リーダー・マネージャーが知るべき視座と視野とは?〜マネプロ#3
こんにちは! DeNAでHRビジネスパートナーをしている坪井(@tsubot0905)です。
マネジメントの進化を探求するnote
『マネプロ』は今回が第3回目です。
このマネプロnoteのシリーズでは、5分で分かりやすく学べるシンプルな構成と、相手とのコミュニケーションで使えるようなシンクロしやすい問いを意識した内容を心がけています。
さて、前回は「マネジメントとは」「マネジメントに求められること」についてお伝えしました。
今回のテーマは、マネジメントの視座と視野。人によって、また立場や役割によって視座や視野が異なります。お互いの視座や視野の違いを知ることで相互理解が深まれば、相手とのコミュニケーションが取りやすくなるはずです。今回はこの視座と視野についてマネジメントの側面から探求ができればと思います。
目次はこちら!
<経営視点と現場視点の視座の違い>
前回、マネジメントの4領域の話をしました。
4領域とは事業・組織・人材・業務のことで、これら4つの領域で成果をあげることがマネジメントであると伝えてきました。
この4領域ですが、リーダーやマネージャーの方の会社の中での立場が、経営寄りなのか現場寄りなのかによってマネジメントで扱う比重が異なると思います。その比重の異なりがそのまま視座の違いにつながると思っています。
それを表したのがこちらのスライド。
経営に近い立場の視点から見ると左のように事業・組織の話が中心になり、業務や人材の話は見えにくくなっています。社員が何千・何万名もいる会社の経営者クラスの人が社員一人一人を把握したり、1つひとつの業務内容を把握するのが難しいことを想像してもらえるとわかりやすいはずです。
経営視点のマネジメントに期待したいことは前回のマネプロで伝えた戦略実現機能、つまり創りたい未来を牽引して期待する成果を出すことですから、全体を俯瞰してみる視点になるのは当たり前ですよね。
逆に現場視点から見ると、業務・人材の話が中心になり、事業・組織といった全体像がつかみにくくなりがち。会社選びの時は、事業や組織のことに関心を持って見ているはずが、いざ入社して働き出すと、やっている業務や周囲の環境からの情報で物事を判断するようになります。
現場視点のマネジメントに期待したいことはもう一つの価値拡大機能、つまり目の前の課題を解決して大きな成果を出すことです。現場視点で日々の仕事に集中できることは大切ですし悪いことではありません。
これらの視座の違いを踏まえマネジメントに関わる人は、どちらの立場も意識して、状況に合わせて話すモードを切り替えることができたらGoodですね!
経営に近い立場のメンバーと話すときには経営視点に立って全体最適を意識しながら、現場のことを伝えて現状の理解を深めた上で判断や意思決定を促す。
現場に近い立場のメンバーと話すときには現場視点に立って寄り添いながら、経営のことを伝えて視座を高く持ってもらい理解と解釈を促す。
そうすることで、経営と現場が共通認識で同じ方向に向かうことができます。結果、人や組織のパフォーマンスの最大化につながり成果が出しやすくなるはずです。
リーダーやマネージャーといったマネジメントに関わる人は経営と現場の潤滑油であり翻訳者としての役割を求められるというのが私の考えです。
<リーダーとマネージャーの視野の違い>
今度は経営と現場という立場ではなく、
リーダーとマネージャーという役割の観点から視野の違いを考えてみます。
ズバリ!
リーダーはメンバーに背中を向け、マネージャーはメンバーの正面を向く存在であるというのが私の持論です。
もう少し言葉を付け足すなら、
リーダーは未来に向き合い、マネージャーは現在に向き合う。
と言えましょうか。前回のマネプロの話で言うマネジメントの「予応」と「適応」につながる話ですね。
メンバーを「人材」の領域と捉えた時に、マネジメントの4領域に照らしてみた視野の違いのイメージがこちらになります。(少し極端に表してみました)
“それだとリーダーは人を見ないのか!”
“目の前にいる社員が不幸じゃないか!”
と突っ込まれるかもしれないですが、
そんなことはなくてですね。
リーダーは事業を発展させ、よりヒトやモノに投資をして、より魅力的な仕事を提供し、より切磋琢磨できる仲間を集め、より働きがいのある環境を創る。つまり、将来的に社員を幸せな状態に導くことがリーダーの仕事だと思うのです。
少し話は変わって余談ですが、、、
私が就職活動をしていた頃、ベンチャー企業では個々人が成長できる環境をアピールする企業が多かった。ですが、本当の意味での成長というものは、事業の成長や変革を遂げるプロセスを共に歩むことで得られていくものではないでしょうか。
私が学生時代にインターンをしていたベンチャー企業はしばらくして倒産してしまいました。過去に勤めていた企業は日本市場からの撤退により現在は国内に会社がありません。
当時の事業の成長や変革を共に歩めたのは良い経験でしたが、企業としては事業の発展を継続させることによって、仲間をより多くの魅力的なバッターボックスに立たせ続けることができるもの、だと感じる経験にもなりました。
言い換えれば、事業の発展なくして社員の成長機会は限られてしまうもの。企業として売上や利益を伸ばせなければ、社員を幸せな状態に導くことが困難になっていきます。
話を元に戻します。
リーダーが現在の視点に拘束された最適解を探してしまうとイノベーションのジレンマに陥ってしまい事業の発展に進まない可能性が高まります。そのため、リーダーはメンバーに背中をむけてでも未来と向き合い、創りたい未来へと牽引する後ろ姿をメンバーに見せる必要があるのです。
だからこそ、一方ではリーダーには背中を預けられるマネージャーが必要なのだと思います。
メンバーの正面を向く存在であるマネージャーが”ここは俺に任せろ!”とリーダーの背中を押して未来に向かせてあげられる人がいれば、リーダーも安心して背中を預けられる。
マネジメントに関わる人達がそんな理想的な関係性をつくれている組織が強い組織になっていくのではないでしょうか。
もちろん前提として、リーダーとマネージャーというものはキッパリ役割が別れることはなく、人や組織の特徴に合わせて役割が混じっているものではあります。
しかし、ここではあえてリーダーとマネージャーの性質をはっきり分けて捉えることで、リーダーやマネージャーという役割の人達は何を期待され、何にフォーカスするべきなのか考えてみました。
<人事の視野から貢献できること>
人事がリーダーやマネージャーに貢献できることは、人材や組織の視野からみて課題解決をリードすることです。H R B Pであれば人材と組織のプロフェッショナルとして、事業や業務にどのような影響を与えられるかという角度の視野も同時に持ちながらリーダーやマネージャーの方々と関わることが求められていると思います。
人事が気をつけなければならないのは、人事の視野や言葉に偏ったコミュニケーションをとってしまうことです。人材と組織の思考ばかりに囚われすぎて人事の言葉で話してしまうと、「事業をわかっていない」「業務をわかっていない」と経営や現場から信頼されない人事になってしまいます。
経営や現場と同じ目線で共通の言葉を話しながら、時にリーダーがやりたい課題解決を前進させ、時にリーダーが意思決定の前に立ち止まって考えるような貢献ができないかを意識する。そうすることで、リーダーにとっての最強のアクセルであり最高のブレーキともなれるような信頼関係を築くことができたら理想的だな、と思いながら私は仕事をしています。
<今回のQuestions>
以上が3回目のマネプロでお届けしたかったコンテンツでした!
いかがでしたでしょうか?
ということでマネプロ恒例、最後の問いです。
今回のテーマを通じて、リーダーやマネージャーの方々に問いかけたい4つの質問を選びました。忙しい皆さんの思考の整理と、新たな行動の後押しになれますように!
※「自分はこう考える」「自分ならこれを問いかける」という考えはぜひTwitterにて「#マネプロ」を付けてつぶやいていただけたら嬉しいです!
<次回にむけて>
視座はどの立場から見るか
視野はどの役割から見るか
というお話でした。
立場や役割によって視座や視野は異なるし、そもそも異なっていいのだと思います。むしろ異なることを理解して、相手との対話を繰り返す中で信頼関係を築き、協働して成果を出すものではないでしょうか。
そして、マネジメントに関わる人たちは、状況に応じて視座と視野を切り替えながら企業の成果を最大化できるよう働きかけ合うことが大事。そんなところに人事が介在する価値も生まれるはずです。言うはやすく行うは難しですけどもね。
さて、次回からはマネジメントの根幹であり基本思想となる企業理念についてのお話です。企業は必ず独自の企業理念を持ち、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)といったフレームワークで語られることも増えています。
というわけで、次回のテーマは
「企業理念/MVVのマネジメントについて」
です。
次回は2週間後の水曜日。
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
読者のみなさんと共にマネジメントの進化を探求できれば何よりです。Twitterのフォロリツ大歓迎です!DMでの感想も是非!(@tsubot0905)
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