マーケティングの定義とは?時代変化から読み解いてみた
「マーケティング」という言葉からイメージするものって人によって解釈が様々で、フワッとしていて、具体的な行動は何なの?問われると答えに詰まるケースが多いように思います。
広く使われる言葉には定義があります。その言葉が指す範囲・そうでない範囲の境界線を言語化・共通認識にして、バックグラウンドが異なる人でも会話が成り立つようにするものです。
一方で現実では「BtoBマーケティングやってます!」と言ってるものの、よくよく話を聞くとweb広告担当であってリード獲得を担っているだけ・・・なんていうケースをチラホラ耳にします。
マーケティングに携わるなら「マーケティング」という言葉の定義を正しく知っておくべき。そんな自戒を込めて、定義を整理してみます。
マーケティングの定義
2024年、日本マーケティング協会が定めるマーケティングの定義が改訂されました。
日本マーケティング協会とは、日本のマーケティングの進歩・発展をはかることを目的に1957年に設立された公益社団法人、歴史ある団体です。2024年にどんな観点で改訂されたのか、変化点に着目することで現代のマーケティングに求められることを読み解いてみます。
日本マーケティング協会の定義の改定前後、そして参考までにアメリカマーケティング協会の定義をザックリ整理すると↓のようになります。
まず改訂前、1990年に制定されたマーケティングの定義です。
日本マーケティング協会(1990年制定)
続いて2024年に改訂されたマーケティングの定義です。
日本マーケティング協会(2024年改訂)
アメリカマーケティング協会の定めるマーケティングの定義は次のようなものです。
アメリカマーケティング協会(2007年改訂)
定義の比較・アップデートされたコト
注目すべき点は以下です。
1990年には「公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」とありました。しかし2004年には競合の観点がありません。競合を意識する重要性が低くなっていると言えます。
2024年には「関係性を醸成」という表現が加わりました。またアメリカマーケティング協会の定義には「交換」という表現があります。相互作用・双方向性の重要性が高くなっていると言えます。自社からの一方通行ではなく、お客様や社会の声を聞いて理解して、みんなが価値を感じることを創り上げるということです。
2024年で特徴的なのは「社会」という表現です。アメリカマーケティング協会の定義にも含まれています。マーケティングとは社会に影響を及ぼす活動に定義が変化・拡大したと言えます。
背景には、企業に求められること・企業価値として算定されるもののうち社会に関わること(ESGなど)の重要性が高まっていることが考えられます。ファイナンスの観点でいうと財務価値だけでなく非財務価値の比重が上がってきたと捉えられます。
財務価値・・・現在+未来に得る利益を現在価値にしたもの
→定量的に算定が可能非財務価値・・・環境、社会、ガバナンス対応に対する評価
→定性的な算定が必要、長期目線の評価
これはマーケティングなのか?
ここで問うべきは「マーケティング」と名のつく役割は数多くあるけど、それらは本当にマーケティングと言えるのか?、"社会に影響を及ぼす"ということに対してどれくらいの影響度があるのか?ということです。
自分は営業からマーケティングに転向しましたが、そのとき感じた違和感は「マーケター」と名乗ることです。マーケティングが表す範囲は広い、その全てを担っている人は少ない、でもマーケターと名乗る人が多い。誇大表現なのでは?という感覚です。
マーケティングと名のつく役割
検索エンジンのGoogleで検索されている言葉のうち「○○マーケティング」とつくものを、月間検索回数が一定以上のものをピックアップしたのが以下です。
例えばBtoBビジネスでwebマーケティングをやっているとして、、その活動のアウトプットは社会にどのような影響を及ぼすのでしょうか。全体像が↓だとして、どの範囲に位置付けられるのでしょうか。
正しく定義と全体像を理解した上で真摯に向き合っていく必要があると私は考えます。
おわりに
名刺集めだけをやっている人がもしいるならば、それは営業をやっているとは言えません。名刺集めはあくまで営業の役割のうちの一部の作業です。
同じように、リード獲得だけをやっている人はマーケティング全体をやっているとは言えません。あくまでマーケティングの役割のうちの一部を担っているに過ぎません。
「マーケティング」という言葉が指し示す範囲は広いです。だから1人ではできずチームワークが重要で、だからこそ成果が創れたときの喜びも大きいです。マーケティングのチカラでより良い社会を創っていこうと思います。
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