〈読書〉星を編む
・星を編む 著者:凪良 ゆう
『星を編む』は、『汝、星のごとく』の登場人物たちが主人公の作品で構成されています。
昨年、『汝、星のごとく』を読んで、久しぶりに心を揺さぶられました。
家族に悩む高校生二人(櫂と暁海)が出会い、恋愛関係になり、大人になっていく。
櫂と暁海の関係は順調ではなく、別れて暮らし、それぞれの時間を過ごしている。
しかし、お互いを忘れられない。
二人とも、親に悩まされているが、親との関係を断ち切ることができない。
櫂は、尚人と漫画作品を世に出し、華やかな生活を手に入れたが、その期間は短く、苦しい生活をすることになる。
暁海は櫂の最期の日々を支え、共に過ごすが、櫂は流れ星のように散って、一冊の小説を残した。
そこで、『汝、星のごとく』は、終了しています。
『汝、星のごとく』は、その作品で完結していますが、残された暁海や、その他の登場人物の人生は、続いていきます。
『汝、星のごとく』の登場人物について、もっと知りたいし、櫂を失った暁海のその後の人生も気になっていました。
『星を編む』は、その様な『汝、星のごとく』の読者の気持ちに答えをくれるような作品でした。
『春に翔ぶ』
他人に尽くす両親を不快に思いながら育った北原先生。
北原先生は、明見や暁海の理解者で、彼らが自由な人生を歩めるように助けます。
北原先生が明見や暁海を助ける姿に、驚いたり、違和感を感じたりしていました。
なぜ、そこまで自分の人生を他人に差し出すことができるのだろうかと。
自由に自身の歩む道を選べない人を見逃すことができない北原先生。
北原先生のバックグラウンドを知って、その行動も少し理解できました。
『星を編む』
櫂の才能を信じ、櫂の死後も櫂の作品を世に出そうと行動してきた編集者・植木と二階堂。
櫂や尚人がこの世を去ってからも、二人の理解者であり続けようとする植木。
作者の才能を尊重し、作品を世に出すために、努力し続ける植木や二階堂の熱量に心が動かされました。
いつも読んでいる小説や漫画は、植木や二階堂のような編集者の力があって、私のもとに届いたのですよね。
『波を渡る』
櫂を失ってからの暁海と北原先生。
最愛の人・櫂が不在になっても、暁海はまだ若く、自身の人生を歩まなければなりません。
相互互助のために結婚した暁海と北原先生ですが、その関係が時間と共に、変化していきます。
暁海の父と瞳子さん、再婚する暁海の母、シングルマザーになる結など、夫婦、パートナーとの関係も様々だと考えさせられます。
時間が流れ、暁海と北原先生、その家族や周辺の人たちが、それぞれの人生を歩んで行く様子が、暁海と北原先生それぞれの視点で語られています。
時間と共に、人間関係も流れるように変化するのですね。
『汝、星のごとく』→『星を編む』の順に読むのがおすすめです。
『汝、星のごとく』は主人公二人以外の登場人物も魅力的です。
その生き方が気になる登場人物がいましたら、『星を編む』を読んでみてほしいです。
こちらも凪良ゆうさんの作品です↓↓↓
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!