JW389 美伊県主の祖神
【崇神改革編】エピソード16 美伊県主の祖神
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
温羅(うら)を鎮(しず)めて、四年の歳月が流れた。
すなわち、紀元前70年、皇紀591年(崇神天皇28)4月。
ここは、比治(ひじ)の真名井(まない)。
多遅摩(たじま:現在の兵庫県北部)に住まう、丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)の元に、ある人物たちが来訪していた。
ミッチーの母、息長水依比売(おきながみずよりひめ)(以下、みずよ)。
そして、ミッチーの弟、神大根王(かむのおおね・のきみ)(以下、ノーネ)である。
みずよ「エピソード233以来ですから、誰も覚えてないんでしょうね。」
ノーネ「母上! 心配御無用! 我(われ)も同じ! エピソード247以来!」
ミッチー「ん? ノーネ? 韻(いん)を踏んでおらぬぞ?」
ノーネ「兄上、酷い! あまりに、きつい!」
そこに、ミッチーの妻、河上摩須郎女(かわかみのますのいらつめ)(以下、マス子)がやって来た。
マス子「義母上様、ノーネ殿・・・。ようこそ、お越しやすぅ。」
みずよ「これは、これは、マス子殿・・・。ミッチーが世話になってますねぇ。」
マス子「いえいえ、私の方こそ、旦那様の世話になってるみたいなモノですから・・・。」
みずよ「ところで、私の夫(つま)、彦坐王(ひこいます・のきみ)こと『イマス』様は?」
ミッチー「父上は、視察に出ていることになっておりまする。」
ノーネ「作者の陰謀! 怨嗟(えんさ)の感情!」
みずよ「ところで、丹波(たにわ)のどちらへ?」
ミッチー「美伊県(みい・の・あがた)に赴いておられまする。」
マス子「今月、美伊神社(みいじんじゃ)が創建(そうけん)されたんですよ。それを御覧になるため、出かけられたという設定にされたんですよねぇ。」
みずよ「そ・・・そうなのね・・・。ところで、御祭神は?」
ミッチー「まずは、マス子の祖神、饒速日命(にぎはやひ・のみこと)。次に、美伊県主(みい・の・あがたぬし)の武額明(たけぬかあけ?)こと『ケヌカ』の祖神が祀(まつ)られもうした。」
するとそこに、イマスと、当該の人物、ケヌカがやって来た。
イマス「今、帰ったぞ・・・。」
みずよ「旦那様! お久しゅうございます。」
イマス「おお! みずよ! ノーネ! 来ておったのか!」
ノーネ「ところで、父上! ところで、ケヌカ! 気になる祖先! 知りたい視線!」
ケヌカ「お初にお目にかかるっちゃ。名前の読み方が分からない、わしの祖神が気になるって? いいでしょう! 聞いて驚けっ。建饒穂命(たけにぎほ・のみこと)、美伊比古命(みいひこ・のみこと)、美伊比売命(みいひめ・のみこと)の三柱(さんはしら)だわいや!」
ミッチー・マス子・みずよ・ノーネ「き・・・聞いたこと無い・・・。」×4
ケヌカ「ち・・・ちなみに、二千年後の兵庫県香美町(かみちょう)は、香住区三川(かすみく・みかわ)の字(あざ)イヨロに鎮座(ちんざ)したんだわいや!」
なにはともあれ、美伊神社が創建されたのであった。
つづく