作者の米澤穂信さんは22年1月に166回直木賞を受賞されました。文学賞も今までにたくさん受賞されていて、アニメの原作になるなど人気の作家さんです。知ってはいたのですが、僕は今まで米澤穂信作品を読んだことがなかったです。
直木賞受賞されたこともあって
今回古典部シリーズの第一弾『氷菓』を読んでみました!感想を綴ります。
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本書は青春×ミステリー小説です。日常に潜む謎を解くお話ですが、魅力はキャラクターにも詰まっています。
主人公・折木奉太郎の省エネ思考は一度は考えたことがありそうです。
自分の芝よりも、隣の芝の方が青く見えがちです。ちょっとめんどくさそうに見える主人公は↓のような考えの持ち主です。
ですが、千反田えるさんとの出会いで少しずつ変わっていきます。
千反田さんは謎を呼ぶ人で、主人公はその謎にめんどくさそうに巻き込まれていきます。旧友で謎解きの相棒の福部里志と、小学校以来の付き合いでそりが合わない伊原摩耶花も一緒に謎解きに挑みます。
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奉太郎がいう薔薇色と灰色とは一体何なのでしょうか。
ちょっと自分の言葉で書いてみます。
薔薇色→勉強やスポーツ、色恋沙汰など熱中できるものがある状態のこと
灰色→熱中できるものを探している状態のこと
隣の芝生は青く見える。高校生でも社会人でも起きることです。
何かに熱中している真剣な横顔に憧れてしまいませんか。その横顔と自分の自信のない声を比較して、たいして誇れるものがない中途半端さが足を引っ張ってしまいます。
熱中に準備時間は用意されていない。
熱中が僕を動かす。
熱中をコントロールすることはできない。
熱中は時間を忘れさせる。
その時、かつて憧れていた真剣な横顔をしているんじゃないかな。
探しているけど、見つかった!という瞬間はなくて、灰色とか考えなくなったら、すでに薔薇色に変わっている。
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本書を読んで、改めて「隣の芝生は青く見える」ことについて考えてみました。そんなこと考えられないくらい「熱中」してしまえば解決ですね!
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました。