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オリジナル小説まとめ

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脳内に沸いちゃったのをちまちま抜いていきます。
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記事一覧

宰相がその赤い液体を口にしようという時、公爵が鋭く響き渡る声で 「吐け!」 と叫んだ。 宰…

木辻明文
9日前

私の答えを聞いて宰相は足を止め、振り返った。 「成る程 そう来ましたか 然しそれも当然か…

木辻明文
2週間前
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私のドッペルゲンガーは相変わらず実に嫌な笑顔をこちらに向けて 「御挨拶ですな 私はただ貴…

木辻明文
3週間前
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三羽の論争は続くにつれて姦しさを増した。 私は大司教に責める目を向けた。 大司教は今度は鍵…

木辻明文
4週間前

大司教が調理場へとやってきた。 「随分と冷え冷えしてますな 何がありました?」 私は輔弼大…

木辻明文
1か月前

私は下を見ないようにしながら楽師団長に尋ねた。 「しかし浮上するだけならこんな高いとこで…

木辻明文
1か月前

「では、いつになったら安定するのだ」 私は御器齧りの姿で宰相に尋ねた。 「固定するのはあなたが女王と出会う時ですが、このワイングラスから出してもいいくらい安定するのはこの船が陸についたときでしょうな」 私は気が楽になった。 船に閉じ込められるのもワイングラスに閉じ込められるのも、この青一色の世界ではそう変わらない。 私は宰相に、他の影の様子を見に行きたいと伝えた。 ご丁寧にも片目を押し付けた状態のまま、宰相は私の入ったグラスを運んで甲板の端で海水を組んでいる内大臣の基へ移動

私は公爵の言う、「部屋の隅に這えたキノコ」が気になり、場所を聞いた。 公爵曰く、蔵の隅に…

木辻明文
1か月前

主はこちらを見据え、答えた。 「木が舟となってしまえば、島の方向も距離も分からなくなるこ…

木辻明文
1か月前
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輔弼大官は横目で私を見た。 「御前は私に名付けられることを望むのか?」 蛇は私の問いに気…

木辻明文
1か月前
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私は首を振った。 宰相が瓢を取り出した。 「そろそろこいつを使う時ですかな」 彼はそういっ…

木辻明文
1か月前
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宰相は苦笑した。 「兎も角、この井戸を調べて見なくては」 そういって彼は石壁の中を覗き込ん…

木辻明文
1か月前
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「この砂は」 内大臣が口を開いた。 「過ぎ去った時間としての死なのだ」 過ぎ去った時間にお…

木辻明文
1か月前

進みながら、私は影に尋ねた。 「もしいつまでも、何事も起こらなければどうするのだ?」 宰相の影が答えた。 「その時はどうしようもない だが、お前が御前として存在する存在なら、そうはならんだろう」 私はその理由を問うた。 「この世界は女王自ら光源となって映し出す映画のようなものだ そういう意味でこの世界で女王の一部でないものは何もない だが、先の言葉が正しければ、お前はそうではない 異なる二つがぶつかるなら、そこに何らかの反応が起こるのは必然というものだ」 宰相はこう答えた。