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【本要約】Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学 -アップルがアップルたらしめる理由

本記事は「Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学」(ケン・シーガル著)の要約・解説の記事です。本書は「iMac」を命名した伝説的クリエイティブ・ディレクターである著者が企業価値世界一のアップルの本質を解き明かします。アップルの企業価値の本質は「シンプル」であり、それらが組織や製品、社員の思想など、全てにおいて徹底されていると言います。シンプルにすることで効率よく、質の高い仕事ができるという考え方は、どのレイヤー、職種にも有用です。


「GAFA」の中でもアップルがとりわけ異質なワケ

AI時代においても、世界最高の企業であり続けるアップル。
「GAFA」としてAI時代を牽引する企業の一角として数えられますが、実は他のグーグル、アマゾン、フェイスブックとは大きく違う点があると言われています。
それは、アップルだけは実用性だけでなく、意味の世界で価値を生んでいる点です。より端的にいうと、ブランド価値がアップルの競争の原理です。

そのブランドを生み出しているのはアップルが歩んできた歴史であり、生み出した製品とその物語であり、ジョブズの人生や哲学です。ブランドという虚構が価値をもたらしているという点において、ある意味ではテック企業というよりは宗教に近いとも言われています。

そのアップル独特の価値観の根源にある「シンプル」という考え方、その真髄を知ることができるのが本書となっております。
本書では、「組織作り」「コミュニケーション」「プロダクト作り」「戦略」「広告」「プロジェクト推進」などをテーマにシンプルであることの重要性が説かれていますが、本記事ではその中でも、「組織作り」「コミュニケーション」にフォーカスしたいと思います。

「シンプル」とは何か

本書ではとにかく「シンプル」であることの重要性、魅力、それをいかにアップルが追い求めているかについて、さまざまな角度から語られます。
とにかく、アップルは「シンプル」の信者で、今日の成功もその信仰に基づき成り立っていると言っても過言ではありません。

では、アップルの追い求める「シンプル」とは何か、そんな問いに対する著者の考えをまとめると以下になります。

Q.「シンプル」とは何か
A.シンプルとは、本質的であり、無駄が削ぎ落とされていることである

これが本書で語られる様々なテーマの本質であると思います。
ジョブズが大切にしていたことの一つに以下の有名な言葉があります。

方向を間違えたり、やり過ぎたりしないようにするには、まず「本当は重要でも何でもない」1,000のことに「ノー」と言う必要がある。

ジョブズは何をするかと同じぐらい何をしないのかを重視しており、とにかく本質的ではない多くのことを削る決断を下しておりました。
低迷していたアップル復帰後も、まず初めに行ったのは製品ラインナップをとにかく減らすことでした。論理立てた製品ラインナップを作り、欲しいものを見つけやすくした方が顧客のためになるとの思いからです。実際、人は選択肢が増えると、逆に決断できなくなるという心理的な実験結果もあります。企業価値世界一のアップルが今日あるのも、この時のジョブズの決断からあったからです。

「無駄を削り、本質だけを追求する姿勢」が「シンプル」であるということです。

組織もとにかく最小人数で

アップルでは、とにかく有能な人材を集め、最小人数でプロジェクトを進めることを徹底していると言われています。そのチームの中で全員が役割を持っており、そこにいるべき理由が明確なことが良いチームの条件とされています。
また、プロジェクトの成果の質は関わる人数と反比例するとまでされており、リーダーの役割は参加者の多寡を防ぐこととまで言っております。

少人数であることのメリットをまとめると以下になります。


・密な関係を作り出し、共通の目的と価値観を持っていると言う感覚を生む
・小さなグループの方が集中でき、士気も高い
・ヒエラルキーがあると物事が複雑化する
・意思決定者が現場と近いことで判断を早く下していける


これは変化が激しい現代に特に言えることだと思います。
同じような組織作りを行なっている会社でここ数年で急激に成長した会社が、ネットフリックスです。知識集約型の業界では、多くの凡人よりも一人のスーパースターを採用した方が多くの利益を生み出すとして、人数を減らしていくことを徹底しています。

コミュニケーションも容赦なくシンプルに

アップルでは社内外におけるコミュニケーション方法についても、「シンプル」という哲学が徹底されています。

コミュニケーションでは以下のことをポイントとしています。


・コミュニケーションは率直な方が効率が上がる
・人は自分の優先順位を通して物事を見る
・物事は事実ではなく、解釈であることが多く、解釈が入ると複雑化する
・全員が共通認識する基準を設けるべきで、基準は状況に応じて変更しない
・場合によって基準を下げるような妥協はしない
・簡素なコミュニケーションを取れる人間は評価される
・相手の時間に敬意を払い、簡素に伝えることを心がける



また、マーケティング(社外への発信)においてもシンプルさが追求されております。ポイントは以下です。


・シンプルに語りかけた方が多くのことが伝わる
・製品のネーミングは一言、二言でその製品や企業の本質を表すことを求める
・技術的な用語を使わず、人間的なコミュニケーションをとる


と、ここでもシンプルであることを徹底しています。そのことがよくわかるのが、アップルのCMとジョブズのプレゼンだと思います。日本企業と比較すると、本当にその違いが分かります。日本企業があれやこれやと仕様を説明したところで、消費者には伝わらず、ジョブズが封筒からMacBookを出したときに全てが伝わるわけです。

まとめ

今回は、アップルの伝説的ディレクター/ケン・シーガル著書の「Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学」について解説しました。

改めて重要な部分をまとめます。
①アップルが成功したのはあらゆることでシンプルを追求しているから
②シンプルであるとは、本質を見極め、無駄を削減することである

特に、コミュニケーションもシンプルにしたほうが伝わるという考えた方は、全ビジネスマンにとって有用な考え方かと思います。

本書でも「複雑にすることは簡単で、シンプルにするのは骨の折れる作業である」と指摘されていますが、シンプルにできる力はある種のスキルなので、ぜひ身につけたい重要なスキルと思いました。

その他にも、本書では伝説の広告や製品についてどのような考えがベースになっているのかなど、具体的なエピソードとともに300ページほどの文量で詳細が書かれていますので、気になる方は是非お手にとって読んでみてください。

今回の記事は以上になります。
ご一読いただき、ありがとうございました。

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