ファミレスの価値は変わりつつある?ガストから見る業界の変化と戦略
こんにちは。Knownsインターンのinokamiです。
みなさん外食は、どの頻度でされていますか?
私は家の近くにある「ガスト」をよく利用しています。
一度の食事で1000円~1500円ほど注文すれば満腹になるほどコスパが良く、とても美味しいので店員さんに顔を覚えられているほど通っています(笑)
そんなガストユーザーである私は、ある日突然1つの疑問が生じました。
『ガストの競合他社や特徴・強みはなんだろう』
実際に、外食をしようと決めた日はガストの他に、「びっくりドンキー」や「サイゼリヤ」など、様々な外食チェーン店で迷うのが恒例となっています。
読者の方々の中にも、似たような気持ちを抱いている人は多いのではないでしょうか。
今回はこの疑問を解決すべく、私が最もおすすめする外食チェーンブランド「ガスト」を中心に、Knowns Bizを使って様々な視点から探っていこうと思います。
ガストについて
ガストの基本情報
ガストは株式会社すかいらーくホールディングスが展開するファミリーレストラン(通称:ファミレス)です。
ガストの他にも「バーミヤン」「ジョナサン」「しゃぶ葉」など、外食好きなら誰もが知るブランドをいくつも展開しており、日本では最大規模のレストランチェーンを経営する会社として知られています。
実際に2023年の外食産業界における各企業の決算報告一覧では、売上高2635.7億円と4番目の数字を叩きだしています。
次に歴史を振り返ってみると、
すかいらーくHDはファミリーレストランという文化の土台を作り上げた企業の1つと言っても過言ではありません。
すかいらーくHDは1970年7月に日本初のファミリーレストランである、すかいらーく1号店(ガスト国立店として現存)を開業し、日本の新しい外食産業時代をリードする存在となりました。
「ガスト」というブランドは現在では全国的に人気のブランドですが、その原点は1992年3月まで遡ります。
第1号店は東京都小平市に「小平店」をオープンし、約32年経った今では1272店舗(2024年4月現在)を展開するほどの大きなブランドとなりました。
※以降のブランドごとの店舗数は、時間軸の基準を統一するために2023年7月時点での店舗数で表記しています。
またブランド名である「ガスト」の由来は、スペイン語で「おいしい」「楽しく味わう」という意味で、気軽に使える店として利用してもらいたいとの願いが込められているそうです。
すかいらーくHDの歴史を更に知りたい場合は以下のURLからご参照ください!
ここでガストの主な特徴をまとめてみました!
・人気メニュー第1位は「チーズINハンバーグ」
・ハンバーグの他にもパスタやピザ、どんぶりや麺類など様々なジャンルの商品を提供している。
・モーニングやハッピーアワーなど時間限定のメニューやサービスが存在する。
・クーポンや株主優待が充実している
では取り上げた特徴を1つずつ簡単に紹介していきます。
ガストといえばやはり「チーズINハンバーグ」ですよね。実際にテレビ番組「ジョブチューン」での人気メニューランキングという企画では、第1位に選ばれ、多くのシェフから好評価を頂いていました。
また、様々なジャンルのメニューが商品化されているのも特徴の1つです。
公式HPに記載されているメニューを見ても分かる通り、看板メニューであるハンバーグの他に、様々なジャンルの商品が販売されています。
更に時間帯限定で「モーニング」や「ハッピーアワー」など、どの時間帯・年齢層でも楽しめるメニューとなっています。
そしてガストではお得な割引券や最新情報のお知らせが充実しているのも特徴です。
ガストで利用できるクーポン券は、ガストの公式アプリや公式X(旧Twitter)などから取得することができます。
最近ですと、ヒロミさんとのコラボキャンペーンが実施されており、最大5000円分のお食事が貰える抽選が行われていました。
ヒロミさんとのコラボキャンペーンについて
株主優待に関しては、100株所有しているだけで年間2000円×2枚の割引券が貰えます。私も株主優待を頂いてますが、年に2回無料で利用しているのでかなりお得に感じています。
Knowns Bizから見るガスト
次に、Knowns Bizを使って分析してみます。
現在購入層における男女比は女性がやや多く、年齢別の構成比では45~49歳と65~69歳が最も高いものの、どの年代の人も利用していることが分かります。
しかし「現在購入層」から「次回購入したくない層」に条件を変更してみると、男性の割合が大きくなり、年齢層の高い年代を中心に大きな割合を占める結果となりました。
イメージ分析では「コスパ・経済性」という点から、私の他にもコスパが良いと感じている人が多いことが分かります。
またイメージ分析での「家庭的・安堵感」や、サイコグラフィックの「自分より家族優先」「家族と親密」などから家族で利用する顧客も多いと考えられます。
≪Knowns Bizについて簡単にご紹介≫
洋食チェーン市場
認知率
1位 ガスト 96.5%
2位 びっくりドンキー 93.2%
3位 ココス 90.4%
満足率
1位 ガスト 61.2%
2位 びっくりドンキー 53.5%
3位 ココス 43.6%
洋食チェーンブランドでは「ガスト」が認知率・満足率ともに1位となり、TOP3はどちらも「びっくりドンキー」と「ココス」という結果になりました。
ガストの比較対象としてびっくりドンキーとココスで迷ったのですが、メニューやサービスの類似性が高いココスで今回は分析を行おうと思います。
ココスはどんなブランド?
ココスは株式会社ゼンショーホールディングスが展開するファミリーレストランで、看板メニューであるハンバーグを中心にパスタや丼ものなど、ガストと似た品揃えとなっています。
また、時間帯が限定されたモーニング限定メニューやテイクアウト・デリバリーなどのサービスも似ている点の1つです。
個人的には「ココスといえばドラえもんのCM」といったイメージがとても強いのですが、皆さんはいかがでしょうか。
ドラえもんのCMが放送されていた期間は2000年から2019年までと言われているので、現在22歳の私は何度もこのCMを見た記憶があります。(笑)
2023年のファミリーレストランチェーン店の店舗数ランキングではガストが1位、ココスが4位であるため、両者ともかなり規模の大きいブランドであると考えられます。
ガスト×ココスのブランド比較
次にKnowns Bizを用いて比較してみます。
結果としては「積極ロイヤル」と「消極ロイヤル」の数値の差が大きくあることが分かりました。つまり現在購入層の割合に大きな差があることになります。この原因を私なりに考察してみました。
1つは店舗数の差が挙げられると考えます。
ガストの方が約700店舗ほど多いので、「家の近くにあるから」という理由でリピート利用する顧客が一定数いるのではないかと思います。
2つ目はデリバリーサービスの差です。コロナの流行に伴って、デリバリーサービスを利用する人がかなり増えたと思います。
どちらのブランドもデリバリーサービスを行っていますが、ココスは独自に宅配サービスを行っているのではなく、外部の宅配サービスと連携して行っていることが分かりました。
対してガストは、すかいらーくHDが持つブランド全体の予約サイトが存在し、独自にデリバリーサービスを行っています。
また画像を見ても分かるように、両者を比較すると受付時間帯や連携している外部の宅配サービスの数などデリバリーサービスという面では、ガストの方がかなり便利であるようにうかがえます。
そしてガストで独自のデリバリーサービスを利用した場合、店舗で購入する商品と比較してもデリバリーの方が約1~2割ほど高いだけですので、店舗に行く手間を省きながらも、ほぼ同額で美味しい料理を家で食べることができるという強みも持ち合わせています。
次にサイコグラフィックをロイヤル層に絞って分析してみると、ガストは「お得感重視消費」や「リターン期待型消費」などの数値が大きく、購入した金額に対してお得と感じる人が多いようです。
対して、ココスは「ブランド消費」の数値が大きいのが1つの特徴でした。つまり、購入した金額に対して満足度が高いことが分かります。
例として「チーズINハンバーグ」で比較してみると、少しココスの方が値段が高いように見えます。
もちろん使用している素材や分量も異なるので一概にガストの方がお得と断定できませんが、消費者目線で言えば値段が高い方が少し高級だと捉えることは多いように考えられます。
ファミリーレストラン市場
次にファミリーレストランという視点で分析してみます。
ガストは洋食チェーンという特徴もありながら、ファミリー向けのレストランという顔も持ち合わせています。
認知率
1位 ガスト 96.4%
2位 サイゼリヤ 94.7%
3位 びっくりドンキー 93.2%
満足率
1位 ガスト 61.2%
2位 サイゼリヤ 60.7%
3位 びっくりドンキー 54.7%
結果としては、ガストが認知率・満足率ともに1位となりました。
しかし、サイゼリヤと数値はほとんど変わらないので両ブランドの違いは他の点にありそうです。
サイゼリヤはどんなブランド?
サイゼリヤは株式会社サイゼリヤが運営するファミリーレストランチェーン店です。
1967年にサイゼリヤの前身である「パーラーサイゼリヤ」の開業を機に、1973年に「サイゼリヤ」へとブランド名を変更し、現在では全国的にも有名なブランドへと進化してきました。
サイゼリヤのイメージといえば、圧倒的なコストパフォーマンスの高さではないでしょうか。
看板メニューである「ミラノ風ドリア」が税込300円であることを筆頭に、パスタ類が500円〜600円、アルコールが100円から飲めたりもするのでとてもお得ですよね。
また満足率が高いことからただ安いだけでなく、美味しいと感じている顧客が多いことも読み取れます。
イメージ分析を用いてガストと比較してみると、一見似たようなグラフにも見えますが「コスパ・経済性」の割合に大きな差があり、アンケート回答者のおよそ半分の人がコスパが良いというイメージを持っています。
今回はガストがメインとなるので、サイゼリヤに関する詳細がもっと知りたいという方は、下の記事で紹介されているので興味がある方は是非こちらもご覧ください!
ガスト×サイゼリヤのブランド比較
次に7 Journey分析を使ってみます。
比較して気になった点はサイゼリヤの「積極ロイヤル」が高いという点です。
先ほどの「ココスvsガスト」では、ガストはかなり数値が高いという印象を持ちましたが、サイゼリヤは更に大きな割合を占める結果となりました。
先程と同様に店舗数で比較してみると、ガストの方が約230店舗多く、店舗数が影響している可能性は低いように考えられます。
またデリバリーサービスに関しては独自のサービスは実施しておらず、外部のデリバリーサービスも関東の1部でしか取り扱っていませんでした。
つまり、「積極ロイヤル」が高い要因は他にあるということです。
次にイメージ分析を「積極ロイヤル」に限定して分析してみると、「コスパ・経済性」には更に大きな差がありました。リピート顧客はより値段を重要視している人が多いようです。
しかし、「コスパ・経済性」に差がある原因はリピート顧客の年齢構成比にありました。画像を見ても分かるように、10代〜30代前半までの「積極ロイヤル」の占める割合にはかなりの差があります。
また時系列7Journey分析を見てみると、コロナによって外出規制や一時閉店などで苦境に立たされた両ブランドは、規制緩和するにつれて全く違った変化となりました。
サイゼリヤは「積極ロイヤル」が上昇する反面、ガストは伸び悩んでいます。
また、サイゼリヤが若い世代から人気がある反面、ガストは10代を中心に「未認知」の割合が多いことも結果として分かりました。
今すぐ自社・競合の顧客構造を見てみたい方へ
振り返り
3つのブランドを用いて様々な結果が分かったので、1つ1つ振り返っていこうと思います。
ファミリーレストランの店舗減少の原因
「ココス×ガスト」でも紹介した「チェーン別店舗数ランキング」の画像にて、店舗数の比較の他に、どのブランドも店舗数が減少している点に興味を持った方もいるのではないでしょうか。
現在、ファミレス業界は新しい変化が求められる時期に差し掛かっています。その理由として、ファミレスの存在価値が変わりつつあることが挙げられます。
昔のファミレスは「だらだら過ごせる空間」という空間価値を持つ人が多かったそうです。主婦が雑談するところ、学生がのんびり勉強するところ、といったイメージでしょうか。
しかし、商品の値上がりやカフェ市場の規模拡大などが原因で「だらだら過ごせる空間」はカフェに移っているのが現状です。
近年ではトレンドに合わせてインスタ映えを狙った商品や店内デザインなど、様々なコンセプトのカフェが誕生しています。
つまり、「だらだら過ごせる空間」という空間価値はより一層カフェへと移っていくのではないかと考えられます。
すかいらーくHDもこの変化に対して、ガストの店舗を中心に「むさしの森珈琲」や「とんから亭」への転換を積極的に行っています。
また、転換したことで売上効果が上昇した店舗も多く、更なる店舗転換やガストの店舗減少が予想されます。
コロナ流行後のガストとサイゼリヤ
「ガスト×サイゼリヤ」で取り上げたコロナ流行以降の「積極ロイヤルの変化」における背景として、商品の値上げが挙げられます。
私もとても驚いたのですが、サイゼリヤは大手飲食企業の中で唯一大きな値上げをしていません。
画像を見ても分かるようにほとんど値上げを行っておらず、コロナ以降も値上げを1度も実施していないことが分かるかと思います。
円安に加えエネルギー関連が値上がりし、国民の所得が伸び悩む中で、サイゼリヤは約20年間ほとんど同じ値段で提供し続けています。
消費者からすれば他のブランドが値上がりし続ける中、サイゼリヤだけ安く食べ続けられるのであればリピートするのは当然ですよね。
逆に値上がりが続くと、「安かったから」「お得だったから」という理由でリピートしていた顧客も遠のいてしまいます。
まとめ
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
ガストの強みや特徴を知れた反面、抱える課題も見えたのかなと感じます。
まずはガストについて分かったことをまとめてみます。
・2023年の外食業界の中で、すかいらーくHDの売上高は2635.7億円と業界内で4番目
・店舗数は1282店舗(2023年7月時点)で飲食業界では多い方である。
・「次回購入したくない」と考えている人は40代以降の割合が高く、男女比では男性の方が多い。
・洋食チェーン市場ではかなり評価が高い。
・ファミリーレストラン市場では評価は高いものの、競合他者と比較すると課題も多い
・ガストの商品は昔と比較してかなり値上がりしている
現在のガストでは、コロナ流行前の売上や来客数を目標に、中長期的な工夫を行っています。DXの推進・強化、セルフレジの導入やペイメント拡充などでお客様サービスの向上、国内外での新規店舗増加、AIロボットの導入と様々な施策を行っています。
環境の変化に合わせて柔軟な対応が求められるガストは、今後も注目すべきブランドなのかもしれません。
今回取り上げたブランドの公式HPを記載しておくので、久しぶりに外食へ行きたくなったという方は是非検討してみて下さい!
≪本記事は新しいバージョンのダッシュボードを利用しております≫
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