JW353 元気溌剌の理由
【桃太郎編】エピソード23 元気溌剌の理由
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)では、温羅(うら)が暴れまわっていた。
鎮圧の命を受けたのは、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)と稚武彦(わかたけひこ)(以下、タケ)。
戦いに敗れた温羅は、鬼ノ城(きのじょう)を捨て、鬼ヶ嶽(おにがたけ)に陣取ったのであった。
サモリ「ええ・・・鬼ヶ嶽ですが、二千年後の地名で言うと、岡山県井原市(いばらし)の美星町烏頭(びせいちょう・うとう)になるんですねぇ。」
トメ「傍(そば)の道を抑(おさ)え、輸送する物資を奪っているみたいだね?」
犬「それだけではないぞ。オナゴ(女)や子供まで攫(さら)っておるのじゃ!」
芹彦「許せんっ。退治(たいじ)てくれよぉ! も・も・た・ろ・おぅ!」
タケ「・・・ということで、皆の衆! 攻め込めぇ!」
ヤマト・吉備連合軍のみなさん「おお!」×多数
温羅「ウリ(私)たちは、負けないハセヨ! 手下ども! やっちまいな!」
ウラ軍のみなさん「おお!」×多数
こうして、激しい攻防が繰り広げられた。
それは、幾日にも渡ったのであるが、ここで、ある異変が起き始めた。
ショーン「なんか、変じゃ。奴らに、疲れた気配が無い・・・。」
オーイナ「言われてみると、そうじゃのう・・・。毎日、元気溌剌(げんき・はつらつ)じゃ。」
ジョン「オロナミンCでも、飲んでるんじゃないか?」
ジュリアン「親父! わしらの時代に、そんな飲み物、有るわけねぇじゃろ!」
たか「なにか、裏(うら)が有るのでは?」
芹彦「裏?! 表は、どこにいったのじゃ?!」
ヨーコ「なにか、理由(わけ)が有るかもしれないってことよ!」
芹彦「その手があったかぁ!」
たっちゃん「お・・・伯父上?」
芹彦「トメ! ただちに、雉(きじ)に変化(へんげ)し、空から探(さぐ)って参れっ。」
トメ「わかりました!」
トメが、雉に変化したというのは、作者オリジナルであるが、とにもかくにも、原因を究明するため、調査がおこなわれた。
その結果・・・。
芹彦「なにか、分かったか?!」
トメ「はい! 温羅軍の兵たちは、毎日、『出で湯(いでゆ)』に浸(つ)かっているみたいです。」
タケ「温泉で、疲れを癒(いや)しておる・・・ということか?」
トメ「その通りです。その名も、鬼ヶ嶽温泉(おにがたけ・おんせん)です。」
たっちゃん「まあ、当然、そうなるわな・・・。」
トメ「ただ、経営難だったのか、2023年の地図に、温泉の名称は見当たりませんでした。日帰り温泉の施設も、2004年に閉館しているみたいです・・・。」
解説はつづくのであった。