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衝撃的な作文~突き抜けた明るさと肯定感~「バカ母ちゃん」
こんな衝撃的な作文に出会いました。
小学生の女の子が書いたものです。作文の中に、たくさん「バカ」と言う言葉が出てきますが、ご容赦ください。言葉以上に胸に響くものがあると思います。
私の母ちゃん、バカ母ちゃん
私の母ちゃんは、本当にバカです。いつも失敗ばかりしています。
炊事と洗濯を一緒にするから煮物の途中でシャツを干そうとしていて、煮物が吹きこぼれ、火を止めに走ろうとすると、竿に通しかけたシャツは地面に放り出されます。シャツは泥だらけ。そして、煮物の鍋はひっくり返してしまい台無しです。すると、バカ母ちゃんはすぐに謝ります。「こんな私で悪かった、ごめんね。父ちゃん勘弁な」
すると、父ちゃんは「バカだな」と言って笑っています。そういう父ちゃんもバカ父ちゃんです。いつかの日曜日、みんなで朝ごはんを食べていると、奥から慌ててズボンと洋服を着ながら鞄を抱えて、「ああ、もうだめだ。こりゃ、いかん!」とか言って玄関から飛び出していってしまいました。
「しばらくしたら帰ってくるからな」
と母ちゃんは落ち着いたものです。すると案の定、父ちゃんは帰って来て、恥ずかしそうに、「無駄な努力をしてしまった・・・、日曜日だというのに。ハハハハッ」と言い訳を言っています。
そんなバカ父ちゃんとバカ母ちゃんの間に生まれた私が利口のはずがありません。弟もバカです。私のところは家中みんなバカです。でも、私はそんなバカ母ちゃんが大好きです。世界中の誰よりも一番好きです。
私も大きくなったら、うちのバカ母ちゃんのような大人になって、うちのバカ父ちゃんのような男の人と結婚して子どもを産みます。そして、私のようなバカ姉ちゃんと弟のようなバカ弟を作って、家中バカ一家で今の私の家のように明るくて楽しい家族にしたいと思います。
バカ母ちゃん、そのときまで元気でいてくださいね。
誹謗中傷など、言葉に敏感なご時世の中で、教育的には「バカ」と言う言葉はどうかと言う意見もあるでしょうが、それを突き抜けたかのような「明るさ」「温かさ」を感じました。
その要因の一つは、互いに「許し合っている」「認め合っている」からではないかと思いました。人間だれしも失敗もするし、愚かなこともします。でも、それを家族で「バカだな」と言いつつ、笑いあっています。むしろ、失敗を笑いにかえる温かさ、明るさ、ユーモアがあります。
この作文の中では、誉め言葉は出てきません。
「バカ」とか「利口のはずがありません」とか、言葉としてはマイナスなものばかりです。
でも、気持ちとして、すでに当たり前の事として「家族みんなにいいところがある」と知っていて、そして、認めているからこそ「お母さんみたいな大人になりたい」とか「お父さんみたいな人と結婚したい」と言う言葉につながっているんだと思います。
今、流行りの言葉でいえば、自己肯定感がめちゃくちゃ高いし、何か特別なことがあったわけでもないのに、幸せな様子が目に浮かび、伝わってきました。
子育てや教育の中で、よく「ほめて育てる」ことが推奨されます。
自分の経験から言っても、相手からほめられると嬉しくなります。
また、がんばろうと思えますし、認められたと思って自信も生まれます。
いつも叱られたり、怒られたり、何も反応がない、無視されたりする状態よりは、かなり有効な教育方法だと思います。
しかし、
ほめるとは、ほめた人にとっての「望ましい姿、行動が増える」ことに意味があるのであって、ほめられた人自身の自己肯定感が上がるわけではありません。
もちろん、嬉しさや認められたことによって、一時的に肯定感が増しますが、ずっと続くわけではありません。
ほめられることは「他人軸」の生き方になります。他人の期待に応えるように行動して、「他人の人生を生きる」ことになります。
自分で自分を認めることが「自分軸」の入り口です。
そして、親しい人、家族に「まるごと認められてる」経験が土台になります。
ほめられたり、「いいね」をもらえたら、その時は嬉しいし、支えにもなります。自己肯定感も上がります。
でも、それは「条件付き」でしかありません。
もし失敗したり、認められなければ、ほめられないし、承認もされません。
そんな状況が続けば、すぐに自己肯定感は下がります。
見方をかえたら、
ほめられない(ほめるに値しない)ということは、「役立たない人」「生産性がない人」として、だめだと言われているようなものです。これでは、自己肯定感が持続できるはずがありません。
自己肯定感の根本は、「存在自体」。
あなたがいてくれて、自分がいるだけでOKという確信であり、周りからのまなざしです。
自分が自分であっていいんだ(たとえ、愚かなことをしようと、失敗しようと)と腹の底から思えていたら、自己肯定感は確実に上がっていきます(上がった状態です)。
「~ができたから」「優秀だから」自信がつくのではなく、「どんな私でも大丈夫」「みんなが認めて受け止めてくれる」と心底思えている時、言葉では、「バカ」などと言われようと、自分のことが大好きな子になるのではないかと思います。
「私の母ちゃん、バカ母ちゃん」の女の子のように。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心に残る一言・学びがあれば幸いです