がんばれ、町の本屋さん~セレンディピティ体験を準備してくれる空間
商店街、国道沿い、そして、結構狭い町中の道沿いのあちこちに本屋があったのはどれぐらい前でしょうか?
今ではインターネットによる通信販売の影響も大きいのでしょう、「町の本屋さんが」激減しています。
書店や出版社、取次会社などでつくる「出版文化産業振興財団」の調査によると、2024年8月末時点で書店がない「書店ゼロ」の自治体は、全国で27,9%にのぼるそうです。
そんな中、先日、わずか7坪の広さで営む小さな本屋さん、
その名も「七坪書店」のことが話題になっていました。
店主の方は、まだ20代。
本好きが高じて、ただ「本好きが増えれば」という願いで2023年12月にオープンしたそうです。
店舗自体は、祖父母が暮らしていた木造2階建てを改装してできました。
店舗部分の1階には、店主が選んだ単行本や文庫の小説を中心に、新刊約350冊が並びます。
その本は、「大型書店では目立つ場所に置かれることはない」ような、ある意味、売れ筋ではない本ばかりです。しかし、「良い本」ばかりだそうです。
今現在では、少しずつ常連客が増え、週1,2回は訪れる人が十数人いるそうです。
また、特定の本を決めて読み、感想などを交流する読書会も開催し、継続中とのこと。
本屋の魅力の一つは、ネット販売とは違い、普段の自分では目にしない、手にしない、そして検索しないような未知の本にリアルに出会えることです。そして、その中から、まだ知らぬ初めての1冊を選んで、新たな出会いや気づきが生まれることです。
ある意味、「セレンディピティ体験」が起こります。
セレンディピティには、次のような由来があります。
18世紀のイギリスでは「セイロン(今のスリランカ)の三王子」という童話が広く知られていました。「この三王子はよく物をなくして、探し回っていたそうです。探しはするのですが、一向に見つからず、そのかわり、全く予期していなかったものを見つけ出す名人だった。」というようなお話です。そこから、文人で政治家であったホレス・ウォルボールがセレンディピティ(セイロン性というような意味合い)という語を新しくつくりました。人造語です。
特に研究分野で「思いがけない偶然から、全く新しい発見が導かれること」として、使われることが多かったようです。
「ちょっとした偶然から、何か役立つ意味を見出したり、何かいい機会を得たと捉えたり、新しい関心につないだりして、人生が変わるような幸運を得る(幸運ととらえる)」と研究分野だけではなく、日常生活でも「セレンディピティ的」なことはたくさんあります。その一つは、本との出会いと気づきです。
ネット通販は、速くて、安くて効率的かもしれませんが、人間は効率だけで生きているわけでもありません。
効率的かもしれませんか、何となく、ただの「手続き」をしている感じ。
でも、
本屋に出向いて、あちこち書棚を見て歩いて、その中からこれぞという1冊を見つけて買うのは、「わくわく」「どきどき」します。心が動きます。
本格的な旅行に行かなくても、本屋にぶらりと寄ることが、何よりも楽しいお出かけになります。
ちょっと、本屋に寄ってみませんか?
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
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