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【Vol.12】営業の価値提供プロセスとは?

"営業"

この言葉自体は良く聞くが、実態がいまいち分からない職種だと思う。

一般的には、「モノを売るのが仕事なんでしょ?」という感じなのではないかと思う。そして、普段生活していて出会う営業職の人は、保険・不動産・自動車などだから、その人からのイメージが営業職のイメージを形作っている。おそらく、欲しくもないものを売り込まれた経験は少なからずあると思う。逆に、もの凄く丁寧な対応をしてくれて印象に残っている人もいると思う。そういった接点からPerceptionが形作られていく。

ただ、よく考えてみたら、職種ってよく実態が分からないものが多い。

「マーケティング職?マーケティングするってなに?」とか、「開発職って、商品開発?技術開発?」のような認識しかない。実はこの認識はツッコミどころが満載。商品開発とマーケティングって違うの?とか、マーケティングってどういう範囲を扱うの?とかそういった類の情報は企業によって違うからよく分からない。

要するに、共通認識・共通概念の醸成が難しい。ってことだ。
では、僕は営業のマーケターとして何をすべきか?

それは、営業の全体像を整理し、共通認識を整えること。なのでまず今回は、営業という仕事の面白さや奥深さを伝えていく上での前提情報として、営業という仕事の定義と、これから何を書いていくかについて大枠を整理してみる。

僕がやりたいことは、営業職のPerception(知覚・認識)を変えること。そして、営業のPerceptionを変えることで、営業を志す人を増やし、営業のレベルを上げる。そして、より良い商品を作っていくためのフィードバックループを強くすることだ。

そのために、営業をマーケティングする。"営業=辛そう・大変そう・やりたくない"から、"営業=面白そう・やってみたい"というPerception Changeを図る。

当たり前の話だが、営業という仕事は企業の中における1つのFunctionに過ぎない。どのFunctionにも価値があり、そのFunctionにしか出せない価値があることを認識していることだけお伝えしておく。

営業を言葉の意味から考えてみた

そもそも、営業とはなんなのか?そこから考えてみたい。

まずは、営業という言葉を分解して考えてみる。どのような成り立ちになったのかは分からないため、パターンで考えると、

①業(ぎょう)を営(いとな)む
②営みを業(ぎょう)とする
③営みの業(わざ)

ちなみに、それぞれの漢字の意味を考えると、

業(ぎょう):生活の中心をささえるしごと。くらしの手立てのこと。
営(いとなむ):作り整える。仕事・事業をすること。

つまり、生活の中心をささえる仕事を事業として作り整える活動が、営業活動ということか?

ちなみに、営業という言葉の意味を調べてみた。

"営利を目的として事業をいとなむこと。そのいとなみ。"(Google検索)
"資本的計算を以て継続的に利益を追求する活動(ブリタニカ国際大百科事典)
"利益を得る目的で、継続的に事業を営むこと。また、その営み。特に、企業の販売活動"(デジタル大辞泉)

うーん・・・。分かるような分からないような・・・。

おそらく、営業とは事業そのものを行う活動のことを言うってことだと思う。ただ、販売活動=モノを売るという活動・行為を指すので、英語になると、Salesになるのだが、これもまたどうしてもしっくりこない。そもそも、営業職という言葉自体が、実態を表していないような気がしてならない。

世界一優秀な営業はドラえもん

次に、企業の中における営業の役割を考えてみる。

営業とは、自社とお客様の接点(=顧客接点)であり、自社にとって、最も市場・Marketと近い距離にいる最前線部隊。そして、自社が持つ価値を、必要とするお客様に対して伝え、課題を解決して差し上げる(=価値提供する)ことで、対価(=売上)を頂戴するという仕事。そういう意味では、企業にとっての営業の役割は、マーケターであり、広告塔であり、コミュニケーション媒体であり、いろいろな役割を担う。

唐突だが、僕は世界一優秀な営業は"ドラえもん"だと思う。

なんの営業かと言うと、僕の妄想の世界では、ドラえもんは、未来デパートのひみつ道具営業部の営業。お客様の家に常駐するスキームで価値提供を行う常駐スキーム。

ひみつ道具営業部のミッションは、「現在(=22世紀)不幸な人生を送っている人達(=セワシくん)の人生を、未来の技術(=ひみつ道具)を以て祖先(=のび太くん)の過去(=21世紀)の課題を解決することで、幸せで明るいものにします。」みたいなもんなんだろう。

つまりは、市場の最前線部隊として、お客様であるのび太くんと向き合い、何が必要なのかを捉え、その時々のニーズに合わせて、のび太くんの性格をうまく理解した上で、助言付きでひみつ道具を出す。そして、その結果、のび太は課題が解決され(失敗もセットなんだけど)、人として成長していく。(商品代金はきっとセワシくんからもらっているのだろう。)

そして、のび太がなりたい未来を共有し、このままだとジャイ子と結婚するぞ。という危機感を醸成した上で、しずかちゃんと結婚したいというのび太の夢(状態目標)を握り、どうやったら叶えられるかを真剣に考え、自身が出せる価値提供活動ができる。

繰り返すが、あくまで妄想の世界の話である。

そう考えると、マネジメントは対象をお客様からメンバーに変えただけの存在。だから、ドラえもんは名マネジャーでもある。メンバーの幸せを願い、Will(目標)の実現のためにどのような気付きを与えてあげられるのか。マネジメントという仕事も、メンバーをお客様とした営業活動だと捉えることができる。

ちなみに、"なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?"という書籍の中にも、

"人間ならば、誰しも何かを売っている-それがセールスだ"

と書いてあるように、営業というものの概念は汎用性が高い。よく営業を恋愛に例えて説明するが、恋愛は好きな相手に自分を売るという営業行為である。

ただし、"売る・売れる"というのは、自分達の価値を相手が対価を払ってでも欲しいと思ってくれたという結果であることは注意して欲しい。

営業の価値提供プロセスは『知る』→『攻める』→『創る』の循環

僕は普段、"営業の価値提供プロセスは、『知る』→『攻める』→『創る』の循環だ"ということを自分の組織に対して伝えている。循環営業という言葉を、とあるメンバーが残してくれたのでよく使っているが、まさにうまく表現できている。

ドラえもんの例で言うと、のび太くんを理解し(知る)、ひみつ道具という手段によって課題解決し(攻める)、今後起こるであろう課題を先回りして未来デパートに商品開発要望をあげる(創る)ことが、ドラえもんにとっての価値提供のプロセスになる。

『知る』とは、意志決定構造や価値観・文化などお客様のことを全方位的に理解するということ。その時に大事なのは、お客様を立体的に捉えるということ。時系列の視点、経営の視点、そして現場視点の3つ。

リサーチの話にも書いたが、”幸せにしたい人は誰か”を定義し、その”幸せにしたい人”について知ることからすべての価値提供は始まる。幸せにしたい人は誰か=事業ドメイン・ポートフォリオの決定になるので、ここは経営戦略の部類に入ってくる。お客様を全方位的・立体的に捉えるという話は、紙幅を費やすので別途述べていきたい。

『攻める』とは、お客様が困っていることに対して、積極的に価値を提供して差し上げること。キャップをはめずに提案を繰り返す、自分から価値を高めること、機会損失をさせないこと。

ガツガツ売りに行くという意味ではなく、困っていることで、我々が解決できることに対しては、どんな些細なことであっても情報提供をしに行く必要がある。伝えていれば本当は解決できたのに、伝えなかったせいでタイミングを逃したとか、お客様が大変な想いをしたということはあってはならない。営業がお客様に機会損失を与える、お客様の制約条件になってはならない。

『創る』とは、既存の枠に囚われずに、お客様の課題・ニーズに対して自ら商品・サービスをよりよいものにしていく、新しい使い方や新しいサービスを積極的に産み出すという視点を持つこと。

「既存の仕組みでは出来ません。」「前例がないので無理です。」と断るのではなく、出来るためには何が必要なのか。既存のフレームをどう変更してあげれば良いのか。ガチガチに固まったプロダクト営業(有形商材)になるとなかなか難しいかもしれないが、そういう企業はラインナップが豊富にあるので、お客様に合った商材の提供はできるはず。そして、その既存プロダクトの修正要望を、いかに商品企画・開発セクションに渡せるかということが重要である。

今回のまとめと今後書いていくこと

お客様を『知る』、価値提供に貪欲に『攻める』、新たな価値を『創る』。これが営業活動の根本である。ただし、日々お客様の時間は進んでいく。時間が進めば状況が変わる。その状況変化をつぶさに捉え、新たな価値提供を模索する。だから、循環型営業の考え方が大事になる。1回売り切りの商材であっても、サブスクリプション(定額制)のものであっても、リピートしてもらう、状況変化に対してきちんと対応するためには、この考え方はどこでも通用すると思っている。

そして、この営業に対するベースの考え方に、各企業個別の考え方、さらにはそこに、個の力量が加わり、営業という仕事が成り立っているのではないかというのが今回のまとめ。

ちなみに、今後書きたいと思っているのは以下のような内容。

①営業が魅力的な職種である理由について
②営業として大事なスタンスについて
③お客様を立体的に捉えるということについて(知る)
④提案を考える際のポイント・企画力について(攻める)
⑤きのしたが提唱する営業理論について(攻める)
⑥商談時のポイントについて(攻める)
⑦どのように新しい発想を生み出すのか(創る)
⑧営業力とは何か?(個の力量)
⑨営業力をどのように鍛えていくのか?(個の力量)

上記を一例としながら、山ほどある書きたいこと・書けることを書いていきたいと思う。書いていく中で、テーマがくっついたり、細分化されたり、広がったりするとは思うが、『知る』・『攻める』・『創る』という考え方の詳細とその方法を簡単に述べつつ、個の力量=営業力とはなにか?どのように身につけて行くのか、そして、営業として何が大事になってくるのか。について、今後書いていきたい。

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きのした@Co-Marketing designer
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