マガジンのカバー画像

超短編集

367
自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
運営しているクリエイター

#ファンタジー

365日目

彼は何もない真っ暗な空間に横たわっていた。 上も下も真っ暗、真っ黒で、何もない。 彼はそ…

SAI
3年前
4

消えた旅人

旅人が世界から消えてしまい、季節が巡らなくなってしまった。 ある場所は春で止まっている。…

SAI
3年前

はしご職人

この星に生まれた者は物心のついたころから梯子を作り始める。 どこまでも続く高い空に向かっ…

SAI
3年前

フー ア ユー

あの日、俺は敗北感を始めて知った。 俺の想像が到底及ばない、そんな人間が存在するなんて思…

SAI
3年前

世紀末の夕暮れ

1999年。 夏。 某所。 少年達は残り少ない夏休みを満喫していた。 その中の一人に平凡な少…

SAI
3年前

巡らせるな

季節を巡らせる旅人がきて、今年も冬になってしまったのは一ヵ月ほど前のことだ。 今回街にや…

SAI
3年前

半透明の自分

ぺちぺちと頬を叩かれて僕は目を覚ました。 気持ちよく眠っていたのに、誰だよ、なんだよもう。 睡眠を邪魔されたという認識だったので、僕は頭を起して周りを確認したのだが誰もいない。 確かに誰か、もしくは何かに頬を叩かれたはずだった。 しかし僕の回りには誰もいない。 その事実が寝起きの不機嫌を加速させる。 くそが…… 小さく悪態をつき、もう一度布団に潜り込む。 右に寝返りを打ち、布団を頬の上まで引き上げる。 これでもう見えない何者かに頬を叩かれることはない。 そ

選ばれなかった君

私は、小さい頃からいつも一番だった。 家の中でも、学校でも、容姿や頭脳に関しても、そう、…

SAI
3年前
1

あたしたちは、最初から同じ地点を目指していたみたいだ。 途中で別々の道に分かれたのにもか…

SAI
3年前

影の日

影の日が近づいている。 そのせいか街の子供たちは、普段よりも少しばかり暗くなっていた。 …

SAI
3年前

伝聞

手を開いたり閉じたり、あの子は空に向かってそんなことをしていた。 声をかけるかどうか迷っ…

SAI
3年前
2

人魚の真相

人魚の肉を食べると不老不死になるという。 僕と彼女は不老不死には興味はなかったけれど、人…

SAI
3年前
1

帰還

マッコウクジラは垂直になって眠る。 彼等が眠っている間なら、僕たちは月に帰ることができる…

SAI
3年前

特注品

鉄の檻に入るのと 石の檻に入るのと 木の檻に入るの 君ならどれに入りたい? 昼飯を食べてうとうとしているときに妙な質問が上から降ってきた。 無視をして目を閉じたままにしていると、まぶたを引っ張られて強制的に起こされてしまった。 なんっだよ! 気持ちよく眠ってたのによ! 眠ってないでしょ! 眠りかけでしょ! 同じことだ! 全然違うわよ! ぎゃーぎゃーと意味を持たない言葉をお互いに投げ合う。 意味のない時間が過ぎていく。 このまま放っておいてもいいのだ