若い人たちにこそ知ってほしい、「かんたん読書感想文講座」(#キナリ読書フェス)
ちょうど1ヶ月後、11/22(日)~23(月祝)に開催される、「キナリ読書フェス」。
読書感想文を書いたことのない人や、苦手な人のために、「かんたん読書感想文講座」がYouTubeで開催されました。
講座でお話されたのは、作家の岸田奈美さんと、書評家の三宅香帆さん。
面白いし勉強にもなりそうだと視聴しました。冒頭からチャットに、編集者のたらればさんも参加されていて驚き。
たらればさんの言われていたことも含め、備忘録的に、この講座で話されていたことをまとめておきます。
冒頭
【キナリ読書フェスについて】
・著者や関係者が感想文を読んでくれる可能性が高い。
【文章の上達について】
・上手い人の文章を真似るのが、上達には一番速い
【小説について】
・小説の中には、作者の悩みが書いてある。悩みに合わせて、作品を選ぶという読み方はある。
・(悩みの)解決策を知るというよりは、そう悩んでいる人もいるということを知る。
・扱っているテーマが「自分にとって切実」なものだと読みやすい
【岸田さんの著書『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』について】
・読み終わった後に明るい気持ちになる。
・明るさが押し付けがましくなく、大変な経験を明るく語る技術。
・辛い経験を明るく捉えられている人がいることを知れる。
本の読み方のポイント
①メタファーを見つけると読みやすい
・作者が意図するものとしないものがある。勝手に読み取るのもアリ。
・人によっても読み取り方が違い、「違いを楽しむ」という点もある。
・作者は深読みをされると嬉しいこともあるのでは・・・・・・?
※たらればさんがこのメタファーについて、以下のようにコメントされていました。
メタファーは作者の経験と読者の経験が結びついて面白くなる。結びつくだけじゃなくて、その結びつきの中でそれだけ遠くまで飛べるか。遠くで結びつけば遠いほど面白い
②作者の経歴を知る・解説をきちんと読む
・共感ポイントが見つかるかも
・言いたいことが作者の経歴や他者の解説で分かることがある
※ここについても、たらればさんは以下のコメントをされた。
解説がついている本は半分くらい読んでから解説を読んで、続きを読むスタイル。
③その年齢の自分になって考える
・(青春時代などの記述があれば)10代の自分を引っ張り出して読むと共感が増す。
・現実と離れられることがあって面白い。忘れていたことを思い出す。
④びっくりする箇所を見つけて、作者はなぜそこを書いたのか考える
・違和感を持つような展開にしたかった理由を考える。
・引っかかり、違和感を大事にする。
⑤プロの解釈を読むと楽しい
・プロの解釈は深い、自分の解釈が変わることもある。
・考える材料になる。
・アイドルのライブ後に感想ツイートを見るような感じもある。
※ここについても、たらればさんのコメントが見られます。
プロの感想や解説は読んだほうがいいという話、大賛成。読書感想文は作者と読者の化学反応。百人いたら百通りのものが出てくる。その正解のなさや読者側の変化を楽しむものだと思う。
また、冒頭部分でもたらればさんはコメントをしていたのですが。「あ、この⑤の部分にも結びつくな」と思っています。
舞台・映像化・マンガ化されている作品は、それがすでに役者・脚本家・演出家・漫画家の「再解釈」だと言える。
感想文の書き方のポイント
準備
・蛍光ペンと付箋を用意する
・文章中の取っ掛かりや気になったところ、心を動かされたところを細かにチェックしていく。
・ザッと読んだ後に、線を引いたところをじっくり読んでいく。
・良かったところと調べたいところでチェックや付箋の種類を変える。
書くときのポイント
・感情の理由を言語化する。なんでその感情を持ったのか突き詰める。
・他の意見や解説も読んでみる。一番しっくりくる書評について感想を書くのも、ひとつの書き方。
・自分の原体験や悩みを引っ張り出して書くと良い。
・良かったところを抜き出すだけでも感想文にはなる。
質疑応答・その他
①書き始めはどのようにしていくと良いか?
・本を手に取った理由を書く
・引用から始めていく
②読む人を巻き込むために入れているものはあるか?
・発見と共感を入れる
③読書感想文を書きやすい本は?
・自分に近しいもの
④語彙力を豊かにするには?
・いろんな本を読んでインプットすると同時に、それを使ってアウトプットすることも大事。
・英語の勉強と一緒で、使わなければ身につかない。
・メモをとる癖をつける。
⑤自分に合った文体を見つけるには?
・いろいろ試してみて、自分が書きやすい文体が合うものでは。
その他
・作者は「これが正しい解釈」というのは、あまり思っていないのでは・・・・・・?
・違う解釈をされていても嬉しいことはある。違っていてもいい。
・解釈が攻撃ではなく、愛のあるものであれば嬉しい。
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自分が「おっ」と思った部分を羅列しましたが、90分があっという間に過ぎる濃密なものでした。
普段から自分で心掛けているところもあるなと思いつつ。本の読み方の部分はかなり参考になるなと。読書をするって、突き詰めたら奥深すぎるなと。
講座を視聴して思ったのは、「これ学生とか子どもとか、若い人に知ってほしい」ということです。
解説を読むとか、プロの解釈に触れるとか、最初は難しい部分も多いと思いますが。ただ「読書感想文を書いてください」と言われるより、本を読んでみて、大人がこの講座で出たポイントに沿うような話や質問をする。それだけで一歩、いや数歩は深い感想が出てくるはず。
本を読んで「良かった」「面白かった」「ためになった」と素直に思う経験は大事。でも講座を受けて、このポイントに沿って本を読んだり感想を得たりできると、本の理解度も違うはず。何より、好きな本・大事な本が増えそうだなと、そんな気がします。
まずは講座に出てきた内容を自分でも実践してみる。
その上で、1ヶ月後の「キナリ読書フェス」に参加します。どの本を読んで感想文を書こうかなと迷っていましたが、少し絞り込みができてきました。
岸田さん・三宅さん、ものすごく参考になる講座でした。
ありがとうございました!
今回の講座は、アーカイブで視聴できるそうです。