オスを狩る微生物の犯行現場が見つかる
とんでもない微生物が発見されました。まずはプレスリリースを紹介します。
ようは、
Oscarという細菌がオスだけを殺すたんぱく質を発見し、そのメカニズムを解明した、
という話です。
ネーミングについては・・・あえてこれ以上触れません☺
まずタイトルにある「共生細菌」ですが、名前の通り宿主に寄生し、特にこの細菌は主に昆虫の細胞の中にまで感染します。
メカニズムの話に入る前に、細菌=悪とイメージを持つ方もいるかもしれませんが、例えば我々人類の中には数百兆個(!)の細菌が存在し、それぞれの役割を担っています。逆に「乳酸菌」とかはサイキン(失礼)よく食品のパッケージ表示で見かけます。
ただ、今回取り上げたボルバキアが宿主にとって利他的に活動しているかというと、そうでもないようです。
これは、他の細菌どころか生命体共通の原理ともいえますが、やはり自らの存続を本能的に優先します。これは何となく想像つくと思います。
そして子孫を残るのはやはりDNAが詰まっている「染色体」で、大きくオス(父)・メス(母)で分かれます。
ボルバキアはメス系で次世代に伝わることが分かっており、したがってオスを殺すことでメス割合を増やそうとします。
共感は出来ないと思いますが、「殺す論理」は理解いただけたでしょうか?
そして今回は分子レベルまでそのメカニズムが解明されています。
そもそもですが、オス・メスを決定する過程がわかってませんでした。
それが2014年に日本の研究グループ(こちら)が、piRNA内のMascという遺伝子が決定する因子であることを突き止めました。
そして、ボルバキアはこのMascを狙っているということが解明されました。
冒頭記事内の図を引用しておきます。
今後はさらに研究を深堀し、ボルバキアがどのようにこのMascを探し当てるのかを解明していきます。
気になるのが、こういったある意味エゴで自身の存続を優先することで、肝心の宿主のオス・メス均衡が崩れて宿主自身の種の存続です。
特に、ボルバキアはマイナーではなくメジャーリーグ級で、実に昆虫全体の半分以上に感染しているそうです。
ということで、ボルバキアが気になってWikipediaを覗いてみました。
この中に、下記記載があります。
ようは、メスだけで子孫を残せるということです。
これには「子孫を残すにはオスとメスが必要」という自分の常識がガツンと打ち砕かれました。
そもそも、オスとメスという性の定義とメカニズムから考え直さないとこの謎に立ち向かうのは厳しそうです。
1オスとしては耳が痛い結果になるかもしれませんが・・・、またどこかで生物の性については調べてみたいと思います。
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