#読書感想文 No.59
今回はサクッと読めて、心理学の用語が理解できる本の紹介です。
最後までお付き合いいただけると幸いです。
noteでも心理学の記事は人気を博しており、多くの人が興味関心を抱いていることと思いますし、悩みや迷いに遭遇した経験のある方なら、自分の心の在り方について、内省・内観をすることで、図らずも心理学の領域に知的好奇心を掻き立てられた人もいるでしょう。
心理学とは単純に一個人の心の状態を知ることから端を発し、私たちが形成している人間社会全体にも、個人の心の状態が反映されているという、個人ではなく、社会というコミュニティにフォーカスした領域にまで及んでいます。
「サピエンス全史」などで私たち人類は集団を形成することで生き残ったということや、宗教などに見られる偶像崇拝が、組織の結束をより強固にするといった、人類全体の心理状態の変遷やコントロールについても、科学的実験により明らかになってきています。
本書では、どこかで聞いたことのある用語や、どこかで体験したことのある現象について、非常に分かりやすく解説をしてくれています。
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なぜ人は心理学に興味を抱くのか?
早速、本の内容から離れていきますが(笑)、どうして心理学は、興味関心の的となる学問になったのでしょうか?
私が幼い頃は、まだ占いやまじないと同格程度の評価しかありませんでした。
インターネットの普及については、この20年で驚くほどの発展を遂げたことは誰もが納得するところだと思いますが、心理学の社会的認知度も、相当に高まっているのではないでしょうか?
これは、経済的な安定感が、一個人のメンタルに作用していたというコトなのではないでしょうか?
何も好景気である必要なく、不景気でも、情勢が落ち着いていることで、人は慣れる生き物ですから、環境に適応していくのだと私は考えています。
急激な社会情勢の変化は、個人の生活に影を落とし、ひいては社会という人のコミュニティそのものにも影響を与えます。
ある意味で心理学は、自己の存在や人という種の特性を確かめる羅針盤の役目を現代では担っているのかもしれませんね。
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社会と個人を繋ぐもの
アイデンティティは、本来、12歳から18歳あたりで獲得するものだと、提唱者のエリクソンは唱えています。
もちろん、それ以降でも獲得は出来るのですが、遅れるほどに精神的な成熟度は未熟なままです。
そして、このアイデンティティの獲得に失敗すると訪れる転機とは「孤独」です。
他者との違いを認識することで形成されるはずが、他者との接点が希薄だと未発達のままとなります。
そして、「自分は何者なのか?」という問いかけに答えられず、自己肯定感が下がってしまうこととなります。
エリクソンは、このアイデンティティの獲得に必要な、自分自身を見つけるための時間を「モラトリアム」と称しました。
個人的な意見ですが、現代社会、とりわけ今の日本には、このモラトリアム状態にある人が多いのでは?と考えています。
ですから、自分の存在を確かめるために、心理学に答えを求める流れとなり、今日の心理学の発展につながったのではないでしょうか?
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今や一個人だけでなく社会の答えが心理学にはある⁉
どう捉えるかはあなた次第ですが、心理学の素養というのは、ビジネスの世界でも重要視されるようになってきました。
自己理解をし、心身が安定状態にある人物は、周囲の人間にも安心感を与え、組織としても、対顧客で考えても、有効な人材だと言えるでしょう。
つまり、心理学の知見を活用し、社会的評価を高めることが現代人に必要だということです。
とは言え、心理学の世界は一つの学問であるので、実に奥が深いものです。
学ぶだけでも相当な時間がかかるでしょう。
ですから、まずは本書のように、実生活とリンクした事例を綴った入門書的な書籍から、心理学の世界に進んでみてはいかがでしょうか?
きっと新しい発見があると思います。
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ということで、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の投稿は以上です。