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JW294 いざ、丹波へ
【丹波平定編】エピソード1 いざ、丹波へ
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
ここは、中つ国改め、国中(くんなか)の和珥(わに)の地。
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彦坐王(ひこいます・のきみ)(以下、イマス)は、丹波(たにわ)平定の準備に勤(いそ)しんでいた。
共に平定に向かう、丹波道主王(たにわのみちぬし・のきみ)(以下、ミッチー)も同様である。
その傍らには、歯噛(はが)みする、和珥彦国葺(わに・の・ひこくにふく)(以下、くにお)の姿があった。
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くにお「残念無念にござりまする。」
イマス「仕方がないではないか。汝(なれ)は、伝承に出て来ぬのじゃ。」
くにお「出て来ませぬが、和珥より出立(しゅったつ)の運びともなれば、拙者(せっしゃ)が同道しても、良いではありませぬか・・・。」
ミッチー「汝(いまし)の気持ち、分からぬでもないが、こればかりは致し方なかろう。」
そこへ、イマスの息子、狭穂彦王(さほひこ・のきみ)がやって来た。
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狭穂彦「我(われ)も、残念無念にござりまする。」
イマス「ん? 汝(なれ)も付いて行きたかったのか?」
狭穂彦「いえ、そういうわけでは・・・。」
ミッチー「では、何が悔しいのじゃ?」
狭穂彦「此度(こたび)の武埴安彦(たけはにやすひこ)こと、安彦叔父上の御謀反(ごむほん)にござりまする。」
イマス「何が言いたい?」
狭穂彦「父上も、兄上も、なにゆえ、大叔父上に御味方なされなかったのですか?!」
ミッチー「狭穂彦・・・。エピソード232から、何年経っておると思うておるのじゃ! 汝(なれ)は、まだ、そのようなことを・・・。」
イマス「無闇に、口外してはならぬと、何度も申し述べておろう!」
狭穂彦「さ・・・されど・・・。」
くにお「さ・・・狭穂彦様。ちと、奥で寛(くつろ)ぎましょうぞ・・・。」
不満たっぷりの表情を見せながら、「くにお」に連れられていく狭穂彦。
そんな二人と入れ違いに、一人の武将がやって来た。
尾張倭得玉彦(おわり・の・やまとえたまひこ)(以下、玉彦)である。
玉彦「やっとかめだなも(おひさしぶりです)! エピソード235以来だがや。」
イマス「おお、玉彦! 汝(いまし)も、共に出陣してくれるのじゃな?」
玉彦「当たり前だがや。丹波の久美浜(くみはま)は、我(われ)ら尾張氏が治める地。参陣するのが道理だがや!」
イマス「して、御父君(ごふくん)の建諸隅(たけもろすみ)こと『ケモロー』は、如何(いかが)した?」
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玉彦「父上は、先に丹波に行っとるでよ。共に出陣するのは、我(われ)だけだがや!」
ミッチー「左様か・・・。」
するとそこに、黄沼前来日(きぬさき・の・くるひ)(以下、クール)がやって来た。
クール「前置きは、こんくらいにして、はよ行かぁ!」
こうして、イマスたちは出陣した。
紀元前88年、皇紀573年(崇神天皇10)10月22日のことである。
さて、伝承にも、『記紀(きき)』にも書かれていないが、山代(やましろ)あたりで、イマスが、ある提案をしたことにしよう。
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イマス「・・・というわけで、人数を二手に分けようと思う。」
ミッチー「二手に?!」
イマス「汝(なれ)は、すみやかに多遅摩(たじま)に向かい、狂(くるい)の土蜘蛛(つちぐも)こと『くるっち』を退治(たいじ)てくれ。『クール』が道案内ゆえ、容易(たやす)かろう?」
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ミッチー「して、父上は?」
イマス「うむ。我(われ)は、伝承に従(したが)い、丹波の加佐(かさ)を治める、陸耳御笠(くがみみのみかさ)こと『みかさ』を討伐せしむる。」
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ミッチー「加佐を治める? 加佐で暴れている・・・の間違いでは?」
イマス「たしかに、伝承では、加佐で暴れていた賊となっておるが、作者は、加佐を治める領主ではないかと考えておるようじゃ。」
クール「そにゃあなこと(そんなこと)あるんかいや? 信じれぇへんちゃ(信じられない)!」
イマス「その謎は、名前に有るのじゃ。」
クール「名前?」
イマス「陸耳御笠・・・名前の中に『御』が付いておるであろう? 賊の名は、卑(いや)しい文字を用いるのが常(つね)。されど『みかさ』には『御』が付いておる。不可解であろう?」
クール「作者っちゅうのは、てんがな(馬鹿馬鹿しい)、やっちゃなぁ(奴だな)。賊が、領主になるわけないだらぁ(ないだろう)。」
イマス「まあまあ、そう言うてくれるな・・・。」
玉彦「ところで、我(われ)は、どうしたらええが?」
イマス「うむ。玉彦は、我(われ)と共に、討伐に向こうてもらおう。」
玉彦「かしこまったがや!」
こうして、丹波平定軍は、二手に分かれたのであった。
ここからは「ミッチー」の動向を追いかけたいと思う。
ミッチーたちは、順調に進軍し、久美浜に入った。
京都府京丹後市(きょうたんごし)の久美浜町(くみはまちょう)である。
クール「そんで、久美浜のどこに来たんだいや?」
ミッチー「川上郷(かわかみ・のさと)の須田(すだ)じゃ。二千年後の言い方をすれば、久美浜町須田(くみはまちょう・すだ)であるぞ!」
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クール「そんで、何しに来たんだいや?」
ミッチー「この地に、尾張氏の館が有るのじゃ。」
するとそこに、館の主が、一族郎党を連れて「ミッチー」たちを迎えに来た。
玉彦の父「ケモロー」である。
ケモロー「やっとかめだなも!」
ミッチー「おお! ケモロー! ようやく参ったぞ!」
丹波の久美浜にて大歓迎を受ける「ミッチー」一行なのであった。
つづく