JW436 出雲の神宝
【崇神経綸編】エピソード11 出雲の神宝
第十代天皇、崇神天皇(すじんてんのう)の御世。
天照大神(あまてらすおおみかみ)(以下、アマ)が国中(くんなか:奈良盆地)に戻って、二年の歳月が流れた。
すなわち、紀元前38年、皇紀623年(崇神天皇60)7月14日。
ここは、磯城瑞籬宮(しきのみずかき・のみや)。
崇神天皇こと、御間城入彦五十瓊殖尊(みまきいりひこいにえ・のみこと)(以下、ミマキ)は、この日、詔(みことのり)を発表した。
その内容とは・・・。
ミマキ「武日照命(たけひなてる・のみこと)が、高天原(たかまのはら)より持って来た神宝が、出雲大社(いづもおおやしろ)に納(おさ)められていると言う。これを見たい。」
ここで、大臣(おおおみ)の物部伊香色雄(もののべ・の・いかがしこお)(以下、ガーシー)が、過敏に反応した。
ガーシー「ついに、出雲(いずも)を併呑(へいどん)なされる、おつもりでっか?!」
ミマキ「大臣よ。声が大きい・・・。」
そのとき、日嗣皇子(ひつぎのみこ)の活目入彦五十狭茅尊(いくめいりひこいさち・のみこと)(以下、イク)が尋ねてきた。
イク「大王(おおきみ)? どういうことなの? 出雲と戦うということなの?」
ミマキ「そうではない。彼(か)の国が、大切に守っておる神宝を献上させる・・・ということは、出雲が『ヤマト』に降(くだ)るということじゃ。」
イク「えっ? そんなこと、出雲君(いずも・のきみ)が認めるわけないじゃないか! どう考えても、戦(いくさ)にする口実にしか思えないよ・・・。」
ミマキ「イク・・・。心配致すな。戦には、ならぬ。わしを信じよ。」
イク「で・・・でも・・・。出雲君の御心(みこころ)を想うと・・・(´;ω;`)ウッ…。」
ミマキ「とにかく、わしは出雲の神宝が見たいのじゃ。物部大母隅(もののべ・の・おおもろすみ)こと『ロス』よ。汝(いまし)を使いの者に任じる。」
ロス「ははっ。お任せくださりませ!」
こうして「ロス」は出雲へと赴いた。
しかし、このとき、出雲君の振根(ふるね)は不在であった。
代わって応対したのは、出雲君の弟、飯入根(いいいりね)であった。
飯入根「これは、これは、遥々のお越し、痛み入りまする。出雲君におかれましては、ただいま筑紫(ちくし:現在の九州)に赴いておりますれば、エピソード315以来の登場である、我(われ)が代わって、夜麻登君(やまと・のきみ)の申し事、お伺い致しまする。」
ロス「出雲君は留守だったと『日本書紀(にほんしょき)』に書かれてるわけやけど、これって怪しいと思わへん? 出来過ぎてるっていうか、最初から、話がついてたというか・・・。」
飯入根「そげですな。もしかしたら、こちらから働きかけたのやもしれませんぞ。」
ロス「そっちから?」
飯入根「出雲君が、夜麻登と戦うつもりだったのではないかと・・・。」
ロス「それを止めるため、先手を打ったってこと?」
飯入根「そげです。では、我(われ)の弟、甘美韓日狭(うましからひさ)こと『カラピー』と、その息子、鸕濡渟(うかずくぬ)こと『ウカズ』を使いの者として、神宝を送らせまする。」
こうして、出雲の神宝は、ヤマトへと送られたのであった。
つづく
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