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予想しなかった偶然を活かしたキャリアアップ~計画的偶発性理論・香山リカさん(精神科医)
精神科医の香山リカさん。
時に大学教授であり、時にテレビのコメンテーターでもあり、そして、サブカルチャーや生き方を論じたりした多くの著作もあり、多彩な活躍をされています。
香山さん本人は、精神科医(医者)という仕事は自分には合わないのではないかと思っていたそうです。
ただ、天職ではないとは思いつつも、でも辞めるほどではなかった・・・。本当に嫌な仕事ならやめていたはずですが、続いているということは、やはり自分い合うところもあるのではないか・・・そんな感じで、仕事と付き合っていたそうです。
私自身は、何となく夢や希望をもって、仕事でも目標をもって、それに向かって突き進む、みたいなあり方がいいと思っていました(思い込んでいました)。何とも真逆ですが、香山さんは、
こうでありたいとか、こうでなきゃいけない、というビジョンは、今も私にはないんです。今の現実をそのまま受け止めます。だから、本当は、こうあるはずだったのにどうして・・・、みたいなストレスはないんです。
したいことがあるわけでもないし、バカンスに行きたいとも思わない。
そもそも泳げないし(笑)。
あまりそういうことを気にしないで生きて来たんです。
とインタビューに答え、仕事が忙しくなっても、気にしないし、ストレスも少ないそうです。
けっこう、のんびりした?さめた?あり方、仕事への向きあい方な気がしますが、いや、むしろそうだからこそ、多彩な活躍につながったともいえます。まさに、「計画的偶発理論」のお手本のようなキャリアアップをされていたともいえます。
「計画的偶発性理論」の考えによると、個人のキャリアの8割は、偶然の出来事によって決定されるそうです。簡単な要約は次の通りです。
「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)は、心理学者のジョン・D・クランボルツ教授によって1999年に発表されたキャリア理論です。クランボルツ教授がビジネスパーソンとして成功した人のキャリアを調査したところ、そのターニングポイントの8割が、本人の予想しない偶然の出来事によるものだったそうです。
学校でも「キャリア教育」が行われ、いろいろな実践がなされています。
例えば、自分の特性や強みを知って、自分に合う職種を選ぶことです。
例えば、実際の企業や施設などに行っての職場体験実習です。
さらに、「何か目標を決めて取り組む、達成する」ということも、キャリア教育のベースにあります。具体的には、将来の目標を決め、計画を立て、それに向かってキャリアを積み重ねていく、勉強をして資格を取得するなどの考え方です。目標をもつ(決める)、目指したい方向性を決めることで、意識を集中できますし、勉強に身が入ります。
また、関連する情報も入手しやすくなります。脳は、意識が焦点を当てたものに関する情報を取捨選択する~特に「目に入ってくる」ようにできているからです。(歯が痛みだすと、普段の通勤時には気付かなかった、通勤経路の歯科医院の存在が意識されるという、あの現象です)
ただ「目標に固執する」と、逆に目の前に訪れた想定外のチャンス(多くは、不幸?トラブル?の形でやってくる)を見逃しかねません。
目標をもつということは、ある意味、別の目標をあきらめるということとイコールです。どんな人にも同じように1日24時間の制限があります。何かに力を注ぐということは、別のものには力を入れられないということでもあります。
なので、「人生」という総合的な視点で見た場合、目標にこだわりすぎる、目標にとらわれ過ぎると、逆に無駄なことをしていたり、偶然やってくる、チャンスに気づかなかったりする弊害もあります。
基本的に、仕事は
「自分がやりたいことをする」
「好き嫌いで行う」
「キャリアを積もう」
「ステップっプをはかろう」
ではなく、周りの人は、自分に何を求めているのか、自分はこの社会(職場)でどんな仕事ができるのかということを考えている人に「あちらからやってくるもの」ともいえます。
なので、逆説的ですが、目標に固執したり、目的意識を明確にしすぎたりしないで、漠然としたビジョンの下でのほうが、偶然のチャンスをつかんでいけます。偶然、巻き起こる事象や出会いによってこそ、「キャリアアップ」が見込めるのかもしれません。
香山さん自身も、
(医者の世界に)入ってみたら、意外にやれた、みたいな。
こうなりたいと思わなかったから、思ってもみないような展開になったともいえます。
まずは、目の前のことをやってみるんです。「こんなの自分には・・・」と思わずに、まずはやってみる。実は自分の理想も、本当にいいかどうかはわからないでしょう。
とも言っています。香山さんは、出会いや予想外のご縁、自分の元に舞い込む仕事をきっかけに、自分が想像もしなかった未来が展開されていきました。
こうしてみてくると、自分の目の前にあることに向き合い、やってみることは、自分の未来を大きく変えていくことにつながるともいえます。
また、そこに成功、失敗はなく、たとえ、「失敗した」ように見えても、その経験は財産になります。そして、未来の成功につながっていることだって大いにあります。
小林正観さんもよく
「頼まれごとから、使命が見つかる」
「自分がやる羽目になり与えられたことを、ただひたすら淡々とやり続けていく」
と言っていました。
そして、頼まれごとを通して、「人に喜ばれる存在になる」ことで、「自分の幸せにつながっていく」と確信していたようです。
「飛行機は逆風で浮力が大きくなる」といいます。
ある意味、人間も時には逆風~人からの依頼を受けた新しい挑戦~が必要なのかもしれません。
その時、自分が「得意なこと以外は無理だ」と決めつけないで、人から求められた時が学びのチャンス、キャリアをアップのチャンスととらえて挑戦すると、人生が開けてきます。
たとえ、失敗したとしても経験という財産が残ります。そして、次につながります。
挑戦した仕事や勉強が、ものにはならなくても、その仕事で知り合った人によって、別の仕事が舞い込むことだってあります。
そう、何につながっているかは、誰にも分りません。
無駄なこと、無意味なことは何一つないのではないかとすら思えます。
香山さんの生き方、キャリアづくりがまさに偶然をいかしたものだったようです。
みなさんは、いかがでしょうか?
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです