#6炒飯と授業準備の共通点:学級経営の鍵を解明する
知っトク!学級経営⑤
1はじめに
いよいよ学習指導編に突入です。
これまでのおさらいです。
「もう知ってるよ」という方は読み飛ばしてください。
学級経営とは
「クラスが学びの集団として成立するよう、担任が、継続的・計画的に意思決定を実行し、クラスを運営していくこと」
ゴール=クラスを成長させる+児童像
経営理念=ビジョン+価値
経営目標=経営理念を実現させるための手立て
経営戦略=児童理解
「クラスを成長させるためにどんな子どもに育てていくのか」がゴール。「どんな学級にしていきたいか」というビジョンと、
「担任として何を大事にするか」という価値を合わせたものが経営理念でした。そして、経営理念を実現させるための手立てが経営目標でした。
具体的には、「一人一人が相手を大切にする子に育つこと」をゴールに「感謝の気持ち」「他者意識」「自分を好きになる」の3つの価値を軸に「互いに助け合い、困ったことがあっても大丈夫と思えるような安心できるクラス」を目指すという経営理念のもと、以下のような経営目標を例にして、考えていきました。
2年担任ともぞう先生の経営目標
①朝の会か帰りの会のどちらかで、他者意識が感じられた子どもを必ず1人見付け、クラス全体に紹介する。(学級づくり)
②帰りの準備の時間(5分程度)を使って、自分の頑張ったことを振り返りながら、ほめほめ日記を書く。(自分づくり)
③金曜日の帰りの会で、3つの価値をもとに、クラスの一人を必ず表彰する。(学級づくり、自分づくり)
経営戦略とは、経営目標を達成するため、また、自分の経営理念実現ために、どうやってクラス全員を理解していくのかを具体的に考える方法論のことでした。
詳しくはこちらを ↓ ご覧ください。一度では理解しきれないかもしれないので、何度でも読み返すことをおすすめします。
2経営戦術って何?
経営戦術とは、学習指導と生活指導の両方を表します。
経営戦術=学習指導+生活指導
児童理解があっての、学習指導、生活指導にならなければいけません。
学級経営のピラミッド図を思い出してください。
戦術となる学習指導=授業は、ここに位置することを理解した上で、授業実践していてかなくてはなりません。
経営理念を実現させるための手段である授業が、目的にすり替わり、上手に授業をすることがゴールになってしまうこともよくあるので注意が必要です。
授業がどんなに上手でも児童理解がなければ、経営理念を実現することはできません。つまり、目指したいクラスを実現することができないということです。つまり、よい授業者がよい経営者とは限らないということです。
3授業とは?
授業とは、準備と実際の授業と振り返りの3つを合わせたものです。
授業=準備+本番+振り返り
研究授業などの特別な授業であれば、協議会があるので、たっぷり振り返ることができます。しかし、日々の授業を振り返る時間は、なかなかとれず、授業準備に追われます。
ですが、どんな授業にも振り返りは必要です。
子どもたちにも授業の終わりに振り返りを書かせますよね?
教師も同様、振り返りが必要です。
授業記録をとったり、だれかと協議することだけが、振り返りではありません。
みなさん、ノートや学習カードに目を通して内容チェックしたり、コメントを書いたりしていますか?
子どものノートや学習カード、ワークシートなどをチェックするだけでも、授業の振り返りになります。
4授業と炒飯
えっ炒飯?
なぜ??炒飯がでてくるの?
と思われる方も多いかと思います。
ですが、炒飯が完成するまでの工程は、授業が終わるまでの工程と似ている点も多く、炒飯を授業に見立てて考えると、分かりすいからです。
また、炒飯は誰にでも手軽に作ることのできる料理でもある一方、毎回同じ味で、完璧なおいしい炒飯を作るのは至難の技です。
授業も同様です。誰にでも授業はできますが、誰からも素晴らしいと言われるような授業を毎日するとなると、かなりハードルが上がります。研究授業のような特別な授業で、1回だけ素敵な授業をすることとは全く意味が異なります。1回だけなら誰でもできます。毎日が難しいのです。
まずは、炒飯をつくってみましょう。
もしくは、炒飯の作り方を思い出してください。
① 炒飯を作るにあたって準備したことはどんなことですか?
・炒飯の作り方の手順の確認
・調味料やご飯の量の確認
・卵を入れるタイミング
・卵以外に入れる具材の選定
・使うフライパンの検討
・油の使用量の確認
思いつくものを書きだしてみました。準備なので、他にもあるかもしれませんね。
この準備は、授業では、教材研究にあたります。教科、内容にもよりますが、一度覚えてしまえば、この準備にかかる時間は、必要がなくなったり、少なくなったりします。
大変ですが、しっかりと教材研究しておけば、よい授業になります。
詳細については、教材研究編にて説明する予定です。
② 炒飯を作る直前に準備したことはどんなことですか?
・フライパンを熱する前に、すべての道具や、材料、調味料が必要な分量だ け、使用する順番でキッチンの作業場に置く。
・卵を割ってときほぐしておく。
・出来上がった炒飯を盛りつけるお皿を置いておく。
これくらいの準備は必要でしょう。
この準備は、授業では、授業デザイン(ゴール設定、問いの工夫など)にあたります。これらがないと、いきあたりばったりの授業となります。授業も45分と限られているため、効率よく準備をしておかないと、あっという間に時間が過ぎてしまいます。詳細は、授業準備編にて説明する予定です。
③ 炒飯をどうやって作りましたか?
・フライパンを温める、油を入れる、溶き卵を投入、ご飯投入、お玉でほぐしながらかき混ぜる、塩投入、具材投入、醤油で仕上げ、さらに盛りつける。
・入れる順番や時間を変えると変わった味や仕上がりになります。
授業では、これが実際の45分の授業にあたります。
45分って長く感じる人もいるかもしれませんが、実際に授業をするとあっという間に終わります。
45分の構成の仕方によっては、授業も大きく変わります。
④ 食べてみてどうでしてか?
料理なので、おいしかったか、そうでなかったのかの検証は、食べればできます。
授業では、自分自身の振り返りとなります。
人に見てもらったり、映像記録をとったりして、後で授業を振り返る方法があります。
参観してもらって率直な感想を聞いたほうが、勉強になるかと思います。
5まとめ
授業準備といっても、大きく2つの準備があります。
①教材研究(教科の特性や教科の基本)
②授業デザイン(ゴールの設定、問いの工夫など)
の2つです。
授業デザインができれば、自然と板書計画、略案はできあがります。
あとは、その時に必要な教具などの準備をしたら完成です。
実際に自分が作った炒飯の画像などをもとに、この話をすると結構盛り上がります。興味ある方はOJTなどでぜひお試しください。
炒飯を制するものは、授業を制します。
次回は、教材研究の仕方についてお話してみようと思います。
参考になる方がいたら幸いです。