ユルスナール「ハドリアヌス帝の回想」挫折(別途読了レビューあり)
noteでも何冊もレビューしているユルスナールの代表作「ハドリアヌス帝の回想」。
2回読んで2回とも挫折したのでしばらくは読まないことにしました。
今回は挫折ポイントをレビューしてみます。
ユルスナールは大好きで「東方綺譚」「とどめの一撃」「黒の過程」「三島あるいは空虚のヴィジョン」などを読んできました。
いずれも楽しめたし、難解な「黒の過程」も読了できました。
レビューはこちらを参照。
なので、ユルスナールが合わないとか、難しいから読めないということではありません。
「ハドリアヌス帝の回想」は100pほど読みましたが、「とどめの一撃」よりは全然読みやすいです。
およそ300ページ程で、長編としてはちょうどいいくらいです。
ではなぜ2回も挫折したのか?
ローマ音痴
僕は歴史は好きな方なのですが、ローマ音痴で、どうもローマに嫌われているような気がします。
そもそもの知識は有名な人物や固有名詞、あとテルマエロマエぐらい。
以前ネトフリの海外ドラマで「ローマ帝国物語」みたいなのを観たこともありますが、それもなぜか全く記憶に残っていません。
一度観た作品はだいたい覚えているものなんですが……
そういえばアウグスティヌスの「告白」も読みましたが、テンション高すぎて断念しました。
なぜかは分からないけどとにかくローマ関連の知識が全然入ってこないんです。
「ハドリアヌス帝の回想」は前提知識が必要
本作は、死期を悟ったハドリアヌス帝が一人称で自分の人生を回想するというスタイルです。
本人(ハドリアヌス帝)はそれを歴史に残すとか、自分やローマを知らない後生の人間に読ませるという意識がないので、あったこと、思ったことをそのまま書いている……と、そういう体でユルスナールが書いています。
なので、あらゆる固有名詞や出来事が何の説明もなしにポンポン出てきて、そのまま話が進んでいきます。
例えるなら、自分だけのための日記のようなものですね。
自分のためだけに書いている日記に出してくる友達の名前や出来事にいちいち説明を書かないですよね?
なぜなら、それを他人、ましてや数千年後の異国人が読むことを想定していないからです。
そうした日記を数千年後の異国人が読むとしたら、その人物や生きた時代についてしっかりとした前提知識が要ることは容易に想像できると思います。
それが「ハドリアヌス帝の回想」なのです。
予習すら頭に入らない
とはいえ、好きな作家の代表作なのでできれば最後まで読みたいし、楽しみたい……ということでハドリアヌス帝の時代だけでも理解しようと思い、分かりやすそうな歴史書を購入して予習することにしました。
しかし、これも頭に入りませんでした。
やっぱり僕はローマに嫌われてるみたいです……
代表作が読めない歯がゆさ
結局読むための勉強すらできないので、泣く泣く「ハドリアヌス帝の回想」は諦めることにしました。
好きな作家の代表作が読めないというのはなんとも情けない話ですが、まあ楽しめないので仕方ありません。
ユルスナールは未読の作品もまだあるので、それらを読んでいくことにします。
追記
読了しました。
レビューはこちら。