【エッセイ・思い出綴り】 郷愁の伊那まち⑤、小沢川の歯医者さん
伊那市の町中に住む子供たちにとっては、通り町も、こうせい市場も、町の真ん中に流れる小沢川も、飯田線も、みんな日々ワクワクする遊び場だった。
旭町や天竜町につながる入舟は、その昔町一番の繁華街で、伊那市と伊那北の間に、入舟駅という駅があった、などという話しを随分と後になってから聞いた。
近くにちゃんとした橋があるのに、わざわざ電車鉄橋を渡るのは、いつ電車が来るかわからない、という”いっぱし”のスリルもあった。
幼い頃からよく扁桃腺熱を出したアタクシは、真夜中に旭医院の先