JW491 衝撃の告白
【垂仁天皇編】エピソード20 衝撃の告白
第十一代天皇、垂仁天皇(すいにんてんのう)の御世。
天照大神(あまてらすおおみかみ)が遷座(せんざ)して、幾月か経った・・・。
すなわち、紀元前26年、皇紀635年(垂仁天皇4)9月23日。
大后(おおきさき)の狭穂姫(さほひめ)(以下、さっちん)は、体を休め、まどろんでいた。
そんな時、兄の狭穂彦王(さほひこ・のきみ)がやって来たのであった。
狭穂彦「おお! 『さっちん』! ここに居(お)ったか!」
さっちん「兄上? 如何(いかが)なされたのです?」
狭穂彦「いや、なに、妹の顔が見たくなってな・・・。」
さっちん「え? おかしなことを仰(おっしゃ)いますこと・・・((´∀`))」
狭穂彦「ところで『さっちん』・・・。汝(なれ)に、尋(たず)ねたき儀(ぎ)が有る。」
さっちん「な・・・なんでしょう?」
狭穂彦「汝(なれ)は、兄と夫(つま)と、どちらを愛(いと)おしく思うておる?」
さっちん「ど・・・どちらと申されましても・・・。そのような問いには、答えられませぬ。」
狭穂彦「良いではないか・・・。どちらかを選べと、神に問われたら、何と致す?」
さっちん「う~ん。ま・・・まあ、世間一般に考えれば、夫は代えられても、兄妹は代えられませぬゆえ・・・。強(し)いてと申されるなら、兄上になるのでしょうか・・・。」
狭穂彦「その通りじゃ。血のつながった者こそ、心の底まで信じることが能(あた)うのじゃ。」
さっちん「兄上? 私が、兄上を信じていないとでも?」
狭穂彦「そうではない。考えてもみよ。汝(なれ)は、まことに、容姿端麗(ようしたんれい)で、永遠のセンターになっても、おかしくないくらいの美貌(びぼう)を持ち合わせておる。」
さっちん「え・・・永遠の・・・セ・・・セントオ?」
狭穂彦「されど、歳(とし)には勝てぬ。いずれ、その美貌も衰(おとろ)えていく・・・。さすれば、大王(おおきみ)は、他の若い女(オナゴ)を愛(め)でるであろう・・・。」
さっちん「何を仰(おっしゃ)いますか! 大王は、そのような御方ではありませぬ!」
狭穂彦「汝(なれ)は、何も分かっておらぬ。この世には、美人が、数多(あまた)おるのじゃぞ? そして、我(われ)こそはと、進み出て、大王の御心(みこころ)を奪わんとしてくるのじゃ。どうして、いつまでも、己(おのれ)の美貌を当(あ)てにすることが出来ようか。いずれは捨てられる定め・・・。それゆえ、最後は、血のつながった兄妹こそが、頼りとなるのじゃ。」
さっちん「兄上? なにゆえ、そのような意地悪(いじわる)を仰るのです?・・・(´;ω;`)ウッ…」
狭穂彦「そうではない。我(われ)は、汝(なれ)のことを想うて、言うておるのじゃ。汝が、枕(まくら)を高くして眠るには・・・。道は、一つしか無い・・・。」
さっちん「それは、どういうことです?」
狭穂彦「それは・・・・・・我(われ)が大王になることじゃ。」
さっちん「なっ!? 兄上?! 何を仰っておられるのです?!」
狭穂彦「妹よ! 我(われ)らの生きる道は、これほか無い! 我(われ)が大王となった暁(あかつき)には、汝(なれ)と共に、秋津洲(あきつしま)を治めようぞ。そして、輝かしき百年を終えれば、また、快(こころよ)いことではないか。どうか、我のために、大王を害(がい)してくれ! 頼む!」
さっちん「あ・・・兄上? な・・・何を・・・。」
狭穂彦「この短剣を、汝(なれ)に預(あず)けよう・・・。そして、大王が、お寝(やす)みになっている時に、この短剣で、すばやく首を刺すのじゃ。」
さっちん「なっ!? 兄上?! 戯言(ざれごと)は、おやめくださりませ!」
狭穂彦「戯言ではないぞ。我(われ)は、本気で、大王を討つつもりじゃ。」
狭穂彦の衝撃の告白。
一体、どうなってしまうのか?
次回につづく
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