福岡 浩二

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福岡 浩二

宇宙・生命・知能に関わる話題が大好き。 <運営コミュニティ> https://enjoyscience.doorkeeper.jp/ https://sustainableq.doorkeeper.jp/ https://after-chatgpt.doorkeeper.jp/

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最近の記事

宇宙を解き明かす先駆者:カール・セーガンの科学的遺産

11/9は、SF作家カール・セーガン(Carl Sagan、1934–1996)の生誕日でした。それを記念した記事があったので、科学者としての一面を紹介します。 今回の内容は、主に上記と下記伝記を参考にしています。 元々宇宙天文学を志して惑星科学者となり、地球外生命体探索(SETI)について、NASAと一緒に取り組んでいました。 おそらく科学者として世間に知られたのは、ボイジャーとバイキングと呼ばれる、探査機に積まれた人類情報を届ける考案者としてだと思います。(今では賛

    • プレートテクトニクスと生命誕生

      地殻移動を意味する「プレートテクトニクス」が、地球の生命誕生に思った以上に寄与していたかもしれない、という記事を見かけました。 プレートテクトニクスは、以前にも同じ文脈(生命誕生の必要要素)で、地球外生命体探索で有名なドレイク方程式に追加提案されたこともあります。その時に紹介した過去記事を載せておきます。 少なくとも、多細胞生物が複雑になってからは、地殻移動が生命進化に貢献したのでは、という話はよく知られています。 たとえば下記記事によれば、プレートテクトニクスの活動がシ

      • 米国大統領選挙によるAI規制の動き

        米国大統領選挙が終わりました。結果云々よりも、まずは前回のような暴動が起こらなかったことにほっとしています。 今回トランプが当選したことで、科学技術の政策レベルでもいくつか影響があり、その1つが「AI規制」に関するものです。 1つ記事を紹介します。 ようは、 トランプ政権では、バイデン現大統領が制定したAI規制を撤廃する予定、 というはなしです。 この規制の主だった内容は、企業がAIの訓練方法や脆弱性テストデータを含むセキュリティ対策に関する報告書や利用企業向けガイダ

        • 負の屈折率を実現した革命者、ジョン・ペンドリーの業績と来日

          以前に、生物の透明化技術について紹介しました。 前回は、とある企業の取り組みを中心に紹介しましたが、この原理を開発した研究者が丁度今来日しています。 英国の理論物理学者ジョン・ペンドリー氏(Sir John Brian Pendry)です。 ペンドリー氏は、電磁波の波長よりも小さな微細構造体を設計することで、自然界には存在しない特異な電磁気的性質を持つ物質、いわゆる「メタマテリアル」が実現可能であることを理論的に示しました。 この理論は、負の屈折率を持つ「スーパーレン

        宇宙を解き明かす先駆者:カール・セーガンの科学的遺産

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          H3ロケット4号機で打ち上げられた防衛通信衛星「きらめき3号」の役割と意義

          H3ロケット4号機が無事打ち上げを成功しました。 商用機としては2機目です。 今回打ち上げたものは、防衛通信衛星です。H3はもう安心して打ち上げLIVEを観ていられたので、今回はH3でなくその衛星について紹介したいと思います。 この通信衛星は「きらめき3号」と呼ばれ、名前が示すように既に同類の衛星が2機運用されています。 「きらめき3号」は、Xバンド通信を利用した防衛通信衛星であり、天候に左右されにくい安定した通信が可能です。 これにより、陸上・海上・航空自衛隊間の高

          H3ロケット4号機で打ち上げられた防衛通信衛星「きらめき3号」の役割と意義

          匂いはどのように感じる?嗅覚を巡る科学と謎の最前線

          前回の流れで、ヒトの嗅覚でいまだ解けぬ謎について紹介します。 まずは、Wikiから基本的な仕組みを。 ざっくり言えば、匂いを持つ物質を、下図6の「嗅覚受容細胞」がキャッチするのがスタートです。 その「匂い物質」を受けとめると、あるタンパク質が活発になり、その刺激が脳に伝達されるという流れです。 その重要な役割を担う嗅覚受容細胞ですが、「嗅覚受容体」という名称で分類され、約400種類が発見されています。(機能不全タイプも800超あるそうですが今回は割愛) 人間以外の哺乳

          匂いはどのように感じる?嗅覚を巡る科学と謎の最前線

          香りが認知症予防に?嗅覚と健康の深い関係

          以前に、五感は脳で相互作用しているかもしれない、というトピックを取り上げました。 上記の例でとりあげた「嗅覚」ですが、最近こんな記事が投稿されています。 ようは、 嗅覚障害が、アルツハイマー病やパーキンソン病など深刻な健康問題の予兆かもしれない、 というはなしです。 2つ目の元論文では性別や年齢、そして食事での関連性も示唆してますが、その真偽はともかく、相関のある100以上の症状リストを見ると、驚くほど多様です。一見嗅覚とは関係なさそうなものも多いです。 冒頭記事を読

          香りが認知症予防に?嗅覚と健康の深い関係

          AIが仲介する民主主義の可能性

          いよいよ米国大統領の選挙週間がやってきました。最終コーナーの今、気候変動とは異なる文脈で「ゴミ」問題が話題になっています。(しゃれにもならないですが・・・) こういった争いを見ていると、なんならAIに政治を任せたいと思ってしまうのは私だけではないかなと感じます。 その極端な例として、AIを神とする宗教を立ち上げた元Google社員の話題を過去取り上げました。(今は閉鎖) さすがにそこまではやりすぎだと思いますが、ただ民主主義を改善する方法としてAIがうまく使えないか?と

          AIが仲介する民主主義の可能性

          クリーンエネルギーの新時代!動物が光合成する日も近い?

          驚きの発表が日本の研究グループから行われました。 植物特有の光合成を、動物でも行わせることに成功した、 というはなしです。 光合成の仕組みについては過去触れたので、載せておきます。 光合成をおこなうのは、葉緑体と呼ばれる植物(藻類含む)特有の器官です。 今から10億年以上も前に、独立した細菌を取り込んで共生して誕生したと考えられています。同じような仕組みとして、動植物共通の器官にミトコンドリアがあります。このあたりは過去にも生命の「エネルギー革命」として取り上げたので、

          クリーンエネルギーの新時代!動物が光合成する日も近い?

          地上と宇宙でのハロウィン

          以前に、ISS(宇宙ステーション)で感謝祭(サンクスギビングデイ)を祝う話をお届けしました。 まもなく今年も感謝祭を迎えますが、その前に米国ではおなじみのハロウィンが10/31に行われました。 上記を読むと、元々はアメリカもキリスト教も関係がない、古代ケルト人の信仰(多神教)によるもので死者が一時的に現生にもどってくるのを祝う風習だそうです。 それが、ローマ帝国がキリスト教を認め、その布教の過程で徐々に統合し、今の形態になったとのこと。 元々多神教であることや盆の風習に

          地上と宇宙でのハロウィン

          日本最北端にある注目のスペースポート(宇宙港)

          日本の基幹ロケットH3の商用向け2回目(テスト含めると4回目)となる打ち上げが、11月2日に行われます。 何度か打ち上げ延期が続きましたが、天候不良によるものです。JAXAが公開している打ち上げ制約条件を参考までに貼っておきます。 ロケット射場は一般的に「スペースポート」と呼ばれます。 一番有名なのは種子島で、H3もここから発射されます。付近には同じく鹿児島県の内之倉という射場もあります。 過去に大分県の取り組みについても触れました。こちら私も一時期関わっており、今で

          日本最北端にある注目のスペースポート(宇宙港)

          複雑系と創発現象がもたらす自然と人工知能の交点

          AI(人工知能)が長年人間の知能(脳)に及ばないのが、その汎用性です。 単に特定の目的に特化した単一機能であれば、すでに人間を凌駕しているといってもよいと思います。(ゲームが分かり易い例) その汎用性の獲得、いわゆるAGI(汎用人工知能)の実現に今生成AIベンダーたちがしのぎを削っているわけです。 その通過点になるかもしれないのが「創発」という現象です。 以前にも、知能ではなく「生命」の文脈で創発現象について触れました。 この「創発」という現象は、色んな文脈で使われ

          複雑系と創発現象がもたらす自然と人工知能の交点

          ダーウィン進化論とイスラム教

          ダーウィンの進化論によれば、人類はサルから進化したことになります。 このことで、人類起源に言及する宗教とはしばしば衝突が起こります。 有名なケースがキリスト教、いわゆる神による人類創造のくだりです。過去の関連投稿を載せておきます。 ちなみにアメリカは州単位で進化論のスタンスを決めていますが、トルコでは国全体として大学まで進化論を教えない、という方針を2017年に出しています。 トルコはほぼすべてがイスラム教です。既にキリスト教に次ぐ世界最大宗教信徒数を誇っています。

          ダーウィン進化論とイスラム教

          ダーウィン進化論とエピジェネティクス:現代科学が明らかにする新たな遺伝のメカニズム

          以前に、進化論が補正されている話を書きました。 ようは、 ダーウィンの進化論と対極にある獲得形質説も起こりえることが分かった、 というはなしです。 今ではエピジェネティクスという言葉で総称されています。ざっくりいえば、遺伝子のスイッチにあたる調節弁のような仕組みで、これが継承される現象が実験で確認されました。 その有名な実験例としてマウスのストレス実験とだけ書きましたが、重要な生命科学史の一幕なのでもう少し補足します。一般向け記事でも出ていたので、1つ貼っておきます。

          ダーウィン進化論とエピジェネティクス:現代科学が明らかにする新たな遺伝のメカニズム

          古代の巨大衝突!月の盆地が語る地球との絆

          月に関する最新情報です。 新たな研究報告によると、月面最古かつ過去最大の隕石衝突地点の年代を特定することに成功しました。 月面上で最大かつ最古の衝突地点として知られるのは、月の裏側に約1,250マイル(2,000キロメートル)にわたって広がる南極エイトケン盆地(SPA)です。過去にも紹介したことがあるので、参考までに載せておきます。 新たな研究の結果、科学者たちはSPA盆地が43億2,000万年前から43億3,000万年前のものであると特定しました。ちなみに、地球が誕生

          古代の巨大衝突!月の盆地が語る地球との絆

          今見直されているもう1つの進化論

          「進化論」と聞くと、だれもがダーウィンを思い浮かべると思います。1859年に、あの有名な「種の起源」を著しました。 実はそれより以前に、進化論を唱えている研究者がいました。 フランスの博物学者ジャン=バティスト・ラマルク(Jean-Baptiste Lamarck)です。 ラマルクは、種の起源に先立つ半世紀前(1809年)に独自の進化論を提唱しました。彼の理論はダーウィンのものとは異なり、獲得形質の遺伝(生涯で獲得した特性が子孫に引き継がれる)を重視していました。 そ

          今見直されているもう1つの進化論