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#11 もう一度、赤ちゃんの頃のように

息子の電子機器などを制限・禁止する過程で、電子機器などに依存するよりも、もっと息子が楽しめるものを提供できる親になりたいと強く思いました。

息子の電子機器などの依存を断ち切るのは、かなり大変でした。
しかし、息子は次第に笑顔を取り戻すことができ、次々と面白い変化が現れました。

息子は、小さな頃に大好きだった児童書や絵本を集中して読むようになりました。
そして、小さな頃に大好きだったレゴやカプラ(積み木)で、長時間遊ぶようになりました。
小さな頃には作れなかった大作を次々と作り出し、完成すると得意そうに私に見せてくれました。
私はコンプリメントしながら、そんな息子の様子を見守っていました。

それから、ベッドの中に赤ちゃんの頃から大好きだったぬいぐるみをたくさん持ち込み、キレイに並べて眠るようになりました。

息子が赤ちゃん返りをし始めたんです。
眠っている姿が赤ちゃんの頃と同じでした。

あー、なんて可愛いんだろう…。
私は、息子を赤ちゃんの頃からもう一度育て直すチャンスをもらえたんだ。

不登校になって、大変なこともたくさんあるけど、息子を育て直すチャンスをもらえたことや、もう一度赤ちゃんの頃の息子に会えたことは、まるで奇跡のようでした。

それからは、息子と一緒におやつや夕食を作ったり、一緒にカードゲームやボードゲームなどをして楽しんだり、夜は一緒のベッドで眠るようになりました。

息子は、夏休みに入ると一切の勉強を嫌がり、1秒たりとも鉛筆がもてなくなっていましたが、少しずつ勉強もできるようになっていきました。

学校がある日は、なるべく学校の時間割通りに勉強することを目標にしていましたが、そんなに簡単に上手くいくはずもなく…。

苦肉の策で、息子がレゴをしている隣で私が教科書を読み上げクイズ形式で問題を試しに出してみたところ、息子が普通に答えてくれました。

レゴで遊んでいるのに私の声を聞いているし内容を覚えているんだ!ってわかったので、しばらくのうちは教科書の読み聞かせをしていました。

息子が飽きたり嫌がらないように、息子を観察しながらほんの少しの時間だったけど…。

たとえ数分間でも、遊びながらでもなんでもいい。
私の声に息子が反応してくれるのがすごーく嬉しかった。

そして、息子の小さな頃に好きだった迷路や簡単な脳トレなどのプリントを一緒にチャレンジして遊び、鉛筆を少しでも握る時間を増やしていきました。

勉強の合間にトランプやボードゲームを取り入れて、勉強もゲーム感覚で取り組んでいくと、少しずつ机に向かう時間も増えていきました。

持っていた大量の児童書や絵本を息子はすべて読み切ると、次第に本も読むようになってきたので、息子の本棚の片隅に私が選んだ本を数冊隠して絵本のミッケみたいに気付くのを待ちました。

本のジャンルは青春もの。
ついついワクワクしちゃうような本を選びました。

息子が私の選んだ本に気付き、抵抗なく本を読み始めたので、私も一緒に同じ本を読み、感想を話し合い、本を通してコミュニケーションが増えていきました。

息子は本をすべて読みきると私に新しい本を頼むようになりました。
自分の好きな本を選んでいいよ!って言っても、私が選んだ本を好んで読んでいました。

この本を通したコミュニケーションは、息子が再登校したあともすごく役に立ちました。

息子の笑顔も増え、期末試験の勉強を前向きに取り組めるようになった頃、息子が「なんだか、学校に行けそうな気がする」って呟きました。
「期末試験を受けたいから来週から学校に行くよ」って。

息子の言葉はすごく嬉しかったけど、息子の電子機器の依存よりも何百倍も厄介な再登校を邪魔する存在が現れました…。



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