季語研究 「新酒」 -季節感が難しい-
★★★けろけろ道場 季語研究★★★
No.29【新酒(しんしゅ)】(晩秋 / 生活)
● 概要
新米で醸造した酒。かつては収穫後の米をすぐ醸造したため、新酒は秋の季語とされる。現在はほとんどが寒造りとなっていて翌年二月ごろに出荷される。
【傍題】今年酒(ことしざけ) 新走(あらばしり) 利酒(ききざけ)
● 季語について
現在では日本酒は寒造りが多いようですが、11月ころから出荷される新酒も出てくるそうなので、新酒の中でも初めの方のお酒をイメージするのがよいでしょう。なかなか実感を結びつきにくい季語ですが、難しい出題に立ち向かうのもまた俳句の楽しみ。お気に入りの銘柄のお酒をのみながら、楽しく句作に励みましょう。
なお、現在では「新酒」は「7月1日から6月30日までの酒造年度のうちに仕込み、出荷された酒」を指すことも多いようですが、俳句でこちらの意味を使うのは適切ではないでしょう。
● 例句研究
風に名のついて吹くより新酒かな
-園女-
国取りの国なる新酒汲みにけり
-有馬朗人-
とつくんのあととくとくと今年酒
-鷹羽狩行-
かたまつて鬼も暖とる新ばしり
-中原道夫-
◆ 主要参考文献
『合本 俳句歳時記 第四版』(角川学芸出版)