最近の哲学的関心を整理する
5月末から週4でアルバイトを始め、読書量とその質が大幅に低下している現状を踏まえつつ、最近の哲学的関心を整理し、こんごの読書のめやすを記したい。
1. フッサール現象学そのものの進み行き
いずれレヴィナスの『フッサール現象学の直観理論』を読みたいが、そうとうに手強そうなので、下準備が必要。『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』と『デカルト的省察』を通読するのが当面の課題。2023年頃までに果たしたい。
2. フッサールのカント批判
フッサールのカント批判については谷徹さんの大著『意識の自然』では少ししか触れられていなかったが、思った以上に深いものがある予感がする。という訳で、フッサール自身の著作におけるカント批判に目を配りつつ、カントの三批判書にもじりじりとにじり寄っていく必要がある。ciniiでこれに関する論文を探したい。とくに期限は設けない。
3. カント哲学、とくに『判断力批判』における美学
カントの三批判書の中でもとりわけ関心があるのが、『判断力批判』で展開される美学。むろん『純粋理性批判』『実践理性批判』を大づかみにした上で取り組みたいので、30年くらいかかるのではないか。そのころぼくは70歳になっているだろう...。つまり2050年くらいを目途に果たしたい(死亡している可能性もあるが)。『判断力批判』に影響を与えたであろうバウムガルテンの『美学』も大著ではあるが、せっかく邦訳が講談社学術文庫に入り手に取りやすくなったので触れてみたいところである。
4. 後期ハイデガー
後期ハイデガーは彼自身の転回というタームで色が付いているが、最近邦訳されたデリダのハイデガー講義録『ハイデガー:存在の問いと歴史』なども興味深く、訳者の一人でもある長坂真澄さんの論文を読むと、デリダの解釈は前期ハイデガーとそれにある種の連続性を見出しているようである。まずは積読している仲正昌樹『〈後期〉ハイデガー入門講義』を読みたい。2021-2年頃をめやすに。
5. ハイデガーの精通していた古代ギリシア哲学(アリストテレスを中心に)
『存在と時間』(1927年)から哲学的関心が始まったこともあり、どうしても古代・中世・近世の哲学についての関心が薄い。デンマークの画家ハマスホイのことばではないが、古き英知から汲み取れることに非常に豊潤なものがあるのは間違いない。プラトンに比べアリストテレスはニガテなのだが、とりあえず今はちくま新書の『世界哲学史』シリーズや中央公論新社『哲学の歴史』シリーズをすこしずつ読んでいる。これは2020年中にある程度入門を果たしたい。
6. ニーチェとストア派の関係
ニーチェは若い頃から好きなので放っておいても『善悪の彼岸』などを読む訳だが、いずれ『ツァラトゥストゥラ』も読みたい。彼のキリスト教やストア派に対する愛憎半ばする罵倒の数々から、ニーチェというユニーク極まる人間そのものの"本質"に触れてゆきたい。とくに期限は設けない。
7. 中世スコラ哲学
哲学を考えるうえで、とくにキリスト教神学との関係を考察することは必須だが、余裕があればマクグラス『キリスト教神学入門』を読み返し、また広く宗教と哲学の共通点と差異について理解を深めたい。余裕があればという感じ。
8. フーコー
最近読了した『精神疾患とパーソナリティー』は彼が封印しようとした第1作だが、大変面白かった。さしあたり今は重田園江『ミシェル・フーコー ――近代を裏から読む』と内田隆三『ミシェル・フーコー[増補改訂]』を入門のために読んでいるところである。つぎに読むとしたら『狂気の歴史』だろうか。
とりあえず、こんな感じにしておこう。他に関心があるのは、ヴェイユ、キルケゴール、パスカル、メルロ=ポンティなどだが彼らについては今のところ、さほど優先度は高くないので、また機会があったら書いてみたいと思う。