#29 過干渉・過保護と任せること
「○○のことは任せるよ」
一度任せたら任せきる。
一度任せたら、二度と手出し口出し出来ないとしたら、あなたは子どもに何を任せられますか?
この質問の答えで、自分が過干渉・過保護の親かどうかが分かります。
過干渉・過保護の親は、「任せること」が苦手です。
意識して何かを任せようと思ってみても、子どもに何を任せて良いのか分からなくて、パタリと動きが止まってしまうんです。
私は、息子が不登校になるまで、自分が過干渉・過保護な親だと認識していませんでした。
しかし、「任せること」を意識することで、自分が過干渉・過保護な親だと気付くことができました。
子どもの体調が日々悪化していくうちに、知らず知らずのうちに子どもに気を遣いすぎてしまい、かなりの過干渉・過保護になってしまっていたようです。
子どもに任せた以上、どんな結果も受け入れる。
やる選択もやらない選択も子どもができる。
案外、親って何かを任せる時に、「やる前提」で子どもに任せてしまいがちなので、子どもがやらない選択をしても良いと許可を出すのはかなり勇気がいりますよね。
私は中学1年生の息子に対して、お風呂に入ることや歯を磨くことすら任せることができない親でした。
そんな私が、最初に息子に任せられたことは、「おやつのこと」でした。
不登校の底で、顔色は青白く、食欲もまだない頃です。
冷蔵庫にいろんな種類のデザートや、簡単に作れるフルーチェとかポップコーンとかを用意して、息子が食べたいおやつを自分で選べるように準備しておきました。
はじめの頃は、まったくおやつにも興味を示さなかったけれど、少しずつゼリーやプリンなどを選ぶようになって、それからポップコーンやフルーチェなどの手軽に作れるもの、ホットケーキミックスを使ってお菓子を作ったり、スイートポテトなどの手作りおやつも楽しめるようになっていきました。
おやつを食べるより、おやつを作る時間の方が大切になってきて、一緒におやつを作ったり、お料理なども一緒に作ったりする中で任せる範囲が広がっていきました。
私も「任せる」に少しずつ慣れていき、任せることを段々増やせるようになっていきました。
こんな風に少しずつ「任せる」範囲を広げていくことで、親の欲や執着を手放せていけたように感じています。
私の両親と買い物に行ったときの出来事です。
父がウォーキング用に欲しいお洋服があったんですけど…。
父の「これどうかな?買おうかな。」の問いに、
母は、「あなたに任せますよ。」ってひと言。
何度も「どう思う?」と聞く父に、「あなたが欲しいなら買えばいいし、自分で決めたらいいでしょ?」って父にすべてを任せていました。
父はその服の魅力を母にしばらく伝えていましたが、結局その服の購入は諦めていました。
母が父のいないところで私に、
「どうしてあんなに自分のことを決められないのかしら。欲しいなら好きに買えばいいのに…。優柔不断なんだから。」って。
この二人のやり取りを見ていて、言葉だけで「任せる」を使っていても意味がないことに気付きました。
母は、父がウォーキングをしないことを知っていて、夜のウォーキングをするためだけに何万円もお金をかけることが許せないし、意味がないと思っている。
口では「任せる」と言っていても、態度までは隠せていない。
父は、欲しい洋服を買うのかどうかを悩んでいたのではなく、買ったあとの母の反応を想像して購入を諦めていた。
「この服を買ったらウォーキングするって言っていましたよね?」
って後からグチグチ文句を言われるのを想像してやめただけ。
父の欲しかった反応は、
「あなたに良く似合うわね。とっても素敵!センスがいい!これを着たらウォーキングが楽しくなるわね」
父の欲しかった反応をあえてせずに、突き放すように父の自己決定で買わなかったことにしたかった母。
「お父さんが優柔不断なのではなく、買わないように仕向けたのはお母さんの方じゃないの?」
って母に聞いたら、図星だったらしくお腹を抱えて笑っていました。
「任せるよ」
って言われた方は、自分のとった行動で相手にどんな反応をされるのか気になってしまう。
相手の反応をうかがう態度が、優柔不断に見えてしまっているだけかもしれません。
「任せるよ」
って口では言っても、心の底からは何も任せてはいなくて、雰囲気や態度に本心がダダ漏れ。
そんな任せ方ばかりしていたら、親の顔色ばかりをうかがって、親の期待通りの行動をする子に育ててしまう。
これでは、子どもの自主性は伸びないですよね。
「任せるよ」
何を選んでも、どんな決定をしたとしても、子どもの決定したことを尊重する。
決定したことを、後からあれやこれやと文句を言わない。
どんなことでも息子の決定したことを喜んで尊重できるような親になりたいなぁと思いました。
「あなたの部屋のことは任せるよ」って息子に任せてから4年。
ゴミ箱みたいに汚かった部屋は、今ではキレイな部屋に生まれ変わりました。
息子は4年のうちに何度も模様替えをしています。
2年くらいしか使っていないベットを一人で解体して粗大ごみに出したり、余計なものは全て処分してしまいました。
そして、お誕生日のお祝いのお金やお小遣いを貯めて、欲しい家具やパソコンの周辺機器やモニターなどを買い足して、最高に居心地の良い空間作りを楽しんでいます。
こんなところからも、息子の成長が感じられて嬉しいです。
「任せる」も使い方によっては操作になってしまうので、「任せる」時は子どもを信じて見守り、自主性を伸ばしていけるように愛情と承認の言葉がけが大切です。
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