【ショートショート】6(続・超電戦隊プラズマン)
前回の話はこちら
長官 「よく集まってくれた諸君、今日は君たちにいい知らせと悪い知らせがある」
全員 「もったいぶらないで早くお願いします。長官」
長官 「いい知らせは、こないだ打ち切りになった我々のシリーズが、ファンの熱烈な声により新番組として再開されることとなった!」
全員 「!!」
赤 「で、悪い知らせとは?」
長官 「実は前回の失敗でさらにスポンサーが集まらず、放送は深夜枠。そして、ここが肝心なのだが、主役はひとり。単体ヒーロー番組にせよとのお達しだ」
全員 「ええ〜!!」
長官 「前回リストラの話があった時は、話し合いで解決しようとして失敗した。そこで今回は誰からも文句が出ないよう公平にこれで決めようと思う」
青 「サイコロか……おもしれえ」
長官 「該当する番号は番組で振り分けられた通り。1:赤。2:青。3:黄。4:桃。5:緑だ。いいな。ではいくぞっ! とあっ!」
全員 「…………?」
緑 「あの…。『6』が出ましたけど」
長官 「仕方ない。私が出るしかないようだ」
全員 「!!!」
赤 「なんだそれはっ! あんたもサイコロに入ってたなんて聞いてないし、第一あんた変身しないじゃないか! それアリかよ?」
長官 「うるさいっ! サイコロがそういってるんだからいいんだよこれで! 深夜枠はアダルトなのっ! 私だって妻と子供を養わなければならないんだっ! それに……」
深夜枠で始まった新番組「超電戦隊プラズマンの長官」は、長官が制服制帽姿のまま前シリーズ使い回しの怪人と街角でどつき合い、ラストにはそのままの姿で巨大化する(前シリーズの緑がうらやましかったらしい)という無茶な展開で、一部マニアにさえ目を向けられず、当然おもちゃも発売されなかったため、放映開始後わずか三話で消滅。特撮ヒーロー名鑑にも載っていない幻の作品となった。
諸君。サイコロまかせもたいがいに。
〈終〉