季語研究 「八月」 -戦争の影-
★★★けろけろ道場 季語研究★★★
No.35【八月(はちがつ)】(初秋 / 時候)
● 概要
月の初めに立秋があり、夏から秋にかわる。暑さは厳しいが、月の終わりになると秋気が感じられる。
● 季語について
八月とは新暦の八月のことであり、今年は八月七日に立秋を迎えます。
八月と言えば夏休み、お盆、終戦記念日と、日本人に鮮烈に刻まれた共通イメージは多いと言えましょう。中でも俳句における「八月」は戦争のイメージとの結びつきが強いと言われており、戦争を題材とした名句も数多く詠まれています。
ここで考えたいのは、「八月」の句を読解する時にどの程度戦争の影を意識するかという問題です。俳人はこれまで戦争への想いを大切に俳句に詠みこんできましたが、俳句で「八月」と言えば戦争のイメージを含むと決めつけるも乱暴に思えます。それぞれの句によって事情は異なりますが、戦争のイメージと結びつけるのはあくまでも一つの解釈という観点も持っていた方がよいかもしれません。
● 例句研究
(1) 「八月の」で始まる句
八月の太白ひくし海の上
-正岡子規-
八月の空やしづかにひと並び
-柿本多映-
八月の機内に点る読書灯
-村上健志-
八月の赤子はいまも宙を蹴る
-宇多喜代子-
(1) 「八月や」で始まる句
八月や孔雀の声の凶々し
-飯島晴子-
◆ 主要参考文献
『合本 俳句歳時記 第四版』(角川学芸出版)
ウェブサイト『きごさい歳時記』