【掌編】伝説の金メダル
生涯金メダルを作り続けた男がいた。
彼の作品は7たびオリンピック選手の胸を飾り、その輝きは世界中を魅了した。 まさに名人だ。
それだけに、彼が晩年最も力を注ぎ最後に発表した作品は、周囲を戸惑わせた。
そのメダルは手にした者には軽く、くすんだ色も金とは呼べず、まるで安い砂糖菓子のように見えた。
これだけでは「名人も腕を落とした」と誰もが思ったことだろう。
ところが不思議なことにそのメダル、近くにいるものの目には重たく鈍く光って映り、離れて見ればまばゆいばかり。 TV画面を通