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1月の参鶏湯

あけましたおめでとうございます。と既に1週間も過ぎてしまったのだが、今年は継続の1年にしたいという気合も込めてご挨拶とさせていただきます。

書きたいエッセイのはずが、驚くほど時間が取れず(時間は作るものだ、と誰かから言われそうだが)、滞ってしまったこれまでの期間を取り返すように、今年は更新していこうと決めました。

ということで早速。

今日の食日記

那須に移住し初めての冬を迎えた。
12月からの冷え込みは武者震いはしたが、それでも暖冬とあってかなんとか生き延びてきた。そうは言っても先日名古屋に帰った時は、こんなに暖かいものなのか、と驚きホッとしたのだが。

これなら乗り越えられると思っていた矢先、身の危険を感じる寒さになってきたではないか。
最高気温5度ほどで、朝晩の冷え込みはマイナス3度。何かを察するように那須を理解した。あー、そうだよね。やっぱり12月の気温じゃ終わらないよね、と。

地元の同僚には本番は2月だから、と脅される毎日に気が狂いそうなのだが、幸いにも暖房の部屋から厚着で車に乗り込み、再び暖房の効いた職場に移るのみなの毎日なので助かった。

この寒さを乗り越える美味しい時間がきっとあるはずだ。その探究心が高まっていくのが唯一の楽しみ(とするしかないのかもしれない。毎日「ここでは暮らせない」と嘆いている)である。

暑い夏にはアイスクリームが頭から離れないようい、今は寒さを耐えて啜る快感を求めて生きているようなものだ。温かい何かがあれば良い。飢えるように求め続けているのだ。


今日のお店

そんなタイミングで、韓国料理店に車を走らせた先日。
お昼間の太陽が気のせいだったかのように、17時には真っ暗のこの場所は、やはりマイナス1度。

頭には参鶏湯しかない。前日に予約をすると「1日じゃ間に合わないです」とお店のオモニに言われて渋々諦めていたところに、当日朝10時、「用意できます」との回答が。
想いが伝わったのか、オモニの愛情に泣きそうになり、泣きつくように入店した。

顔面凍ったように席につき、決まり文句のように「今日も寒いね〜」と合流した友人と文句を垂らしたと同時くらいに、参鶏湯が運ばれてきた。


ぐつぐつと浸かる丸鶏に感謝を込めて

予約しておいたからか、即座に出され、若干の困惑の中、追加の食事も頼んでおいた。

鶏が一羽湧き出る温泉に浸かるように、ぐつぐつと活性化している。
参鶏湯はお手のものの僕。
ひっくり返すとお腹にご飯が詰まっていることも知っているし、高麗人参となつめが味を締め、塩を入れて旨みを引き出すことも既に理解の上だ。

寒さから一点、参鶏湯モードに入れ替えて、すかさず参鶏湯の仕上げにかかった。

ほろっほろの鶏肉はそのままの素材の滋味深さを楽しみたい。
鶏白湯スープは鶏の風味が強く、塩を足すとグッと旨みが増してくる。
スープだけでまずお椀一杯飲み干したいくらいだ。

塩加減はお好みで、文句は言わない。
参鶏湯の楽しみ方はここにある。
だから取り分ける前の鍋に味の調整をする人はナンセンス。食卓を共に囲みたくない人第一候補だ。

バンチャン(韓国の細かすぎるサイドメニューの類の総称。この文化好き)のキムチを味変にするとまた絶妙なアクセントとなって、永遠に食べていられる。

バクバクと鶏を解体するのは見事、骨までしゃぶり尽くすのが参鶏湯への礼儀なのだ。

そのほかトッポギやキンパもいただいたが、今日のハイライトは参鶏湯。
だって、オモニとの約束だったのだから。
約束を果たすように、骨も食べてしまいそうな勢いでぐつぐつだった小鍋を空っぽにした。

それにしても、1月の参鶏湯は美味だ。

10月ごろからコンビニにおでんと中華まんが登場するように、1月のマイナスを観測したあたりから、参鶏湯が最も美味しく感じるのではないだろうか。
厳しい寒さの韓国だからこそ、参鶏湯で乗り越えてきたという文化食的な側面を少なからずあるだろう。
僕の脳裏にも、一つ、冬の乗り越え方を追記することができ。

参鶏湯はオモニが届けてくれる温もりの塊そのものだったみたいだ。

ほてった体はまるで参鶏湯のように湯船から上がったようだった。

美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回



今日のお店:タモア(栃木県大田原市本町1丁目1-10)



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