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養老孟司の『子どもが心配 人として大事な三つの力』を読みました
概要
子どもたちの遊び場が次々に消失し、体を使って外で遊ぶ子どもの姿を見なくなった。自殺する子どもも、後を絶たない。子どもは本来「自然」に近い存在だと論じる解剖学者が、都市化が進んだ現代の子どもを心配に思い、四人の識者と真摯に語り合う。
医療少年院で非行少年の認知能力の低さに愕然とし、子どもの認知能力の向上に努めてきた宮口幸治氏。インターネットで「正しい育児法」を追いかける親を心配する、慶應義塾大学病院の小児科医、高橋孝雄氏。国産初の超電導MRIを開発し、子どもの脳の大規模研究を行なってきた小泉英明氏。生徒が自分で野菜を育て、机や椅子も作る学校、自由学園の高橋和也氏。子どもと本気で向き合ってきた経験から紡ぎ出される教育論。
読書感想文
子どもは本来、自然に近い生き物である。そう主張される養老孟司氏には賛同します。育児は自然の中で行うと良いと思うからです。
私は養老孟司氏の意見に触れてから、自然の多い公園で遊ばせることにしました。動物園にもしょっちゅう行くようになりました。
確かに、コンクリートの中でプラスチックのおもちゃで遊ばせるよりは、よっぽど健康的だと感じています。
また、『ケーキの切れない非行少年たち』で有名な宮口氏が、少年院で農作業をやらせる例を紹介していました。感情のコントロールに良いそうです。
養老氏は、こう語ります。
学生にはとにかく学ぶ機会を与えるのみだ
大人があれやこれやと教えると、子どもは自分の頭で考えなくなる。指示待ち人間の出来上がりです。
自分から、「あれをやってみよう」「これもやってみよう」と考える子こそ望ましいでしょう。そう育てるには、「そんなことやっちゃダメ!」と怒る教育は厳禁。上手くいかないとわかっていても、子どもにやらせることが親の役割です。
認知機能をトレーニングするのに、ぜひ虫とりをやらせてみることをお勧めします。自然のなかで走り回れば空間的な認知能力が高まるし、小さな虫を見つけたり、鳴き声に耳をすませたりなど、さまざまな認知機能を鍛えることができます。
昨今、ICTの発展によって、色んな物事がネット上で完結するようになり、子どもたちもゲームや動画を毎日何時間も楽しむようになりました。また、GIGAスクール構想によって、タブレット端末を持ちいた授業も行われています。
何でもかんでも、インターネットで済む時代です。
それは、利便性という点では良いのかもしれませんが、『実体験を積む』という点では、良くないのかもしれません。
何もかもがインターネットで済むようになり、子どものみならず大人までもが、毎日何時間もスマホを凝視しています。
「死ぬ直前、過去を走馬灯のように思い出す」という話がありますが、今どきの人たちはスマホばっかりを振り返ることになるのではないでしょうか?
確かに、動画は面白いし、ゲームは楽しいです。しかし、人生の豊かさという点において考えてみれば、それは虚しいことではないでしょうか?
せめて子どもたちだけでも、自然の中で育てる方が、私は教育として正しいように思います。
時には山に昇って山菜狩りをしたり、川で魚を釣って調理することなどが、人生を楽しむことだと思います。そして、そういった教育こそ、五感を刺激して良い発育になると思うのです。