人生の果て
体力が戻ってきたので、本をのむように読む。
村上春樹の海辺のカフカの一部。
「比重のある時間が、多義的な古い夢のように君にのしかかってくる。
君はその時間をくぐり抜けるように移動をつづける。
たとえ世界の縁までいっても、君はそんな時間から逃れることができないだろう。
でも、もしそうだとしても、君はやはり世界の縁まで行かないわけにはいかない。
世界の縁まで行かないことにはできないことだってあるのだから。」
カフカにとっての逃れられない時間が、
私たちにとっての辛く重い鬱々とした日々と重なる。
私たちは、決して見ないふりをできない。
過去や未来から飛んでくる、私たちを殺そうとする私たちと、きっと向き合い続けなければいけない。
でも、「世界の縁まで行かないことにはできないことだってある」
私たちも、人生の果てに、
私がこうでなければ決して得られなかった生きてきたことへの幸福感、肯定感を獲得することができるだろうか。