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JW332 氷河の碕
【桃太郎編】エピソード2 氷河の碕
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)は、吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)に向けて進軍していた。
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付き従う者は下記の通り。
芹彦の家来、犬飼建(いぬかいたける)(以下、犬)と留玉臣(とめたまおみ)(以下、トメ)。
それから、タケの息子、武彦(たけひこ)(以下、たっちゃん)である。
一行は、針間(はりま)の氷河(ひか)の碕(さき)にて、戦勝祈願の祭祀(さいし)をおこなうのであった。
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タケ「無事に祭祀儀礼も済んだ。あとは、吉備に入るだけじゃな。」
犬「ところで、針間の氷河の碕というのは、二千年後の何処(いずこ)になりまするか?」
タケ「それが、よく分かっておらぬのじゃ。」
芹彦「甘い! 『タケ』も、まだまだじゃのう!」
タケ「ん? 『芹彦』は知っておるのか?」
芹彦「実はのう・・・。兵庫県加古川市加古川町大野(かこがわし・かこがわちょうおおの)の日岡神社(ひおかじんじゃ)との説があるのじゃ!」
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トメ「氷河(ひか)・・・。日岡(ひおか)・・・。似てるといえば、似てるのかな?」
たっちゃん「ところで、御祭神は?」
芹彦「天伊佐佐比古命(あめのいささひこ・のみこと)じゃ!」
タケ「聞いたことのない神様じゃ。」
芹彦「さもありなんっ! この神社にだけ祀(まつ)らておる神様なのじゃ!」
たっちゃん「日岡神社にだけ!?」
犬「地元を鎮守(ちんじゅ)する神様と考えられまするな・・・。」
芹彦「うむ。社伝によると、御初代様こと、狭野尊(さの・のみこと)大先生が、針間を通った折、荒振神(あらぶるかみ)が悪行を重ねておったのじゃが、国津神(くにつかみ)の伊佐佐辺命(いささべ・のみこと)が、策を打ち立て、これを退治(たいじ)たそうじゃ。」
タケ「狭野尊大先生ではなく、神武天皇(じんむてんのう)とは言えぬのか!?」
芹彦「口が裂けても言わんっ!」
たっちゃん「して、その伊佐佐辺命が、天伊佐佐比古命になったのですか?」
芹彦「どうもそうらしい。この戦いで、伊佐佐辺命は討死(うちじに)したそうでな・・・。大先生が、この者を祀(まつ)ったらしい。」
トメ「でも、神武東征(じんむとうせい)の物語では、一度も針間に上陸してないみたいだけど・・・。」
芹彦「そ・・・それは、ま・・・まあ、ロマン?」
犬「出た! 皇子(みこ)の十八番(おはこ)!」
芹彦「されど、実は『それがし』が祀られているという説も有るのじゃ!」
たっちゃん「伯父上の願望では?」
芹彦「何を言うか! そのようなこと、断じて有り得んっ!」
とにもかくにも、戦勝祈願をおこなった一行は、吉備への旅を再開したのであった。
つづく