★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.37【星月夜(ほしづきよ)】(三秋 / 天文) ● 概要 星月夜とは月の出ていない、星の美しい夜をいう。 ● 傍題 星月夜(ほしづくよ) ● 季語について 星月夜というと、俳人は「なんて美しい言葉なんだ、腕が鳴る」と思うことでしょう。しかし、星月夜が月の出ていない夜ことと知ると、少なからぬ方が驚かれるのではないでしょうか。無数の星がまるで月のような明るさで夜空いっぱいに輝いている情景が、「星月夜」の基本的なイメージでし
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.36【色鳥(いろどり)】(三秋 / 動物) ● 概要 秋に渡ってくる小鳥類のうち、花鶏(あとり)や尉鶲(じょうびたき)、真鶸(まひわ)など、色とりどりの美しい鳥をいう。 ● 季語について 私は俳句を始めた頃にいくつか偏愛季語があって、「色鳥」もその一つでした。色とりどりの鳥たちが飛来する様は絵としても美しく、どこかファンタスティックな味わいをも感じます。 ただし、言葉の美しさに囚われて実感から遊離した句を作りがちになってしま
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.35【八月(はちがつ)】(初秋 / 時候) ● 概要 月の初めに立秋があり、夏から秋にかわる。暑さは厳しいが、月の終わりになると秋気が感じられる。 ● 季語について 八月とは新暦の八月のことであり、今年は八月七日に立秋を迎えます。 八月と言えば夏休み、お盆、終戦記念日と、日本人に鮮烈に刻まれた共通イメージは多いと言えましょう。中でも俳句における「八月」は戦争のイメージとの結びつきが強いと言われており、戦争を題材とした名句も数
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.34【夏休(なつやすみ)】(三夏 / 生活) ● 概要 学校や会社で夏季に設けられた長期休暇。学校では七月中旬から八月中、会社ではお盆前後の数日を休暇とすることが多い。 ● 傍題 暑中休暇 夏期休暇 ● 季語について 夏休みといえば何を思い浮かべるでしょうか。キャンプや海水浴といったレジャーでしょうか。勉学や部活に明け暮れた日々でしょうか。 夏休みはとにかく時間を自由に使え、その後の人生の糧になるように思えます。
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.33【南風(みなみ)】(三夏 / 天文) ● 概要 夏に南から吹く風。「みなみ」という呼び名は元々は船乗り言葉である。 西日本では「はえ」「まぜ」「まじ」などと呼ぶ。 ● 傍題 南風(みなみかぜ) 南風(なんぷう) 南吹く 南風(はえ) 大南風(おほみなみ) 海南風(かいなんぷう) まぜ まじ ● 季語について 今回は「南風」を取り上げます。 南風の基本イメージは「朗らか」だと思いますが、南風は湿気を含み、突発的
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.32【蜜柑(みかん)】(三冬 / 植物) ● 概要 ミカン科の常緑低木の実。代表的なものは鹿児島県原産の温州蜜柑(うんしゅうみかん)で、暖地に広く栽培される。 ● 傍題 蜜柑山 ● 季語について みなさん、こんにちは。今回の季語はみんな大好き「蜜柑」ということで、張り切って季語を学んでいきましょう。 蜜柑はおいしくて、日本人から愛され続けている果物であることは今更説明するまでもないでしょう。寒い冬に炬燵の中で蜜柑を食
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.31【セーター】(三冬 / 生活) ● 概要 毛糸で編んだ上着。被って着るプルオーバー型を主にいう。 ● 傍題 ・カーディガン・・・前開きのもの ● 季語について 今回の季語は「セーター」です。 当然芭蕉の時代の例句はなく近代以後となりますが、どうも「セーター」を詠んだ句自体がさほど多くない印象です。 この季語に関しては例句を読みながら季語の持つイメージを探るというよりも、「セーター」に関するエピソードや素朴なイメ
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.30【霜(しも)】(三冬 / 天文) ● 概要 空気中の水蒸気が氷の結晶となり、屋外の建造物や地表に付着したもの ● 傍題 霜の花・・・霜を花と喩えた表現 霜の声・・・霜の降りた夜の、冷たくさえてしんしんと更けゆく様子。 青女(せいじょ)・・・霜・雪を降らす女神で、転じて霜の異名。 大霜・・・たくさんの霜 強霜・・・多く降りた霜 深霜 朝霜 夜霜 霜晴 霜雫 霜解 ● 例句研究 皆さんこんにちは。 今回の
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.29【新酒(しんしゅ)】(晩秋 / 生活) ● 概要 新米で醸造した酒。かつては収穫後の米をすぐ醸造したため、新酒は秋の季語とされる。現在はほとんどが寒造りとなっていて翌年二月ごろに出荷される。 【傍題】今年酒(ことしざけ) 新走(あらばしり) 利酒(ききざけ) ● 季語について 現在では日本酒は寒造りが多いようですが、11月ころから出荷される新酒も出てくるそうなので、新酒の中でも初めの方のお酒をイメージするのがよいでしょう
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.28【夜長(よなが)】(三秋 / 時候) ● 概要 秋の長い夜のことをいう。秋分を過ぎると、昼より夜の時間が長くなる。夜業や読書にも身が入る。 ● 季語について 「夜長」と聞いて私たちが真っ先に思い出すのは『むしのこえ』の歌詞ですね。一番を引用してみます。 あれまつむしが ないている チンチロチンチロ チンチロリン あれすずむしも なきだして リンリンリンリン リインリン あきのよながを なきとおす ああおもしろい むしのこ
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.27【立冬(りっとう)】(初冬 / 時候) ● 概要 二十四節気の一つ。冬の始まり。 ● 季語について 「立冬」は時候の季語なので物理的なモノは観念できず、イメージ・感覚を重視する必要があります。これを執筆している10月はまだ冬の予兆は薄いのですが、立冬である11月初冬はぐっと冷え込み、これから来る長い冬への覚悟をせきたてられるような時期ですね。言葉の持つ雰囲気は暗くはなく、これからの厳しい季節に向けて武者震いしているようなわ
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.26【鰯雲(いわしぐも)】(三秋 / 天文) ● 概要 小さな雲片の集まりが集まり、空一面に広がる雲。鰯の群れのように見えることから「鰯雲」という。この雲が見られると鰯の大漁になるともいう。 【傍題】鱗雲(うろこぐも) 鯖雲(さばぐも) ● 季語について 皆さん。こんにちは。けろけろ道場執筆者の成瀬源三です。 今回取り上げる季語は「鰯雲(いわしぐも)」という筆者の偏愛する季語で、記事執筆に奮い立っていたのですが、その途上で
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.25【芒(すすき)】(三秋 / 植物) ● 概要 芒はイネ科の多年草。秋に多数の枝を広げ、一五から四〇センチの黄褐色から紫褐色の花穂を出す。花穂が開くと白い獣の尾のような形となり、尾花と呼ばれる。芒の穂が一斉に風になびくさまは美しい。 秋の七草のひとつ。 月見のおそなえとしてもよく用いられる。 【傍題】 薄(すすき) 尾花 花芒 鬼芒 糸薄 十寸穂の芒(ますほのすすき) 真赭の芒(まそほのすすき) 縞芒 鷹の羽芒 芒野 芒原
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.24【夏の海(なつのうみ)】(三夏 / 地理) ● 概要 夏の海。鮮やかで、力強い。浜には海水浴客、海にはヨット、空には入道雲が浮かぶ。 [傍題]夏の波 夏怒涛 夏の浜 夏の岬 青岬 ● 季語について けろけろ道場も開設より二年近く経ちますが、最近では「初心者なので季語から句作するやり方が分からず、勉強になりました」といった嬉しい言葉を受け取ることが多く、記事を執筆してきて良かったとしみじみ感じます。読者の皆様、いつも拙文を
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.23【蝸牛(かたつむり)】(三夏 / 動物) ● 概要 マイマイ科の有肺類で、陸生の巻貝。螺旋形の殻を負う。頭に屈伸する二対の触覚を持ち、長い方の先端にある目で、明暗を識別する。 【傍題】蝸牛(くわぎう) ででむし でんでんむし まいまい ● 季語について 今回の季語は「蝸牛(かたつむり)」ということで、楽しく季語分析をしていきたいと思います。 ある程度の期間俳句に触れてきた方は「蝸牛」と聞いて、「うっ、豊作貧乏」と思ってい
★★★けろけろ道場 季語研究★★★ No.22【百千鳥(ももちどり)】(三春 / 動物) ● 概要 春に多くの鳥たちが一斉に鳴く様子をいう。 ● 季語について 皆さん、こんにちは。まだまだ寒い日が続きますが、お元気にお過ごしでしょうか。 私は実力も句歴も乏しい一介の素人俳人でして、恥ずかしながら「百千鳥(ももちどり)」を知らず、「百舌鳥(もず)の仲間かな」などと思ってしまいました。無知な私をどうか叱ってください。そんな私ですが、不遜な一言から今回の記事を始めたいと思