自己採点し自己批判を-10月の魚病対策-
スポーツや碁、将棋と違って、鯉の趣味は上手、下手が誠に抽象的で、明確に順位がつけられないわけです。ある程度経験すると初級者は中級者のごとく、中級者は上級者のごとく錯覚を起こして天狗になり、俺は俺の好きなようにやるといった気持ちになりがちです。しかし、実際は上手、下手はあるし、厳然たる差が存在するのです。品評会などでたまたま良い成績をとると、錯覚はさらに頑固なものになっていくようです。
愛好家としての力は
⑴鑑賞力
⑵池の管理力(水管理)
⑶鯉の管理力(魚病、餌など)
⑷会への貢献(指導、活動、親睦、和など)
ということが言えるわけでして、この四つの条件のどれが欠けてもまずいわけです。
公認審査員並みの鯉を見る眼を持っていたとしても、その人の家の池を見に行ってがっかりして帰ることもあるでしょうし、観察力も管理力もすぐれていたとしても、会(愛鯉会)への協力がおろそかである場合は、愛好家として100点満点をつけるわけにはいかないでしょう。
ふつう一般的には⑴鑑賞力がついてきて、次に⑵水管理がうまくなってきて、その後、⑶鯉の管理がしっかりしてくる、といったパターンになりますが、もちろんこれらは互いにオーバーラップしておるわけです。逆ということは余りないといってよいでしょう。
図の4つのfactorが10点に近くなって、正方形の形が大きく成長するのがよいわけで、ゆがみがあっても不十分ですし、正方形が小さくても努力が必要になってきます。
愛好家同士親しく交流し、お互いの池を見学したり鯉を鑑賞したりすることは大変楽しいことです。しかし、他人の池の鯉を見せてもらっているのに(見てやっているという感じの方も少なくない)、「あの鯉はイカリ虫がついている」「穴あきの跡がある」「背筋が少し曲がっている」「あそこがこうだったらなあ」とか、いろいろ批評が飛び出します。
他人の家を訪問してその家の子供が足が悪かったり眼を患っていたりするのを見て、それを指摘するに等しいことに気付かないのでしょか。その家の主人が一番その欠点を知っていて心を悩ませているのに…。毎日顔を合わし、切磋琢磨している仲間ならよいのですが、注意したいものです。
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