったが、いつも冒頭の聖書の言葉に励まされている。私のように「若葉マーク高齢者」にも、夢を見ることが赦されているのだと。  再任用の2年を含めて、36年間札幌市立高校で主に化学を教えてきた。その中で、「放送」という部活動に出会い、顧問として20年以上生徒と共に活動してきた。卒業後も付き合いのある部員

          物書きになりたい!

          平和をつくる者

           2023年10月7日にパレスチナのガザ地区を実効支配するハマスが、イスラエルに大規模攻撃を仕掛けたことに端を発した、軍事衝突はとどまるところを知らず、毎日のように病院、学校、住宅などの民間人の施設が攻撃され、たくさんの人が犠牲になっていることに、多くの人が心痛めていることだろう。なぜ、人は殺しあわなければならないのか?ユダヤ人もパレスチナ人も手を取り合い、ともに共存する道を選ばないのだろうか?私は中東問題についてはど素人であるが、ひとりの福音派キリスト教徒として、考えたこと

          平和をつくる者

          ショートショート・独裁者は笑う

           「見てみろ。面白いじゃないか。」執務室のモニターに映る映像を見ながら、N国の独裁者は妹に言った。映像は海を隔てた隣国のニュースだった。N国がミサイルの発射実験を行ったことで、アラートが響き渡り、安全な場所を求めて逃げ惑う人々の姿が映し出されていた。  「そうね。私たちJ国にミサイルを落とすようなまねは絶対しないのに、あんなにうろたえてバカみたい。面白いからもっとやってやりましょうよ。」と妹は言った。  「そうだな。」と独裁者は言った。「そして、J国の軍事費増強に賛成する国民

          ショートショート・独裁者は笑う

          ショートショート・老兵は戦場で死ぬ

           21世紀。日本は超高齢化社会と未曾有の少子化が大きな社会問題となっていた。政府は「異次元の少子化対策」を打ち出していたが、何が「異次元」なのか国民にはさっぱりわからない。国民の苦しみをよそに、防衛費だけは、自衛隊関係者がどうやってそんなに使うのかと悩むほどの増額がされていた。  そんなある日、「某国が日本に宣戦布告するらしい」という情報がネットを駆け巡った。政府は躍起になって否定していたが、否定すればするほど情報は広まり、自衛官は不安になって辞職する人が後を絶たなかった。ほ

          ショートショート・老兵は戦場で死ぬ

          どうしよう?高校「熱化学」

           日本ではほぼ10年おきに「学習指導要領」が改訂される。2022度には、36年目になる教員生活の中で、4回目の学習指導要領改訂があり、現在の高校2年生から新課程(平成30年告示、令和4年度実施)の授業が始まっている。  ほかの教科は科目名も内容も大きく変わり、大変そうであるが、理科は科目名、単位数ともに変更がなく、学習する内容はほとんど変わっていない。よって、今までと同じことを教えていればいいと思っていた。ところが、今回の化学は熱化学分野で大きな変更点があったのだ。これは

          どうしよう?高校「熱化学」

          高齢者に優しい?

           行きつけの店がある。カウンターが10席、4人がけテーブルが3つのファーストフードに属する店である。私はここの親子丼が気に入っていて、よく食べに行く。値段も超お手頃である。店名を言えば、ほとんどの人が知っているであろう全国チェーン店である。  ある日、いつものように券売機で、食券を買ってカウンター席に座って食べ始めたころ、向かいに80代と思しき高齢の男性が座っていた。店員に「食券をご購入ください」と声をかけられて、券売機の前に行き、立ちすくんでいるのが見えた。きっと男性の知っ

          高齢者に優しい?