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錦鯉 -今月の魚病対策-

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季節に先駆けた錦鯉の魚病対策について。 錦鯉愛好家の皆様に読んでいただけると幸いです。
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#魚病

おわりに-12月の魚病対策-

今回で曲がりなりにも私の義務を果たすことができました。1年間通せるかどうか不安でしたが、愛鯉会の会員の皆様の有り難い励ましや、自分自身の勉強のためということで、無事終えることができました。 全国の愛好家の方々から多くのご質問をお受けし、適切な返事が出来なかったことも少なくなく、申し訳なく思っております。誌上をお借りしてお詫び申し上げます。このような失敗や経験を今後に生かし、更に発展させたいと思います。 こうした中で何よりも嬉しかったことは、愛鯉会の方々にお会いした時、「今

鯉と注射法-12月の魚病対策-

鯉の病気に注射が頻用されるようになってきましたが、一般的には余り勧めたくない方法です。 背や尾筒あるいは胸鰭の筋肉部分に注射し、即効性でかつ、確実な効果を得ようとするわけですが、Aseptic(無菌的な)という概念がマスターされていない場合は注射や手術は思わぬ合併症を引き起こします。鯉の常に水に接している特異性を考えるとき、鯉からの薬物の吸収や、もしこの部分のbarrierがないとするならば、最も安全で確実性のある、そして即効性でも劣らない方法ではないかと思います。 多少

イカリ虫を制するもの-12月の魚病対策-

ここ1〜2年の私の池の病気発生状況は、何といってもイカリ虫によるものが最も多く見られました。しかしこれまで述べてきた、マゾテンの定期投与とその応用によって、後遺症を残すような被害はありませんでした。 多くの愛鯉家からイカリ虫の被害のあったことを聞かされますが、イカリ虫を制するものは鯉の魚病対策の半分は制したといってもよいぐらいの頻度の高いもので、さらにマゾテンや他の寄生虫(ダクチロギルス、ギロダクチリス、エピスティリス、チョウなど)や細菌(カラムナリス菌、シュウドモナス菌な

水温の管理-12月の魚病対策-

越冬の準備は完了したことと思います。冬期の水温は低くても6℃〜7℃くらいには保ち、5℃以下にならないように注意しましょう。 昨年は、予想外の寒波の襲来で二℃〜三℃になった池もあると耳にしますが、大変危険な状況ですので、気をつけてください。理想的には、8℃〜10℃ぐらいが良いという結論は、既に越冬対策委員会で出されております。 水温が8℃であっても鯉が動いている場合は、麦あるいは越冬用の餌を2〜3日に一度は、多すぎぬよう与えます。冬期は体力を維持する程度ではよく、決して太ら

この頃想うこと-11月の魚病対策-

私のこの「今月の魚病対策」シリーズもあと12月を残すのみとなりました。いろいろと励ましや質問やらご教示やらいただいた鯉友の皆さんに感謝いたしております。 今にして思いますと、よくも臆面もなくこのシリーズの掲載を引き受けたものだと自分の無謀さにただあきれておる状態です。しかし、私の根底に流れるもの―愛鯉を病気から守るのは愛鯉家自身である―という思想をどうしても捨てきれないために、分不相応を承知で背伸びいたしてしまった次第でした。   愛鯉会の魚病対策研究員会や魚病対策委員会の

注意するべきこと-11月の魚病対策-

人為的な失敗例これまで主として代表的な魚病について述べてきましたが、魚病同様に注意しなければならない人為的な失敗例について述べてみます。 ⑴鯉の飛び出し 治療のために池から小さな薬浴槽に移した場合や、新しい鯉を入池した場合に発生します。ちょっと目を離したスキや、夜間に外へ飛び出して死亡あるいは回復不能な損傷を負います。水面が30〜40センチぐらい低くても、また移した水槽が多少広いといっても安心はできません。簡単なふたなどをしてもはずしてしまうことがありますので、薬浴やでき

冬になる前に-11月の魚病対策-

10月に続いて11月もいろいろと忙しい季節です。いろいろな行事で鯉の出し入れが頻繁となって、かなりのストレスが鯉にかかるわけですが、それにしましても、一シーズンに何度も同じ鯉が品評会に出品されるのを見ますと、本当にかわいそうになってしまいます。 1シーズンに3回も品評会に出された鯉が春先に死んでしまったり、死なないまでもすっかり体調をくずして翌年はもう使い物にならなくなってしまったりという経過をしばしば見たり聞いたりします。鯉は非常に敏感で、神経質な動物です。多くても年に1

自己採点し自己批判を-10月の魚病対策-

スポーツや碁、将棋と違って、鯉の趣味は上手、下手が誠に抽象的で、明確に順位がつけられないわけです。ある程度経験すると初級者は中級者のごとく、中級者は上級者のごとく錯覚を起こして天狗になり、俺は俺の好きなようにやるといった気持ちになりがちです。しかし、実際は上手、下手はあるし、厳然たる差が存在するのです。品評会などでたまたま良い成績をとると、錯覚はさらに頑固なものになっていくようです。 愛好家としての力は  ⑴鑑賞力  ⑵池の管理力(水管理)  ⑶鯉の管理力(魚病、餌など)

水草の除去と植え替えを-10月の魚病対策-

さて、寄生虫や細菌の交代期のみならず、水草の交換機ですので、ホテイ草やアヤメ等を利用している方は、葉の先が黄色になってきましたら要注意となります。 4月号で述べましたように、クレソン等と植え替えるとよいでしょう。水草の効果は大きいのですが、逆にこれをおろそかにすると害も大きいものになりますのでご注意ください。

定期投薬も忘れずに-10月の魚病対策-

マゾテンの定期投与はいつものように月1回行いますが、しばしばこの定期投与の中間にイカリ虫の発生を見ることがあります。 たいてい定期投与が済んで2〜3週間後で、鱗や鰓の充血、立鱗あるいはイカリ虫そのものを見ますが、このときはすぐにマゾテン投与を行ってください。数日で虫っ気がなくなります。 この投与によって、結局定期投与を入れますと2〜3週間間隔で3回の投与を行う計算になるわけです。 薬の投与は、必要上最小限に効率よく投与するのが理想であることは言うまでもありません。現実に

イカリ虫の点検と薬浴を-10月の魚病対策-

新しい鯉の購入あるいは土池から戻ってきた鯉を池に入れるときは必ずイカリ虫の点検をして、付着しているときはこれを抜き取り、その部位を局所消毒します。 次に、過マンガン酸カリ溶液(2〜5PPM)で三十分ほど薬浴し、池に入れるわけですが、このとき絶対に運搬に使用した水を池に入れないように注意してください。 池の水で作った過マンガン酸カリ溶液のタライに鯉のみを移して薬浴し、次にまた鯉のみを池に入れるようにすればよいわけで、思いがけない外部からの寄生虫や細菌の混入を最小限に食い止め

外傷に注意を-10月の魚病対策-

外傷は結構多く見られ、頭や背をぶつけて出血させたり、胸鰭を折ったりしているのをよく見かけますが、鯉の移動の時点で責任のない者が鯉を粗雑に取り扱うということがあると心配です。観賞価値は失わないまでも、瘢痕となり跡を残し、品評会の審査の時点で大きくマイナス点となってしまいます。 特に預かり鯉などの場合は、アフターサービスや保証の問題などがあやふやなのが現状ですので、結局は愛好家が泣き寝入りせざるを得ないことが多いものです。 鯉は高価なものも少なくありませんので、土池に預ける場

移動の激しい季節-10月の魚病対策-

10月に入りますと全国各地品評会が行われ、産地でも優秀鯉の池揚げが行われます。1年間腕によりをかけた自慢の鯉の競艶にプロ、アマが入り乱れ、最も活気あふれる季節となります。 したがって鯉の移動が激しく、沼に預けた鯉が帰ってきたり、新しく購入した鯉が入池したりしますので、それだけに魚体が傷ついたり、新しい寄生虫や細菌が混入したりして感染を誘発し、思いがけない事故につながりやすいので、注意してしすぎるということはありません。

麻酔の方法②-9月の魚病対策-

③麻酔の維持 つまりこの時期に手術を行うわけで、それだけに最も経験や、テクニックを要するところです。短時間の手術なら問題はないのですが、20分、30分、それ以上になりますと、適当な維持濃度の麻酔剤が入った水に鯉を浸して、このときはエアレーションや、水の補給を行いながら手術をします。 このとき、常に呼吸回数などを注意していなければなりません。毎分10分以上の呼吸数であれば心配ありませんが、麻酔の濃度が強く、時間が伸びたりしますと、延髄の麻痺が生じ呼吸停止、心停止を来すことも