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『詩』うちは白やで

うちのなかにうちの白があるんよ
うちは白やけど うちは白やで
ほんまのうちはきっと誰にも見えへんよ
自分 ほんまのうちを見たことある?
難しいこと言うたらな 白て
色をぜーんぶ反射して 残ったもんが
白なんやて
それって<白>そのものやないやん
それってうち自身やないやん


白て色は不思議やね
白は白のなかにいるうちは見えぇへんから
周りに色がおってくれな
そんなうちは色なんやろか それとも
色やないんやろか? けど絵具にも
色鉛筆にもパステルにも
白はあるし
白は白だけやと何の役にも立てへんけど
けどやっぱりあるし
そんでもってうちは白やし


うちのなかにもうちの白はあるんよ
どこまで行っても白やけど
どこ行かんでも白やけど
そこにあれへんかったらそれが白やし
白色があったらそれが白やし
白は何にでも染まる言うけど
ほんまは何色にも染まれへん
そんなん言うたかて
赤乗せたら赤になるやないか て
あれはうちが染まったんやない 単に赤が
うちの上に乗っただけや
なんなら 赤 落としてみ?
残るんは白や


白はほんまに純潔やろか?
うちはほんまに純潔やろか?
うちは白やけど うちのことは
ほんまは何もよう知らん
初めに白があってそっから始まる
初めに白を塗ってそっから始まる けど
そっから始まる言うんは
そこにはまだ何もない 言うことやろか?
うちはそこにおるけど
うちはそこにはおらん なら
そこにおるんはいったいだれ?
そこにおるうちはいったいだれ?


白て 嘘つきやね
うちは嘘つきやね
うちは純潔なんかやあれへん
そこにある言うても
ほんまはあれへん
あれへん言うても
ほんまはそこにある
なぞかけみたいなもんやなぁ
うちは嘘つきやけど嘘つきやない
白はあれへんけどそこにある
うちはほんまのこと言うてる
うちは正直もんや
嘘つきやけど正直もんや
正直もんやけど嘘つきや うちは白やで
そやからうちは腹黒うはない
なんや落とし話みたいやなぁ
うちは白やで




「書く部」のこんなお題が賑わっているようで。

#なりきって書いてみよう

ということで、今回は<白>になってみました。
なぜ関西弁もどきかと言うと、私は白です、とか、僕は白だ、とかあれこれ試してみたのだけれど、どうもしっくりこない。それで、

うちは白やで

とやってみたところ、これが一番!

その昔、児童文学の習作めいたものを書いて今江祥智さんに見ていただいたことがあるというのは以前にもお話しました。その際、登場人物の喋りを関西弁にしたところ、関西出身の今江先生に結構きつく怒られまして。関西弁にもいろいろあって、知らないやつが安易に使うんじゃない、と。
それ以降、関西弁は使わないようにしていたのだけれど、今回、どうもこれが一番しっくりくる。それでこんなことになったのですが、それこそ似非関西弁なので、関西弁というよりはこれは

白弁(しろべん)

だとおもっていただければ。それこそなんか怪しいですけど(汗)。

白という色に疑問を持っていたのはデザインを始めた頃からで、そのおもいをそのまま詩にしてみた次第です。白というやつは本当に難しい。使い方ひとつで作品のイメージがコロッと変わってしまいますね、スマートにも、野暮ったくも。実際、白い部屋ってのはおしゃれです。
そんなこんなで、白は全くわからないです。いかがでしょうか?




今回もお読みいただきありがとうございます。
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