先住民が知っている「自然な」科学
サイエンス誌に今年話題になる予測記事がこちらで投稿されています。
ざっくり見出しを要約すると下記のとおりです。
気候変動:エルニーニョ現象の加速
世界の平均気温が産業革命前の水準を初めて1.5℃上回る可能性。
エルニーニョによるアマゾンとオーストラリアの干ばつ悪化の懸念。
米国の政治と科学
11月の国政選挙が科学業界の助成金打ち切りなど悪い影響を与える。
AI規制への動き
米国政府がAI開発の基準を設定。
欧州連合は倫理的保護措置の導入に近づいている。
感染症対策:デング熱との戦い
改良された蚊を使用したデング熱防止策の拡大。
世界保健機関による蚊の配備に関する新しい指針の期待。
ロングコロナ治療法の試験
長い期間にわたるコロナ症状への治療法に関する最初の臨床試験の結果が報告される見込み。
素粒子物理学:ニュートリノ質量の解明
2つの実験を通じてニュートリノの質量の謎に迫る。
人類学:先住民族との協力
先住民族の知識を西洋科学に統合する取り組み。
新たなパートナーシップの構築と文化間の和解の進展。
EU環境政策への挑戦
極右・国家主義政党の台頭による環境政策への反対の強化。
エネルギー:核融合実験炉ITERの進展
複数の困難に直面し、完成日の延期が予想される。
惑星科学:ヨーロッパクリッパー探査機
木星の衛星エウロパの探査を目的としたNASAのミッション。
いずれも興味深いですが、全体としてネガティブな記事(&よく聞く話題)なのがやや残念です。
そのなかでも、5が新しい切り口で思わずうなってしまいました。
こちらに詳細の記事が掲載されてますが、先住民族と西洋科学を合わせたセンター(CBIKS)が開設されました。
いくつかテーマがあると思いますが、冒頭記事でいくつか提示された「環境」分野ではプラスに働くことが多いと思います。
西洋科学で研究を深めた結果、それが先住民族の知恵だったというケースはよく聞きます。
1つ記事を紹介します。
ようは、
森を構成する個々の木々は地下(根や菌類)ネットワークを築いており、先住民はそれを踏まえたかのような自然と調和する行動をとっている、
という話です。
上記事内でも紹介されている、TED動画も引用しておきます。
自然が全体として生存しつづけるよう最適化している、というテーマは以前からあり、そのスケールが最大のものは「ガイア理論」かもしれません。
以前にその提唱者の話をしたので引用しておきます。
よくよく考えたら、生命は共通の原理(セントラルドグマ)と分かっており、その生命を維持しようとする仕組み(恒常性。ホメオスタシス)も共通であることは驚くことではないかもしれません。
植物も、我々のセンサーである目と耳ではわかりませんが、実は生態系全体にとって最適な活動を行っているというのは、むしろ驚くべきことかもしれません。