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「QOL爆上がり」が流行った理由

ふーん、推し活で「QOL爆上がり」ですか。

あなたは「QOL爆上げ家電」をYouTubeで紹介しているんですねー。

「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」、訳して「生活の質」ですね。
「生命の質」とも呼ばれるって知ってます?

ということは。

あなたは「生命の質爆上がり」したコスメを紹介しているんですね。

爆上がりってことは、よっぽど、元の生命の質が悪かったんですかね?

WTOのQOLの定義の6つのジャンルに、「物欲を満たす」「モノで生活を便利にする」といったものは、入っていませんよ?


こちらの方は、もっとすごいですねー。

QOLが高い人はキラキラして見える?

あなたは誰がQOL高いか、見分けられるんですか。すごいですね。


で、どういう人がQOL高いんですか?

こころとからだのバランスがいい? 自分らしく生きている?

あいまいなことばっかりですね。


QOLの高い人はこういう特徴がみられるって、どうやって調べたんですか?
WHOの定義にも載っていませんよ。


そのあとにある「QOLを上げる方法」なんて、げんなりして読む気まったくなしです。


ある意味、しかたないですけどね。
「流行り言葉」になっちゃったんですから。

どこかのだれかが、QOL=生活の質と直訳し、「爆上がり」をつけたと。


「QOL爆上がり」


確かに、コピーとしてはできがよかったのでしょう。
あっという間に大流行ですよ。

しかし、もともとの意味を、どれだけの人が知っているんでしょうね。


「もともと医療などで使われてきた生活の質を表す言葉で……。」


と書いてあったところで、どういう場面で、どう使う言葉なのか、よくわからない説明が多いですしね。

QOLの概念は、歴史的にはソクラテスが言った、「なによりも大切にすべきは、ただ生きることでなく、よく生きることである」プラトン「善き生 (good life)」の追求までさかのぼるそうです。


ソクラテスと言えば、「太ったブタではなくやせたソクラテスであれ!」なんて言葉がありましたね。

これ、東大の総長が言った言葉なんですけど、少し間違っていたようで。

満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるより不満足なソクラテスである方がよい。
(原文)
it is better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied; better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied.
ミル 『功利主義論』 伊原吉之助 訳

「かくてもあられけるよ」https://kenko-san.com/pig

満足したブタとは、思考停止した人を指しているのだそうです。


つまり、

「考えないブタ(人間)より考えるソクラテス(人間)であるほうがいい」


という意味なのですね。

「流行り言葉に浮かれる『満足したブタ』に、QOLという言葉が、悲しい思いをした人を傷つけるかもしれないなんて、わかるはずがないだろう?」


と、ソクラテスに耳元でささやかれている気がします。


ちなみに以下、広辞苑。

クオリティー‐オブ‐ライフ【quality of life】 生活を物質的な面から量的にとらえるのではなく、個人の生き甲斐や精神的な豊かさを重視して質的に把握しようとする考え方。医療や福祉の分野でいう。生活の質。生命の質。QOL

広辞苑

最近、以下のような説明をしたうえで、なんでもかんでもQOLという言葉を使う例を多々見かけますが、WHOの定義にも広辞苑にも、そんなことはどこにも書かれていません。


× 最近は医療・福祉分野だけではなく、一般的に「物理的・精神的な生活の豊かさ」を指す言葉になっています。


おそらく、以下のように書かれていたのが、コピペされていくうちに、変わっていったのでしょう。

○ 最近は医療・福祉分野だけではなく、一般的に「物理的・精神的な生活の豊かさ」を指す言葉として使われるようになってきています。


つまり、

なんでもかんでもQOL爆上がりとか爆上げとか書くのは、大間違いですので!


あくまでも、医療や介護の場で使う言葉ですので!


文句があるなら、WTOのQOLについて、熟読し、勉強してから何か言ってきてください!


以上。


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