JW337 留玉臣、帰る
【桃太郎編】エピソード7 留玉臣、帰る
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
吉備(きび:現在の岡山県と広島県東部)を平定するため、彦五十狭芹彦(ひこいさせりひこ)(以下、芹彦)は、ジョンの先導のもと、ある場所を訪れていた。
ちなみに、付き従う者たちは下記の通り。
芹彦の家来、犬飼建(いぬかいたける)(以下、犬)と留玉臣(とめたまおみ)(以下、トメ)。
ジョンの妻、ヨーコ。
二人の息子、ジュリアンとショーンである。
ショーン「そんなこんなで、着いたぞ。」
芹彦「なに!? もう着いたのか?」
トメ「あ・・・あの・・・ここって、僕の故郷、栗坂(くりさか)ですよね?」
ジョン「その通りだ。せっかく、戻って来たんだ。親父さんとお袋さんに、挨拶しとけ。」
するとそこに、トメの父と母がやって来た。
トメの父「伝承には、全く登場せんのじゃけど、来てしもうた。」
トメの母「トメ・・・。元気そうじゃねぇ。」
トメ「ト・・・トト・・・。カカ・・・(´;ω;`)ウッ…。」
芹彦「しばし待てぃ! これは、どういうことじゃ!?」
ヨーコ「栗坂って、すぐ近くなのよ。だから、寄っておこうと思って・・・。」
芹彦「温羅(うら)を退治(たいじ)せねばならぬという時に・・・。」
トメの父「おお・・・。汝(いまし)が、芹彦様ですな?」
芹彦「如何(いか)にも! それがしが・・・よっ! 桃太郎ぉぉ!!」
トメの母「桃太郎?」
犬「い・・・いえ、お気になさらず・・・・・・。皇子(みこ)! フライングですぞ!」
芹彦「あっ! す・・・すまん!」
ジュリアン「・・・ということで、トメの故郷、栗坂にやって来たぞ。」
ショーン「二千年後の岡山県倉敷市栗坂(くらしきし・くりさか)のことじゃ。」
芹彦「わざわざ寄ることはなかろう?」
ジョン「まあまあ、そう言うなよ。トメ! ついでに神社の紹介、しとけよ!」
トメ「は・・・はい! 栗坂には、その名も、栗坂神社(くりさかじんじゃ)が有るんです。」
芹彦「どんな神様が祀(まつ)られておるのじゃ?!」
トメ「は・・・恥ずかしながら、僕が祀られてます!」
芹彦・犬・兵士たち「ええぇぇぇ!!!」×多数
トメ「そ・・・そんなに驚かなくても・・・。」
芹彦「汝(なれ)だけが祀られた社(やしろ)なのか?!」
トメ「その通りです。」
芹彦「そ・・・それがしを差し置いて・・・。し・・・信じられんっ!」
ジョン「何、言ってんだよ。地元の英雄を祀って、何が悪いんだよ。」
芹彦「悪いとは言っておらぬぞ! 信じられんと申したまでじゃ!」
こうして、寄り道してしまったのであった。
つづく