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#9 過去の記憶を塗り替えて、自分のことも育て直す

面白い変化といえば…。
トレーニングを始めてから、私にも次々と面白い変化がありました。

息子にコンプリメントをかけていくうちに、右も左もわからずに真っ暗闇の中を彷徨っていた感覚から気付いたら抜け出せていました。

真っ暗闇から深い霧に変わり、少しずつ霧が晴れて視界が急に開けたと思ったら、ちょっと小高い見晴らしの良い高台まで歩いてこれていました。

着実に一歩一歩、地に足をつけて歩いている。

息子にコンプリメントの言葉がけをすることで、親としての行動に少しずつ自信が持てるようになりました。

トレーニングで、
「ものの見方・考え方・行動の仕方を変える」、「いらない過去は捨てる」、「すべてのことに意味がある」と教えていただきました。

これらの言葉、何か困ったことがあったときに唱えるおまじないの言葉として今でも大切にしています。

トレーニングを開始しようとした直後に、母から言われた言葉をキッカケに、私の中の小さな子どもがワンワン泣き出していました。

息子にコンプリメントをしていると、私の心もとても苦しくなるので、ついでに過去の私にもコンプリメントをしてあげようと思い付きました。

夜寝る前に、布団の中で過去を振り返る時間を作りました。

「ものの見方・考え方・行動の仕方を変える」、「いらない過去は捨てる」、「すべてのことに意味がある」を意識しながら、「したこと・できたこと」に目を向けて、過去を振り返りながら私自身をコンプリメント。

まず最初に思い出したのは中学1~2年生の頃。
息子と同じ年頃でした。

その頃の私は、クラスの複数の男子生徒からイジメを受けていました。
私は標準体重だったし、他の人と比べてみても、なぜ私が容姿のことでイジメにあわなければならないのかわかりませんでしたが、歩いているだけで「デブ」「ブタ」「100tデブ」と体格いじりをされるようになりました。

ただ、教室を歩いているだけで、「地震だ!デブが歩くと学校が揺れる」とクラスの男子たちがよろける真似をしたり、ロッカーに置いてあるノートに太っている女の子の絵と私の名前、それからたくさんの悪口が書かれていたり…。

他にもたくさんの嫌がらせを受けていました。

担任の先生に何度も相談しましたが、「言われる方に問題がある」とイジメる側を肯定し、私に「大人の対応をしなさい!我慢しなさい!」と言いました。

「先生も私が太っていると思いますか?」
と尋ねてみると、

「みんなが太っていると言っているんだから、太っているんじゃない?」
と笑いました。

男子生徒にイジメられるよりも、先生のその発言と片方の口角だけ上げたイヤミな笑い方がすごくショックで悲しくて悔しくて…。

私は、その日から先生への当てつけのように一切給食を食べることをやめ、ダイエットをはじめました。

毎日、給食の時間は憂鬱でした。
一切給食を食べずに席に座っていることをクラスメイトから非難され続けるのは大変苦痛でした。

家でも食事の量を減らし、ご飯とお味噌汁を少量食べるだけに。
少し食事制限をするだけで、体重が面白いほど落ちていくのが嬉しかった…。

夏休み中には、更に食べる量が減っていきました。
1回の食事で食べるのは、小さなトマト1個だけ。
トマトを食べると口が荒れてしまうので、キュウリ1本だけになり…。

次第に食べることがストレスに感じるようになりました。
お茶にはカロリーなんてほとんどないってわかっているのに、色の付いたお茶を口に入れることにも拒絶反応がでるようになりました。

常にお腹を空かせていて、動けないからベッドで過ごす時間が多くなりました。

母は、そんな私をすごく心配して、私の大好物を作ったり、手作りケーキを焼いてくれましたが、私が頑なに食べないので、最初のうちはすごく怒りました。

あるとき、私の本棚の隅っこに私と同じ年齢の拒食症の女の子のノンフィクションの本が置いてあることに気付きました。
本の中の女の子と私は良く似ていたけど、その子はどんどん痩せていき最後は入院してしまいました。

だけど私は、まだまだ太っているし、拒食症なんて大げさだなってどこか他人事だったのを覚えています。

2~3カ月くらいで体重が10キロ近く痩せました。
母から体重計に乗るように言われ、母の前で体重計に乗ってみるとベスト記録を更新していました。

すごく嬉しくて、すごーく喜んでいると母が突然号泣したんです。

私を抱きしめて体中の水分が全部無くなるんじゃないかってほど泣いていました。
「女の子は少しふっくらしていた方が可愛いよ。こんなに痩せちゃダメだよ。皮と骨だけになっちゃうよ。これ以上痩せたら死んじゃう。お母さんの大好きで大切な愛梨が死んだら嫌だよ。もう、ダイエットはやめて…。あなたは充分魅力的だよ」って。

母は泣きながら私を抱きしめて、母の思いをたくさん伝えてくれました。

私も母を悲しませたくてダイエットしている訳じゃないから、母をそんな風に泣かせるのはすごく心が苦しかったです。

母は私を抱きしめて離さずに、そのまま疲れて眠ってしまいました。
私も一緒に泣きながら気付いたら眠っていました。

母は、その日から私のベッドで一緒に眠ってくれるようになりました。
夜、母とネコと私とシングルベッドでいろんな話をして、母の温もりを感じて安心して眠りました。

母をこれ以上悲しませたくないから、母の前では少しだけ食事もとるようになりました。

その頃のことを思い出すと、いつも母は私を見てくれていました。
いつも母の視線を感じていたことを覚えています。

この記憶も、ずっと忘れていた記憶でした。

コンプリメントに出会ってから、この記憶を思い出したことで、私はあることに気付きました。

私は、自信の水が満たされる経験をしていたんです。
母が私を抱きしめて号泣したとき、母の涙が私の心のコップを満タンに満たしてくれました。
過去をコンプリメントしたことで、母からの愛情をシャワーのように受け取る事ができました。

自信の水を入れると動き出すことも、自分で自分の自信の水をいれられるようになることも、私は経験していました。

「心のコップに自信の水を入れると動き出す」感覚を私は知っているし、方法も知っていた。

これは、息子にコンプリメントをする上ですごく役に立ちました。

私はずっと、自分の力でイジメを克服したと思い込んでいたけど、それは違っていました。
母から大きなパワーをもらっていたんです。

過去の自分をコンプリメントすることで、大切なことに気付き、パワフルなリソースを受け取ることができました。

こんな風に自分自身の過去をコンプリメントすることで、過去からたくさんのリソースを現在に持ってくることができるようになりました。

次にたどり着いた記憶の中で、私は最強の伴走者たちに出会えました。
そして、コンプリメントで世界で一番幸せなお母さんになるために、とっても大切なことも教えてもらいました。

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