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【5大ジュエラー編|第6話:ブルガリ(Bvlgari)—ローマが宿す大胆な色彩と古代遺産の物語(後編)】
「ホテル事業・香水の多角化とハイジュエリーの未来を探る」
古代ローマの遺産を背景に、ホテルや香水などライフスタイル全般にビジネスを拡大したブルガリ。セルペンティの新作や華麗な色彩のハイジュエリー、サステナブル調達やデジタル対応など、21世紀へ向けて“イタリアンゴージャス”をどう進化させているのか。豪華絢爛なイベントやホテル体験を通じて、世界の富裕層が熱狂する理由に迫ります。必読の大団円!
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●ハイブランド・ジュエリー編
①5大ジュエラー
前編 / 後編
②ティファニー
前編 / 後編
③カルティエ
前編 / 後編
④ヴァンクリーフ&アーペル
前編 / 後編
⑤ハリーウィンストン
前編 / 後編
⑥ブルガリ
前編 / 後編
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イタリアン・ラグジュアリーが紡ぐ未来
「ユキくん、前編ではブルガリ(Bvlgari)の創業背景やセルペンティ、コインモチーフ(モネーテ)などを中心に話したね。ギリシャ出身のソティリオ・ブルガリがローマに根を下ろし、古代遺跡のエッセンスを取り入れたイタリアン・ラグジュアリーがどう花開いたかを見てきた。今回は後編として、ホテル事業や香水などの多角化、さらに現代のハイジュエリー戦略やサステナビリティ・デジタル対応まで掘り下げようか。これで“5大ジュエラー編”も最後の仕上げだよ」
夜ふかしのリビングで、私は“うさぎ先生”の声をノートパソコンに写し取りながら気合いを入れる。先生は、闇の組織の陰謀によってウサギの姿へ変えられてしまった元大学教授で、私(ユキ)の「ビジネスモデル調査ノート」を共に作り上げる相棒だ。ここまでティファニー、カルティエ、ヴァン クリーフ&アーペル、ハリー・ウィンストンと巡り、今回のブルガリが5つ目・最終話となる。ローマに根ざした古代遺産や大胆な色彩、セルペンティなどが鍵を握っているのは前編で触れたとおりだが、後編ではさらに“Bvlgari”というブランドが21世紀でどう展開しているか、その“イタリアンゴージャス”の奥行きを探っていこう。
「先生、ブルガリはバッグや香水も有名だし、ブルガリホテルなんてものまでありますよね。ジュエリーの枠を超えたマルチ展開がすごい印象です」
私がそう言うと、先生はやわらかく微笑む。「そう。多角化で大成功したのがブルガリの特徴でもある。セルペンティや色石のハイジュエリーの世界にどっぷり浸りながら、ホテルなどライフスタイル面でもブランドを体験させる。その手法を理解すると、“古代ローマ×現代”という不思議な結びつきが際立つよ。さあ、深く見ていこうか」
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【1】ホテル事業と香水の成功——“ライフスタイル”への拡大
1.1 ブルガリホテル:ラグジュアリーを空間で体験
「まず大きいのはやはりブルガリホテルだね。2004年、イタリア・ミラノに第一号がオープンして以来、ロンドン、バリ、ドバイ、北京、上海など主要都市に次々と展開し、“ジュエリーブランドがつくるラグジュアリーホテル”という新ジャンルを確立した」と先生が耳をぴょこん。
これらのホテルは、イタリアンデザインを基調としつつ、随所にローマ遺跡風の意匠や高級素材を使用し、“BVLGARI”のロゴをさりげなく取り入れたインテリアが魅力だ。さらに一部店舗にはジュエリーサロンを併設し、VIP向けプライベートショールームとして機能。先生は「つまり、‘宿泊+ショッピング’が一体になっていて、滞在客がホテルのレストランやスパを楽しむ合間にブルガリのジュエリーをじっくり見ることができる。ここがライフスタイル提案の核心さ」と解説する。
ホスピタリティとブランドイメージ
ブルガリホテルは 最高級価格帯 の宿泊施設であり、ドバイなどではエグゼクティブ層やセレブがよく利用する。先生いわく、「ハイジュエリーの客層と親和性が高いし、ブルガリファンが一度は泊まってみたいという憧れを抱く。ホテルがブランド体験の場となり、地元の富裕層や旅行者に“イタリアの美と贅沢”を実感させるというわけだね」とのこと。
私(ユキ)は「なるほど。カルティエやティファニーも香水やアクセサリーはあるけど、ホテルまで展開しているのはブルガリが突出してる印象…。ライフスタイル全般を網羅してるんですね」としみじみする。先生は「そうさ。イタリアはファッションや食文化とも結びついているから、ホテル事業は自然に融合するんだろうね」とうなずく。
1.2 香水(フレグランス)で若年層を取り込む
「ブルガリと言えば、香水(フレグランス)部門の成功も大きいんだ。‘BVLGARI プールオム’や‘オムニア’シリーズなどが世界中でベストセラーになったからね」と先生。ジュエリーと同じくロゴを強調するボトルデザインが特徴で、“クラシックで都会的”な香りが幅広い層に受けている。
香水を手頃な価格で買えることで、若年層や一般層がブルガリの世界に触れるチャンスが生まれ、将来のジュエリー顧客につながる。「ティファニーやカルティエも香水を出しているが、ブルガリは特にラインアップを拡充し定期的に新作を発表しているから、市場でのプレゼンスが高い。‘ブルガリといえば香水’というイメージも一部で定着しているほどだ」と先生は補足する。
私も「確かに私の友達もブルガリの香水使ってる人が結構いました。ジュエリーは手が届かなくても、香水なら買える!みたいな」とうなずく。先生は「そうさ。これをエントリーポイントにしてブランドを好きになり、余裕ができればバッグやジュエリーへ…というマルチ展開がブルガリの強みなんだ」と笑う。
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【2】ハイジュエリー戦略:カラーストーンの極みとレッドカーペット
2.1 レアジェムを組み合わせた“色の饗宴”コレクション
「前編でも触れたけど、ブルガリのハイジュエリーにはカラーストーンを大胆に配し、色の饗宴(きょうえん)を作り上げる特徴がある。特にカボションカットのルビーやサファイア、エメラルドをまとめて使うスタイルは1970年代以来の伝統だね」と先生。時にはパライバトルマリンやスピネル、タンザナイトなど珍しい石も加え、大ぶりなフォルムと色彩のコントラストを楽しむデザインが多い。
私が「すごく派手そうですけど、それがブルガリの魅力なんですよね。“メガ盛りカラー”感が強くて…」と言うと、先生は「うん、それがブルガリ流のイタリアンゴージャス。フランスやアメリカブランドが繊細やモダンを重視するのに対し、ブルガリは“迫力と華やかさ”で勝負するから、レッドカーペットやセレブが身につけると抜群に映えるよ」と語る。
“High Jewellery & Watches”展
ブルガリは世界各都市でハイジュエリーと高級時計を組み合わせた展示会(High Jewellery & Watches)を開き、VIPやメディアを招く。先生は「そこで驚くほどカラフルなネックレスやブレスレットが披露され、セレブたちが試着してSNSに投稿。『こんな華麗な色彩は他ブランドにない』と話題になる。SNS時代にも合っている戦略だ」と耳を動かす。
2.2 レッドカーペットとセレブへの貸し出し
ハリー・ウィンストンやカルティエ同様、ブルガリもレッドカーペット戦略を積極的に展開。ハリウッドや国際映画祭で多くの女優や俳優がブルガリの派手なカラーストーンネックレスやセルペンティを着用し、メディアの注目を集めている。先生いわく、「特に色石を大ぶりに配置したハイジュエリーは写真映えしやすいから、レッドカーペットにぴったり。地味な装いが多い場面でもブルガリは一瞬でスポットライトを浴びるんだ」とのこと。
私が「ローマが育んだ映画文化とも相性がいいですもんね。エリザベス・テイラーの時代から続く伝統って感じで、現代でも女優さんがこぞって選ぶのは納得です」と述べると、先生は「そうさ。ドレスにも負けない華やかさを求めるならブルガリが最適という認識があるね。特に欧州の映画祭やアジアの国際イベントでの露出が増えている」と補足する。
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【3】サステナビリティ、CSR、ローマ遺跡の保護
3.1 RJC(責任ある宝石調達)と環境保護
ブルガリも他の高級ジュエラー同様、RJC(Responsible Jewellery Council)の加盟メゾンとして、宝石や貴金属の調達透明化に取り組む。先生は「カラーストーンを大量に使うだけに、紛争石や環境破壊の問題は避けられない。ブルガリはサプライチェーンの監査や、鉱山コミュニティへの支援に力を入れていて、自社のレポートや発表で‘エシカルな石のみ使う’と強調している」と解説する。
私(ユキ)が「派手な色石ほど産地リスクが高いイメージありますが、そこをクリアしないとブランドの価値も下がっちゃうんですね。若い人ほど気にしそうですし…」と指摘すると、先生は「そう。だからブルガリは社会貢献や透明性を示すことで‘古代ローマ遺産を継承するメゾン’として責務を果たす姿勢を打ち出してる。今やこれがラグジュアリーの常識だね」とうなずく。
3.2 文化財保護への寄付とアート支援
ブルガリはまた、ローマの文化財保護にも積極的。コロッセオやスペイン階段といった観光名所の修復プロジェクトをスポンサーしたり、アート展への資金提供を行ったりしている。先生は「イタリアンブランドらしく、地域文化や遺跡との結びつきを深めるCSR活動だ。観光客が ‘この遺跡はブルガリが修復に協力したんだ’ と知れば、そこでブランドに好感を抱く人も多い。しかも古代遺産にルーツを持つブランドとして本当にイメージに合ってる」と言う。
私が「コインモチーフやセルペンティがローマ由来ですから、遺跡や歴史を守る姿勢がしっくりきますね。好印象!」と納得する。先生は「そうなんだ。“ブランドの故郷を大切にする”という物語が顧客を惹きつける。それがブルガリ流の社会貢献さ」と付け加える。
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【4】デジタル戦略と多角化へのさらなる展開
4.1 オンラインブティックとSNSでの仕掛け
「ブルガリはバッグや香水があるからオンライン販売に向いていて、公式ECサイトやSNSを積極運用している。ジュエリーや腕時計の一部は通販可能だけど、ハイジュエリーや超高額品はブティック対応が基本だ。カルティエやハリー・ウィンストン同様に“デジタルで顧客を興味づけて、最終的に店舗へ”という流れだね」と先生が言う。
また、SNSではカラフルで派手な写真が映えるため、インスタグラムやTikTokでモデルやインフルエンサーがセルペンティを着ける動画がバズったり、キャンペーンが盛り上がる。先生は「イタリア的デザインはインパクトが強いから、SNSに向いている。特に若い層はブルガリ香水や小物でブランドを知り、将来のジュエリー購買を検討する流れができる」と解説する。
4.2 ホテルや高級レストランとの融合
「前編でブルガリホテルに触れたけど、今後さらに海外都市に新ホテルを開業予定だし、高級レストランの展開も進めている。シャンパンバーやチョコレートショップを併設して、ローマ的美食文化を体験させる形さ」と先生。つまり、ジュエリーだけでなく“イタリアンライフスタイル全般”を味わえる施設を世界各地に作ることで、多角的にファンを獲得する戦略だ。
私が「そこまでいくともうファッションブランドを超えて、総合ラグジュアリーブランドって感じですね。まさにローマ帝国のような拡大っぷり…」と興奮気味に言うと、先生は「そうさ。これが『ローマに根ざし、ローマを超える』というブルガリのあり方なんだろうね」と微笑む。
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【5】最後のメッセージ:5大ジュエラーの総括とブルガリの位置
5.1 ティファニーやカルティエらとの違い
ここで、5大ジュエラーの他ブランドとブルガリをざっくり比べると:
ティファニー:ニューヨーク発。ブライダル革命と映画的ブランディング、シルバーラインまで幅広く展開。
カルティエ:フランス王室御用達、アールデコやパンテール、ラブブレスなど都会的・クールな魅力。
ヴァン クリーフ&アーペル:恋愛から生まれた詩情のメゾン。ミステリーセッティングとアルハンブラでロマンティックな展開。
ハリー・ウィンストン:ダイヤ偏愛を極め、レッドカーペットで世界的に名声。ブライダル最高峰として君臨。
ブルガリ:古代ローマの遺産とイタリアンカラーを全面に打ち出し、大胆で派手な色彩やセルペンティモチーフが代名詞。ホテルや香水などライフスタイル全般を多角化。
先生は「ブルガリはやはり“イタリアの誇り”を背負ってる感じだ。ローマという都市を全面に活かし、歴史とモダンを混ぜ合わせて世界に挑む。ティファニーやカルティエとは違う路線でラグジュアリーマーケットを切り開いてきたんだよ」と総括する。私(ユキ)は「はい、どのブランドも特徴が全然違っていて面白いです。ブルガリは特にビジュアルのインパクトがすごいなあ…」と改めて感じ入る。
5.2 イタリアンゴージャスの未来は?
ローマの遺産を掲げながら世界各地でホテルや高級レストランを広げるブルガリは、今後も“総合ラグジュアリー”としての道を加速させる可能性が高い。先生は「ジュエリーだけでなく、バッグや香水、ホテル、フードビジネスと多角化しているが、一貫して“BVLGARI”が古代ローマと結びついたアイデンティティを保っている点が強みだ。ロゴの威力と色彩の派手さでSNS時代にも映えるし、アジアや中東など新市場にも適応しやすい」と語る。
“セルペンティ”は今でも新作を投入し、腕時計やジュエリーで進化を続けており、レッドカーペットでもしばしば女優が巻き付く蛇を披露する。「古代と現代が共存するブランドイメージが永遠に色褪せない限り、ブルガリは5大ジュエラーの一角として君臨し続けるだろう」と先生が耳をぴょん。
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専門用語の解説
セルペンティ(Serpenti)
イタリア語で“蛇”を意味するブルガリの代表的コレクション。腕に巻き付くウォッチやブレスレットが有名。古代ローマで“再生・永遠”を象徴する蛇のモチーフを大胆に採用。モネーテ(Monete)
古代ローマのコインをネックレスやブレスレットに組み込んだブルガリのコレクション。アンティーク感とモダン金属加工を融合する独自スタイル。カボションカット(Cabochon Cut)
表面を丸く曲面に仕上げた宝石のカット法。ブルガリはルビーやサファイア、エメラルドをカボションにして色彩の濃さを強調するデザインを多用。ドルチェ・ヴィータ(Dolce Vita)
1950~60年代のローマ映画黄金期。ハリウッドスターがローマで撮影し、エリザベス・テイラーなどがブルガリを愛用し、国際的に有名になった。ブルガリホテル
2004年にミラノで第一号開業。ラグジュアリーホテルとして世界各地に展開し、宿泊客に“イタリアンラグジュアリー”を体験させる。店内にジュエリーサロンを設置することも。RJC(Responsible Jewellery Council)
宝飾産業におけるサステナビリティと倫理基準を管理する国際機関。ブルガリを含む大手ブランドが加盟し、紛争石の排除や環境保護などを推進する。アニミティッド(自動仕掛け)
ブルガリ自体はここまで積極的ではないが、時計の文字盤やブレスに動く仕掛けを施す技術。カルティエやヴァンクリと比べるとブルガリは大胆な色彩が特色。
5つの物語が描くジュエリーの多彩な顔
これで、5大ジュエラー編はすべてを網羅した。ティファニー(Tiffany & Co.)、カルティエ(Cartier)、ヴァン クリーフ & アーペル(Van Cleef & Arpels)、ハリー・ウィンストン(Harry Winston)、そして今回のブルガリ(Bvlgari)。先生は夜ふかしの部屋で、ウサギの耳を嬉しそうにぴょこんと動かしながら総括を語り始める。
「ユキくん、今回のブルガリまでで5社を見てきたけど、全部同じ‘ハイジュエラー’カテゴリーなのに本当に個性が違うことがわかったよね。ニューヨークやパリ、ローマの歴史を背負い、それぞれ異なるモチーフと戦略で世界を魅了してきた。どのブランドも、紛争ダイヤ排除や環境保護などの現代的課題に向き合いつつ、王室・セレブ・富裕層から一般層まで、多くの人々に“一生に一度”の輝きを提供している。これこそラグジュアリーの多彩さだよ」
私(ユキ)は深く頷く。「はい、ティファニーのブライダル革命、カルティエのアールデコとパンテール、ヴァンクリのミステリーセッティングとアルハンブラ、ハリー・ウィンストンのダイヤ偏愛、そしてブルガリのセルペンティや色石の派手さ…。まったく味わいが違って面白かったです。どれも私には手が届かないけど、物語を知るだけでワクワクしますね」
先生は「そうさ。結局、ハイジュエリーは確かに高額だけど、その背後にある歴史・芸術・ドラマを知ると、見ているだけでも夢が広がる。いつか実際のブティックに行ってみるとさらに世界観が味わえるはずだよ。さて、これで5大ジュエラーは一段落。ユキくんはどのブランドがお気に入りかな?」と軽く笑う。
私は「うーん、どれも素敵なので甲乙つけがたいですが、ブルガリの派手さも憧れるし、ティファニーの青い箱もロマンがあるし…きっと全部に良さがあって全部好きですね!」と率直に答える。先生もうなずいて「その答えこそ、ラグジュアリーは個性を楽しむ世界だという証拠だね。今後も興味があれば実際に店舗やイベントで体験して、可能ならいつか自分のベストジュエリーを見つけてみるといい。5大ジュエラーの理解がきっと役立つよ」と微笑む。
こうして5大ジュエラー編は幕を下ろす。ニューヨーク・パリ・ローマの大きな物語を経て、私(ユキ)はジュエリーの深い歴史と芸術性、そしてビジネス戦略の多彩さに圧倒された。いつか実物の輝きを見ながらこのノートを読み返し、ラグジュアリーの世界をさらに楽しむ日が来るかもしれない。
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