旅先、ローカル喫茶店の朝
おはようございます。
今日も食日記ご覧いただきありがとうございます。
ここ一ヶ月くらいの土日は雨模様の空が多いのは気のせいだろうか。
僕は土日も普通に働いている身だから、むしろ平日晴れ晴れの空に幸運を感じているくらいなのだが。
そういう時は、ホットコーヒーが美味しいですよ。
今日の食日記
旅行先の朝、どんな風に過ごそうか。
旅行の始まりは重要なのだが、意外にも眼中にないというか、ホテルのブュッフェでパパッと済ませるもしくは食べないなんて人もいるだろう（まあ。食べないというのは当たり前に考えられないのだが、ブュッフェもどうももの寂しい。朝から満腹になっては何もできない）。
せっかくの旅行、毎食を充実した食体験にしたいというのが僕の願いで、全集中でお店を調べ上げ旅行に向かう。朝だって代え難い食体験にしたいのだ。
かといって朝から郷土料理を食らうというわけではなくって、ローカリティを食らうというのはいかがだろうか（食べる行為そのものだけが食体験というわけではなく、そのお店で会話をしたり、香りを嗅いだり、その空間を選び想いに耽ることだって立派な食体験で）。
そんな思いがある僕は、ローカリティを思い浮かべると街の愛された喫茶店がポッと浮かんでくることが多くって、結局喫茶店を選ぶことになるのだ。
日常がそこにはあって、危うく邪魔な観光客になりうる。
そのくらいの違和感としてローカル関わる緊張感が好きなのだ。
今回も夜行バスで着いた朝6:30。流石にお店はやっていないのだが、ゆったり歩いて目的の喫茶店へ向かった（8:00着）。
歩く向こうにちょこっと看板が見え、ハッとした。
今日のお店
ナイスなローカリティだとしみじみ思った（味がたまらん）。
長いことこの金沢の地で人々の憩いの場所となってきたのだろう。
赤煉瓦造りの趣のある外観は現代のものとは思えないほど色味といい控えめなサイズといい、そのまま残ってきたのだろう（間違いない名店を見つけてしまった）。
窓越しから数人のお客さんが見える。
ご夫婦で新聞を読む方や、カウンターで何やらお客さんと楽しそうに話すおじさん。明らかに観光客ではないし、これぞローカルな和を感じた。
店内に入れば、当たり前のように僕のことは気にせずに、時はどんどん流れていく（これが喫茶店の心地よさだ）。
味のある昔ながらとちょっとおもちゃの世界のような可愛さがあって。
モスグリーンの地味なトーンが憧れそのものだ。
コーヒーのスペシャリティなだけあって、カウンター目の前の棚にはこれでもかとコーヒー豆が整列している。
もうすでにこの空間の虜になった僕。一度大きな（大きすぎるか？）深呼吸を吸ってみた。
このカウンターといい、色味といい、おじさん達のただの世間話といい、コーヒーの焙煎された香りと共に心地よい毎日の1ページとなって自分を映し出す。いいなぁが漏れる。
だから逆らわないように、ひたすらにカウンターで本を読んだ。
この全てが揃って金沢の当たり前の朝が始まるようだ。と思った。
モーニングはないけれど、何やら美味しそうなプリンが目に入った。
頭でその味わいを妄想すると、コーヒー豆はコスタリカかなーと答えが出た（この妄想が珈琲体験の醍醐味だ）。
焙煎された香ばしい珈琲の香りがやってきて振り返った。
コスタリカは口当たりが優しくマイルドなのに、飲むとガツンとコクがあってちょっぴり酸味でしまる安定したおいしさ。
妄想通りプリンがハマるなーと。
見るからに固めのこんなにも鋭いプリンがあるのかってほどのプリンがやってきた（もはやピザ）。
スプーンを入れると少し驚かされた。
自家製プリンは硬めかと思いきや、案外すっと溶けるように入っていく。
一口食べれば口溶けは、生クリーム全開のなめらかさ。卵のコクとバニラの香りがぶわーっと広がって、カラメルが絶妙にハーモニーを奏でる。
またコスタリカの優しい酸味がちょどよくビターな甘味と繋がっていく。これがコーヒーのストーリーなのだ。
間違いないペアリングに夢中になっていると、旅行の朝を忘れていた。
贅沢な時間は読書が進み、いつまでこのお店に入り浸ってやりたいほどに、僕も現地人そのものだ。
いつもの日常を見た朝は、落ち着いた気持ちで旅行を始められる。これだから旅行朝一の喫茶店は是非とも行ってみてほしいのだ。
旅先で人間模様を見る。いいじゃないか。
暖かい。
美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。
今日のお店：東出珈琲店（石川県金沢市十間町４２）
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