愛を頂く韓国家庭料理の世界
こんばんは、今日も食日記ご覧いただきありがとうございます。
今日はどんな日でしたか?
日曜日。
僕は明日休みなので優雅にカフェでこのエッセイを書いています。
明日から仕事憂鬱という方も、少しでもこのエッセイを読んで、明日の夜ご飯を楽しみにして一週間始めてくださいね。
頑張りすぎず、ほどほどに月曜日迎えてください。
いつでも食の楽しみが救ってくれます(少なくとも僕はそう)。
今日の食日記
今世界中が憧れる国、それは韓国だろう。
コロナ禍あたりからKPOPブームが牽引し、瞬く間に韓国という国、カルチャーが世の憧れに変わった。
日本に目を向ければ、隣国韓国とは切ってもきれない近さがあって、KPOPカルチャーに留まらず、観光料理やファッションは一大トレンドとしてまるで日本の文化のひとつかのようにそこにあり続けた。
僕の専門、グルメに関してもいちいち韓国の影響を受けてきたと思う。
特に若者(ここで疑問なのは、僕が若者だから敏感にそう感じてしまうのかどうなのかという話)。
タピオカブームも結局は韓国からだし、発狂するように並び続けたハットグブーム(チーズがひたすらに伸びるあのアメリカンドッグみたいなやつ)も韓国で。
思い返せばチーズタッカルビもそうだし、韓国チキンというチキンのジャンルができてしまっているではないか。
確かに、美味しい。そこは有無を言わさない。
チーズが伸びればワクワクするし、チーズ畑にチキンをディップするあの多幸感は他にない優越感さえある。
ただ、思うのだ。
それが韓国料理を背負って良いのかと。
なんだかんだ手間のかかるチキンやハットグを当たり前のように家庭で食べているとは思えないし、日本人好みの韓国料理という手間が本場の味から半歩違うところに着地してしまっている気さえするのだ。
思い出すのだ。
留学先の韓国の留学生が言った「日本人はチーズつけすぎだよう」という一言(激しく同意したことを覚えている)。
だから、新大久保に降り立った日も僕は本場の手料理を食べたいと、その味を探したのだ。
今日のお店
いつか見たな、と敬愛する平野紗希子氏のPOPEYEの連載「味な店」で新大久保が登場するとは!とはっとした記憶を辿ると、仁川家にたどり着いた。
見事な実家飯をいただけるようで、僕の中の韓国料理に対する概念をどうしても肯定しておきたかった。
美味しい手料理の韓国料理をいただくことで。
お店はお昼時、土日だけランチをご提供されているということだが、さすが若者が集まる街、
仁川家は穴場と化していた。
大混雑の新大久保の通りを一丁前にクールな顔つきで通り過ぎ、家庭料理にありついた。
と言ってもばんちゃん(小鉢にもられたお漬物やキムチのこと)が花さく韓国料理のテーブルは明らかに我が家庭には考えられない華やかさが共存していた。
ランチと言っても好きなものんをただただ頼む。
ポッサムにビビンバ(猫舌の友人により石焼はまたの機会に)、じゃがいものちぢみをたっぷりと。
それにしてもなんてアットホームなまろやかさがあるのだろうか。
土日のお昼、喧騒とはご縁。
夜も老けた居酒屋の終盤戦にも似た寝心地の良ささえ思わせるのだ。
そんな空気にぐったり気持ちよくなり始めた頃、温められたポッサムがほかほかと出来上がる。
まずは心から温めてくれるこの料理は、韓国料理なんだ、とポツリ。
葉っぱに茹で上がりのポッサムとキムチ、ナムルに味噌を隠し味、大きな口でかぶりつけば、それはもう自分の解放なのだ。
もぐもぐと噛むたびに消化器官から喜びの声が聞こえるよう。
嬉しいくらいに愛が詰まって、身体中が安心しているようなのだ。
ヘルシーでぎゅっと詰まった美味しさと真心に目を瞑って向き合いたくなる(忘れられない感動とはこのこと)。
わさわさとかき混ぜられたビビンバも、余計な味付けはなく、十穀米の香ばしい粒感とナムルとキムチの地味深い味わいがやっぱりホッとさせてくれる。
最後の決め手はじゃがいもちぢみ。
お花がテーブルに咲いたような可愛らしいハートフルちぢみ。
そこには、僕が知っているいかついちぢみはいなかった。
カリッと揚げ焼きされたちぢみは、ふかっとじゃがいもが香る。
素朴な味付けながら、何個でもペロリと食べられるホクホクの味わいは噛み締める幸せいっぱいだった。
韓国料理は大好きだ。
これまで食べてきたやつも、今日食べたテーブルも。
でも、やっぱり今日のテーブルは僕が求めていた答えのような韓国料理だったんじゃないかな。
チーズもなければ揚げ物のなかったけれど、真心のこもった韓国手料理をこれでもかと味わい、本場さながらの落ち着きを取り戻せた。
日本と同様に、愛をいただけるんだなと妙に納得した。
料理はこうじゃなくっちゃ。
美味しいひとときに、ごちそうさまでした。
では、また次回。
今日のお店:仁川家(東京都新宿区大久保2丁目31−18)
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