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写真と民俗【長野県・五束の太々神楽】

※この記事は約4分で読めます

どうもメダカです初めましての方は初めまして。
今回は長野県無形民俗文化財・五束の太々神楽を撮影してきました。


五束の太々神楽

長野県の無形民俗文化財・五束の太々神楽(ゴソクノダイダイカグラ)を知っていますか?
長野県飯山市のごく小さな神社で春と秋に行われる神事なので、
ほとんどの方は聞いたことが無いと思います。

健御名方富命彦神別神社

健御名方富命彦神別神社

五束の太々神楽が行われる、健御名方富命彦神別神社(たけみなかたとみのみことひこかみわけじんじゃ)は、
その名の通り健御名方命(たけみなかたのみこと)を御祭神とする神社です。

健御名方命と言えば諏訪大社の御祭神でいわゆる諏訪明神と呼ばれる古事記にも出てくる、国津神ですね。

諏訪大社と健御名方命についてはこちらの記事をぜひお読みください。

なぜ春と秋に二回神事があるのか?

ちょっとおまけに、日本の祭りのサイクルについて勉強しておきましょう。
田舎では春と秋にお祭りがあり、都会では夏にお祭りがあります。

※興味が無ければ飛ばしてください

田舎の祭り

田舎では田植えの季節(春)に五穀豊穣を祈り、
山から神様に降りて来ていただき、田植え前に神様に五穀豊穣を願います。

春は田植えの季節

また秋の稲刈りの時期になると、恵みへの感謝と共に神様に山へ帰っていただくので、田舎の農村では毎年春と秋にお祭りが行われます。

つまり春と秋の祭りは、お出迎えとお見送りの儀式のようなものですね。

秋は稲刈りの季節

ちなみにキツネが神様の使いとされるのは、春に山から人里に降りて来て、秋に山に帰って行くことから、
田植えの季節に山の神様と共に人里に降りて来て、稲刈りの時期に一緒に山へ帰って行く事から神様の使いと捉えられてきました。

神様の使い

都会の祭り

都会では、夏にお祭りを行います。
都会ではもちろん農業はしませんので、五穀豊穣を祈ったりはしません、
では何に祈るのか?それは、厄払いです。

夏は食べ物が腐りやすく、菌が活発になり疫病も蔓延しやすい環境ですよね。

なのでそういった疫病を始めとする厄を払う為に、都会では夏に祭りが行われます。
明治まで天皇陛下の御所のあった京都では、夏に多くの祭りがあるもこれが理由ですね。
(地元のお祭りはいつあるのか調べてみましょう)

写真で振り返る五束の太々神楽

それでは実際に五束の太々神楽を振り返っていきましょう。

五束の太々神楽は二日間に分けて行われます。
1日目は夜の夜祭礼、2日目は昼の例祭として行われます。
前置きが長くなりましたが、それでは見て行きましょう。

夜祭礼

五束公会堂にて神事の前に祝詞があげられ、お祓いが行われます。

まずは獅子舞が魔除けをします。

猿田彦を先頭に五束公会堂から神社へ練り歩きます。
途中しめ縄が張られており、これを道開きの神である猿田彦がしめ縄を切り、進んで行きます。

このしめ縄切りは、飯山市の神事ではよくあり他の地区で似たような神事が複数あり、飯山市ではこのしめ縄切を【シメ切り】と呼びます。

シメ切りのあと炎で場を清めます。

神社前にてまたシメ切りを行います

神社の前で猿田彦とニニギノミコトが出合います

ニニギノミコト
猿田彦

猿田彦が天孫降臨したニニギノミコトの道案内を買って出ます。
古事記の再現シーンですね。

神社にたどり着き拝殿で再度、獅子舞が舞われます。

続いて猿田彦による舞が舞われます。
先ほどとは別の面ですね。

この後獅子と猿田彦が出合い決闘のシーンが再現されます。

コミカルに舞われます

なぜ聖獣である獅子と猿田彦が決闘するのかは、魔除けとなる獅子もおごり高ぶり、調子に乗っているので、猿田彦に懲らしめられると言う話です。

これにて一日目の夜祭礼は終了です。

例祭

続いて二日目の例祭です。
まずは氏子たちがお祓いされます。

続いて巫女神楽の奉納式です。
最初は幼稚園生の舞が舞われます。
何ともアットホームな感じです。

続いて大人の女性による、巫女舞の奉納です。

ラストは翁の舞です。
翁舞はあまり奉納されることがなく、レアらしいので見れて運が良かったです。

これにて例祭も終了です。

まとめ

いかがだったでしょうか?
小さな町の小さな神社の神事なので、なんともアットホームな雰囲気で楽しかったです。

そしてここも、ご多分に漏れず舞手の後継者不足に悩んでいるそうです。
後継者不足による神事の継続困難は増えて行くでしょうし、今のうちに記録として残しておけてよかったです。

あと翁の写真は僕がアーティスト性を発揮してしまい、ちょっとホラーチックな感じになってしまいました。

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同じ飯山市で行われる奈良沢大天狗も合わせてお読みください。


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