【保存版】評価制度の設計方法②
本記事は人事制度の3要素のうち『評価制度』についてより深く、詳細に、設計方法をご紹介する記事の続きの内容となります。
※①がまだの方はこちらからご覧ください!↓
今回は、『成果評価』と『行動評価』の設計方法についてご説明いたします!
さっそく、各制度の設計方法の解説を進めて行きます…!の前に、①の内容について簡単に振り返りを行いたいと思います。
【ざっくり前回の要約】
①では評価制度の全体像について解説を行って参りました。
できる限り属人性を排除できるよう、ロジックに基づいた評価がお勧めです。
評価制度の一般的な形は、「成果評価+行動評価=総合評価」の形となります。
成果と行動の2軸で評価を行いますが、会社や等級によりどちらをどの程度重視されるかで各社の色が出てきます。
評価の段階数はできる限り少なく設定(5段階評価)
以上が前回の内容となります。
今回ご紹介する成果、行動評価については評価結果がそれぞれ、そのまま報酬に結びつくわけではなく、ウェイトを掛け合わせた上で、総合評価として評価が行われる想定で解説を行わせていただいております。
また、基本思想としまして、評価者の裁量の影響が出やすい行動評価を評価対象に含めつつも、運用とのバランスを鑑みつつできる限り属人性を排除できるような制度となるよう設計を進めております!
成果評価の設計方法
- ①成果評価の判定方法
成果評価は、『目標の達成度』によって評価を行います。
そのためどういった目標を立てるのかによって、
達成の難易度=成果評価の難易度が変化します。
成果評価は主に以下の3つの目標フレームから選択します。
それぞれのメリットとデメリットは表の通りですが、大きな違いとしては
①定性的な目標も設定するか
②目標を公開するか
③目標を挑戦的な難易度とするか
の3つのポイントがございます。
それぞれの目標フレームを上記で整理するとこのようになります。
・MBO:①定量(+定性)、②非公開、③100%達成できる難易度
・OKR :①定量 +定性 、②公開 、③60%~70%ほど達成できる難易度
・KPI :①定量 、②非公開、③100%達成できる難易度
ただし、あくまで目標”フレーム”ですので会社により各要素を調整することは可能です。(例:OKRでも100%達成できる難易度で設定する 等)
報酬の決定として利用するだけであれば、MBOを選択することも良いですが、さらに組織全体の生産性向上やコミュニケーション促進も視野に入れる場合には、目標を公開する形で運用するOKRを活用するのが良いでしょう。
OKRのメリットやデメリット、設計時のポイントについては、下記記事にて詳しくご紹介しておりますので、ぜひご覧ください!
- ②目標の設定数
目標の設定方法が固まりましたら、続けて目標をいくつ立てるべきかについてもルールとして設けておきましょう。
目標を設定する際に起こりがちなのは、
どれもこれも重要に思えてしまい、つい多く設定してしまう事です。
そして、その結果、優先順位が上手くつけられず何からやればいいのかわからなくなってしまう。。。そんな経験は無いでしょうか?
そのため、目標は2-3つ、最大でも5つまでとしましょう。 また、60%~70%達成が目標となるチャレンジングな目標を立てる場合には、必ず3つまでとしましょう。
一見少なく感じるかもしれませんが、大きな目標を立てれば、それを達成するための小さな目標がいくつも発生するものです。
そのため、本当に達成したいものだけに集中できるように、目標は厳選しましょう。
成果評価で検討すべきポイントは以上となります。
続いて、行動評価の設計に移ります!
行動評価の設計方法
- ①行動評価の判定方法
行動評価を行う際には、どういった行動を評価するのかを示した「行動基準」を作成し、それに照らし合わせる形で評価を行います。
上記画像の通り、等級定義と同じような形で、等級ごとに求められる行動基準を設定していきます。
※注意※
ここで、よく等級定義と行動基準を同じものとして捉えてしまう場合がございますが、2つは異なるものですので、違いについて後ほどご説明させていただきます。
上記のイメージでは、行動基準をコンピテンシーで設定していますが、そのほかにバリューを軸として設定する場合もございます。貴社で社員の方に求めたい行動を設定ください。
※コンピテンシーとは:
優れた成果を創出する個人の行動特性を分析、言語化したもの
また、記載の際には、左側のようにレベルに応じた具体的な行動を詳細に記載する方法と、1つの評価軸を設定して満たせたかどうかにより判定を行う方法の2つの記載方法がございます。
右側の方が評価者の恣意性が含まれやすい傾向にありますが、行動は定量的に観測することは難しいため、どちらの場合でも完全に恣意性を排除することはできない点に留意が必要です。
また、その時の会社のフェースにより求められる行動の難易度も変化していきます。そのため、メンテナンスのしやすさといった点をまずは優先し右側の方法(②共通の評価基準を設定)で判定されることを推奨いたします。
【補足:等級定義と行動基準の違い】
特にコンピテンシーにより行動基準を設定された場合、等級定義と行動評価では何が違うのかご質問いただくことがございます。(どちらも会社が求める基準を示したもののため)
そこで、今一度こちらで解説させていただきます。
1,目的の違い
等級定義の目的は、メンバーへ期待値や成長の指針を提示する事が主目的として存在します。各成長フェースに対応するベース金額を提示し、モチベーションを高めるといった点で報酬の決定にも一部関わりますが、主目的は『成長の指針』です。
一方で、行動基準の目的は評価(=報酬)の決定です。もちろん、どういった行動をとれば昇給に繋がるのかが明確になるため、成長の指針ともなりますが、こちらの主目的は報酬額を決定することにあります。
2,測定期間
等級定義での評価は、入社からのすべての期間を対象とします。
行動基準での評価は、いち評価期間のみを対象とします。
そのため期を跨ぐ毎に、評価はリセットされます。
3,測定対象
等級定義では、自社における人材価値を測ります。
行動評価では、一定期間における達成度・実施度について測ります。
そのため、等級定義や行動評価基準の要素を検討する際には、上記の違いを意識し、どちらに含めるのが適切かご検討いただければと思います。
以上が、成果と行動評価の設計方法でした!
ここまでお読みいただきありがとうございます!
このほかにも、「360度評価を含めるかどうか」といったオプションの検討や「評価の対象期間はどうするのか」など実際に設計した評価方法を運用するための設計を行う必要がございます。
人事制度の一番の難所は設計ではなく、アップデートを含めた運用にあると考えています。
そのため、しっかりと運用までをゴールとして、その他の細かな論点についてご説明やご懸念ポイントのご紹介を行って参りたいと考えております。
それでは、また次回についても、よろしくお願いいたします!
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ハイマネージャー
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