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どうぶつほらばなし〜ほかすこし長めの文など

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すこし長めの文章がついた新作や未発表作品はここにまとめています。内容的に文章=絵あるいは文章>絵な作品です。
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記事一覧

(※創作大賞2024応募用まとめ) 【どうぶつほらばなし】その1 大熊猫〜仙人と、変わ…

その1 大熊猫〜仙人と、変わった模様の熊のはなし 百年に一度国中の仙人が蓬莱山に集まり…

【どうぶつほらばなし】ある声優の話(『ねこにまつわる10のはなし』より)

ある声優のはなし 虹色の声を持つ声優がいた。 老若男女はては動物にいたるまで、彼に出せな…

【どうぶつほらばなし】縄文の猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

縄文の猫 まだひとが、稲も、村も、作らなかったころのはなし。 変わり者の男がいた。 足が…

【どうぶつほらばなし】人間ひっかく(『ねこにまつわる10のはなし』より)

人間ひっかく また同じような本を買ってきた。 クロは聞こえぬように舌打ちをする。 本の積…

【どうぶつほらばなし】続・喧嘩両生類2(全2話)

これまでのあらすじ 第3章 ふたたびタマちゃんの場合 遠くに聞こえていたくぐもった音が、…

【どうぶつほらばなし】長靴をかいだ猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

長靴をかいだ猫 ショコラは好奇心の強いタイプだった。 猫はだいたい好奇心が強いとおっしゃ…

【どうぶつほらばなし】ねこだまりの猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

ねこだまりの猫 ひげが根本からもぎとられそうな氷風の吹いた日、どん詰まりにある空き家の壁と塀とに挟まれた隙間に、どこからか猫が集まりいつもより大きな「ねこだまり」ができた。 暖を取ろうと身を押し付け合い隙間の形にびっしり埋まる、互いの境も見えないさまは、長方形に広がった、毛皮のプールのようだった。 どれだけの時間まどろんでいただろう。 差し込む細い月明かりが醸す薄い温度にねこだまりの猫は目を覚ます。 不思議と寒さは感じない。それどころか体の奥から熱が、力が溢れだし、じっと

【どうぶつほらばなし】鼠小僧の猫(『ねこにまつわる10のはなし』より)

鼠小僧の猫 貧乏長屋の次郎吉の部屋に居ついた猫のタマ。 忍び込んだとき鉢合わせ、追い立て…

【どうぶつほらばなし】続・喧嘩両生類1(全2話)

第1章 イーちゃんの場合 ここは超満員の沼の下コロシアム。 殺気だった怒号が渦を巻く、…

【ショートショート】6(続・超電戦隊プラズマン)

前回の話はこちら 長官 「よく集まってくれた諸君、今日は君たちにいい知らせと悪い知らせが…

【ショートショート】緑をたいせつに(超電戦隊プラズマン)

長官 「諸君。残念な知らせだ。不況による制作費削減のため、急遽君たちの中のひとりをリスト…

【どうぶつほらばなし】浦島(『ねこにまつわる10のはなし』より)

浦島 箱の中から吹き出す白煙に全身を包まれた太郎。 すっかり煙が去った後そこに立っていた…

【どうぶつほらばなし】ケのおんがくたい

1 あるはれたひのいなかみち。 「とっととあるかねえか、こいつめ」 むちでたたかれたろばの…

【どうぶつほらばなし】喧嘩両生類〜タマちゃんとイーちゃんのはなし

第1章 タマちゃんの場合 永きに渡るこの死闘のきっかけが何であったかなど、二匹にとってもはやどうでも良いことだった。 「姿形は変わったが、ひょっとして彼は幼き頃 いつも一緒に池で遊んだ、あのイーちゃんでは なかろうか」 朦朧とする意識の中、カエルのしめった脳髄に、 死闘中には場違いなほの暖かい感情とともに一つの疑問が去来する。 その刹那、イモリパンチが炸裂した。 第2章 イーちゃんの場合 彼が幼き日を共に過ごしたタマちゃんであることなど一目で分かった。 それがなぜ今